【パオミィ】猫に引導を渡される

白川津 中々

◾️

「あ」



モニタの中で小さく呟いた彼女は「しまった」と声なき声をあげていた。


人気ストリーマーパオミィこと佐伯ミオパはガチ恋勢をターゲットにしスパチャ投げ銭で荒稼ぎをしていたわけだが、愛猫のクラチオンを膝下に呼び寄せ一撫でした際に映し出された左手薬指にプラチナの煌めき明々。「私はクソオタクだから結婚なんてむりむりカタツムリ」などという30.40代のオタクが好みそうなセリフを吐いていたパオミィにとってその油断は一生の不覚であった。案の定、コメントは大荒れ。配信を中断せざる得ない状況となり後日よく分からない釈明文をSNSなどで発表する事となる。が、終息せず。結果、パオミィは「死ね愚民ども」との捨て台詞と共に引退の道を選択。後味の悪い幕引きとなった。


彼女がどこまでの罪を犯したのか、彼女の取り巻きの苦しみがどれ程のものなのか、それは本人しか分からない。ただ、恐らく、いや確実に同じ事象はまた発生するだろう。金と愛が溶けゆく昨今。孤独だけが増していく。

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