第2話 寄宿寮の開かずの扉
場所はまだ女学院の応接室。
僕は絶賛、綾乃に女体化された身体を物色されている。
[
「おほっ、制服ごしとはいえこのもちもちの肉付き……。たまんない。」
[
「セリフがエロオヤジみたいで気持ち悪いよ……。」
[綾乃]
「うっ……。ちなみにどんな下着履いてるだ〜。」
バッ……っとジャンパースカートのスカート部分を持ち上げる。
とっさに抵抗しようにもまだ慣れない身体が邪魔をする。
[周]
「キャ──────ァ。」
[綾乃]
「あらあら可愛い悲鳴ありがとう。ついでに純白のショーツありがとう。」
[周]
「やーめーてー。」
もうやだ。
穴があったら入りたい。
昔はあんなに「お兄ちゃん。お兄ちゃん。」って後ろついて来て可愛かったのに……、どうしてこんなに変態美少女に成長してしまった……。
スカート部分を幕に僕の股間を埋める姪こと綾乃。
藤咲女学院ではこれでも、生徒会の副会長をやっている。
[綾乃]
「ぷはぁ……、ご馳走様。」
[周]
「うぅ……まさか姪に女の子として辱められるなんて……。」
[綾乃]
「ふふっ、あんなにかっこよかったお兄ちゃんがこんなに可愛いお姉ちゃんになっちゃうなんて……。侮れないな、TSF界隈。」
[周]
「やめろ。」
ほんとにやめて。
新たな性癖が覚醒した目で見ないで……。
もうやだ……。
♡@♡@♡
女体化からの身内セクハラというイベントを終わらせた僕と綾乃は学院寮の個室に向かっていた。
藤咲女学院は全寮制であるため、校舎とは別に宿舎が徒歩十数分くらいの範囲に存在している。
[女学生A]
「誰かしらあの子。」
[女学生B]
「あら〜、可愛いですわね。」
[女学生C]
「綾乃さん、そこの可愛いお嬢様は誰でしょうか?。」
宿舎の廊下を綾乃と一緒に歩いていると周囲で井戸端会議している綺麗で可愛くて良い匂いしそうな女の子たちが僕を見ているという事実が妙な罪悪感を思い起こさせる。
[周]
(こんな子が元は冴えない男子だったなんて信じてもらえないだろうな。)
正直言うと、可愛い可愛いって女の子に言われるのは満更でもない。
もっと言って欲しい。
そんな承認欲求に思考が埋もれながら僕は綾乃に連れられて寮長の部屋に案内された。
トントントン。
[???]
「どうぞ。」
ガチャっと木製の扉を開けると、同様に木製の家具に囲まれた部屋の中に机に向かって座っている女性。
おそらく彼女が寮長で寮母なのだろう。
母性を感じる雰囲気がオーラのように感じる。
[綾乃]
「先程お話通り、この方が私の姪で、1週間後に転校してくる有栖川周です。」
[周]
「有栖川周です。よろしくお願いします。」
[寮母]
「あら、貴方が例の周ちゃん。お母さんそっくりのねー。」
[綾乃]
「はいー。」
[寮母]
「ところで……、周ちゃん……、いや周くんは男の子だったはずなんだけど……。」
[周]
「っ……。」
[綾乃]
「寮母さん……。」
[寮母]
「はい〜。」
[綾乃]
「勘のいい大人は嫌われますよ。」
[寮母]
「あらあら〜。」
おそらくゲームのCGだったらここで綾乃と寮母さんが火花バチバチしている絵が出てきただろう……。
ちょっと空気が重い……。
[寮母]
「あらごめんなさい周ちゃん。これあなたの部屋の鍵だから先に行ってなさい。」
[周]
「えっ……、でも……。」
[寮母]
「いいから。」
[周]
「はい……。」
顔は笑ってるのに雰囲気が笑ってない……。
そんなヒエヒエに冷えきった笑顔が強制的に僕の身体を突き動かす。
[寮母]
「あぁ……それと、あなたの部屋は昔あなたのお母さんが使ってた部屋だから……。しっかり見ておきなさい。」
[周]
「はい、ありがとうございます。」
その時の笑顔はとても柔らかく、暖かく、優しかった。
[綾乃]
「では私もこれで失礼して……。」
[寮母]
「綾乃さん。」
[綾乃]
「はヒィ……。」
[寮母]
「あなたはこれからお説教です。それと都子さんも呼んでくださいね。」
[綾乃]
「は、はい……。」
裏では綾乃が寮母さんからのお叱りが淡々と聞こえる。
しかも冷たく重たい雰囲気が寮長室から漏れ出てる。
うん……、とりあえず寮母さんは怒らせないようにしよう。
♡@♡@♡
ガチャっと部屋と冷たい鍵を金属の鍵穴にさして回す。
[周]
「ここが昔の母さんの部屋……。」
窓から差し込む光のカーテンが部屋を照らす。
陽の光で焼かれた木の香りが不思議な空間に誘ってるようで……。
[周]
(ここが昔、お母さんが3年間いた部屋……。)
勉強机と椅子、衣装棚のタンスにセミダブルのベッド。
これは明らかに……。
[周]
(学園系百合作品でよく見る生徒会長が居そうな部屋だな……。)
あはは……な感情で部屋を見渡していると突然、背後に気配を感じた。
[???]
「開かずの扉って言われたこの部屋も案外良いものだな……。」
扉に寄りかかる茶色の綺麗なロングヘアをたなびかせている1人の不思議な少女がいた。
[不思議な少女?]
「よろしくね。転校生。」
その人を引きつける不思議な雰囲気の少女に僕は目を、身体を奪われるような……そんな感覚があった。
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