もうあえないのだから

釣ール

あわず見返らない

 結果論ばかりが残酷で。



 過ぎた道をふりかえらず歩いていくの



 未練ばかりは語って生きていけない。

 なぜなら将来の不安と今の幸せは他人をまきこめばくずれてしまうのだから。




 海の中でとけて消えていく泡のように、世間知らずで生きさせてもらえない。



 けんかばかりの日々に友情を感じることや、共存できないと分かっていても恋をして住みたくもない場所で家庭をつくることを考えるたびに




『ああ、もう選べた時にはもどれないんだ』




 と後悔を覚悟で責任はつきまとう。




 わたしが海か川に飛び込んでも誰も助けに来ない。



 はやくここから去ってしまいたい。

 あちこちをめぐってここが消える場所にふさわしいか考えながら選んでみたい。




 すべて消えてしまったあとは何かと比べることなく暮らしていくだけ。



 つきまとう人間関係か自然とはうまく付き合うしかない現実をかかえながら、正しい意味にしばられず間違えられない日々が陸にはある。



 近くにいても、もうあうことはない人達ばかりだから。



 周りが夏にたくさんの仲間とよりそう姿をながめながらトイレで顔をあらって涙をふく。




 ああ。

 今見ている人達とももう二度とこうしてすれちがうこともないか。



 同じ海に来ても。



 もう忘れてしまおう。

 もうあえないのだから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

もうあえないのだから 釣ール @pixixy1O

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ