第8話 幻想の庭園でふたり
夏の夕暮れ、私たちは庭園の一角に静かに座っていた。
赤く染まる空が、庭園に柔らかな光を注ぎ、茉凜のショートカットの髪が、その光を受けてほんのり金色に輝いていた。
私たちは、寄り添って静かに座りながら、ゆっくりと流れる時間を楽しんでいた。
茉凜の肩が私の肩に触れるたび、心の中に温かさが広がってくる。彼女の存在が、心を安らげるように感じる。
私たちの間に言葉は必要なかった。ただ、そっと寄り添うだけで、すべてが伝わっているようだった。
夕焼けの空の下で、茉凜が顔を少し上げて私を見つめる。
その瞳が、まるで夕陽を反射しているかのように輝き、私の心がさらに温かくなる。
彼女の笑顔が、ほんのり赤く染まった頬と相まって、まるで夢の中の景色のようだった。
私たちは、互いに優しく微笑み合いながら、心の距離を少しずつ縮めていった。
茉凜の手が私の手に触れ、ふわりとその温もりが伝わってくる。彼女の手のひらに触れることで、私の心はより一層落ち着き、安らぎを感じた。
そのとき、茉凜が少し顔を近づけてきた。私は、彼女の温かい息を感じながら目を閉じた。
彼女の唇が私の唇にそっと触れる。触れた瞬間、優しい温もりが広がり、まるで初夏の風が頬を撫でるような感覚に包まれた。
唇が軽く重なり合ったその瞬間、世界が静止したかのように感じられた。
言葉では表せない、ただ純粋な感情が互いに伝わっている。茉凜の唇の柔らかさと、その甘い温もりが、私の心に深く刻まれていく。
やがて、茉凜はゆっくりと唇を離し、優しく微笑んで私を見つめた。その微笑みは、まるで夏の夕陽がもたらす穏やかな光のように、私の心を温かく包んでくれる。
その後、私たちは再び寄り添い、穏やかな夕暮れの中で静かに心を通わせていた。
ふと茉凜が私に優しく寄り添い、再び唇を重ねた。今度は、少し長めに触れるそのキスが、心の奥深くに柔らかな余韻を残していた。
彼女の温もりと愛が、私たちの間にさらなる絆を生み出し、私の心に深い安心感をもたらしてくれる。
その瞬間、私たちは世界のすべてを忘れ、ただ互いの存在に浸っていた。
幸せと安らぎに包まれた私たちは、夕暮れの静かな時間を、心から楽しむことができた。
黒髪のグロンダイル 番外編 ひさちぃ @ppfdc98972
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