前世
神逢坂鞠帆(かみをさか・まりほ)
第1話
「道を歩いていたら、名前を呼ばれたのです。近くには、祖父の入った墓地と卒業した小学校とがありました。ちなみに、他に人はいません。キョロキョロ見回して、やはり誰もいないので、そのまま進みました。それだけです」
これでいいのかな。微妙だなと思いつつ、顔を上げた。貴婦人は、目を輝かせて返した。
「名前ね。新聞や雑誌なんかを開いて、偉人に呼びかけられることがありますよね。人生の示唆をしてくれたり」
いや、ない。目の前の自称オカルト母ちゃんは、胸に手を当てた。
「実は私、昔、歯医者で溺れたことがありましてね」
「はい? そんな人います?」
首を傾げる。
「そうですよね。歯医者さんにも初めてだと言われました。とにかく溺れたので、その日の治療は中止です。でも、その時にちらっとある日付けが頭に浮かびました。もちろん、気になったので調べます。それは、檀ノ浦の戦いの前日でした。それで、私、とても泣けてきてしまって…。私は、高貴な方に仕えていたのです」
その後、自称オカルト母ちゃんは、オカルティックな友人と現場に赴いたらしい。
前世 神逢坂鞠帆(かみをさか・まりほ) @kamiwosakamariho
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