03:事前案、ネタ帳って? 〜パンツァー型とプロッター型〜【後篇】

 おはーん諸君、秋坂ゆえです。今日は比較的過ごしやすく——

 なんて呑気に挨拶をしている場合ではございません!

 何故かって? それは今朝7時4分、いつも通りカクヨムから通知が来た時に寝ぼけ眼で、なんなら「あ〜、またメガネかけたまま寝ちまった〜、なんも見えね〜」などと思いながらiPhoneを取り出して通知を見た時、


「……これは俺の視力が極度に悪い上にメガネが真っ白だからだ、誤読だ!」


 と、むにゃむにゃと、しかし隣の『まり』に変な目で見られる程度の音量で呟き叫んだ(誤った日本語)事実に起因します。



【順位が上昇:2位→1位 / 創作論・評論 週間】



 んなアホな(素直な気持ち)。



 その後僕がどうしたかというと、


——ショックのあまり二度寝しました。


 というのは冗談ですが、体調が完全回復しておらず、起きたら午後2時前で、まりは出社してるし、やっべぇ、アレ夢だよな? と愛用MacBook『おうちゃん』からカクヨムのランキングを確認して、再び絶叫いたしました。


 もうね、感謝とか述べるのも時間の無駄なので、本篇に入るぜ(ハートの絵文字千個略)。



 というわけで、今回は02の続き、「パンツァー型とプロッター型」についてです。

 前回書いたのは、何を隠そう、隠しませんが、全て『プロッター型』と呼ばれる書き手さま用に過ぎません。

 

『どういうこっちゃあああああ!』


 という声が聞こえますので、定義を簡単に、僕なりに噛み砕いて、以下に記します。


●パンツァー型:僕の親族にもいるんですけどね、要は「事前案・プロット・用意なしで、物語(小説に関わらず)を最初から最後まで大きな破綻なく完結させることができる人種」です。

 掌篇・短篇小説ならともかく、長篇小説などでこれをできる人はプロでもなかなかいません。

 正確には「完全なパンツァー型」ではありませんが、直木賞作家の【宮部みゆき先生】は、こちら側の書き手かと考えます。


 とあるインタビューで、「魔術はささやく」という長編小説のプロットについて、インタビュアーが各シーンのカードまで用意して、「こういう順番でプロットを立てたのでは?」と質問したのですが、宮部先生の回答は控えめに表現してもでした。


宮部「いや……そうですねえ、分解するとこうなるんですねえ(原文ママ)」


 この時点で戸惑う読者(というか俺)(※「魔術はささやく」は長篇、しかも多重構造の作品です)。


宮部「(主人公が)見ず知らずの女の子かなんかに『どこへ行くの?』って聞かれて、『うちに帰るんだよ』って答える。その最後の一文だけは、最初から決まってたんです」

——じゃあ、メインの事件はあとからなんですね(以上、原文ママ)


 何それぇぇえええええ?!?!?!?!(秋坂ゆえ心の声)

 しかも、この続きで、宮部先生はバケモノじみた発言をなさっています。


宮部「わたし、プロットを作らないタイプではないと思うんです。かなり作っているはずなんですよね。でもそれを言語化しない、書かない。書くと逃げていくような気がするんです。いよいよ大丈夫だってときまで、目に見える形でプロットを言語化できない。たぶん頭の中では作ってるんですよね。書きながら、ポイントだけは、箇条書きのメモなんかにしとくんですよ。でも、スタート時点ではそれさえできない」


……頭の中で、あんだけ複雑かつ伏線バリバリ、しかも『ミステリ』のプロットを制作可能……?


 バケモノですね★(最上級の褒め言葉)



 といった具合にですね、世の中には色んなタイプの書き手さんがいらっしゃいます。


 次は、小説を書き始めたばっかりだったり、宮部先生級のバケモノでない書き手の方が当てはまるというか、むしろ「こっちから始めた方がええで」な人種をば。



●プロッター型:ズバリ書くと、「(事前案も含め)物語を作る時、プロットを立て、それに沿って書いたり撮ったりしていく人種」です。


 僕は長篇を書く時は、キチッとプロットを立てます。なんならプロットよりも詳しい『タイムライン(僕がこう呼んでるだけですが)』まで書くこともあります。

 そして、試し書きを除き、僕は前回書いたネタと、プロットが完成するまで、【本文を書き始めない】と決めています。


 ここまで厳しく「本文絶対書かないマン」にならなくとも、小説執筆ビギナーさま、もしくは「何故か話が途中でこんがらがる、完結しない」、「そもそも小説ってどう書くんですか?」といった皆さまは、【プロット・メイキング】をした方がよろしいかと、僭越ながら、僕なんかは思うのです(皆が皆、宮部先生のような頭の持ち主ではないですしね♪)。



 そして、順序が逆になりますが、「事前案」として考えるのが前篇で書かせていただいた内容になります。

「プロット」については、また別の機会に書かせてください。「書式」について書くべきかなぁなんて悩みもしてるんですよフハハ。 


 ついでなので、こんな人種も紹介しておきましょう。



●設定厨:本篇に全く出てこない設定、例えば「モブキャラの家の間取り(思いつきの例)」や「本篇終了の68年後の、本篇の舞台とは別場所の出来事(関連性はあったりなかったり)」などまで設定してしまう人種。

 

 こう書くと、「は? 本篇に登場しないのに考えるなんて馬鹿じゃない?」なんて思われるかもしれませんが、この「設定厨」という存在、或いは僕のように、


「この作品に限っては、設定厨に、俺はなる!」


 と決めて書いてみると、少なくともなーんも考えずに書き始めてエタる作品よりは、作品に奥行きができると断言します。

 だって「設定厨」の代表を挙げろと言われたら、


 J・R・R・トールキン、「指輪物語ロード・オブ・ザ・リング」の作者ですよ?


 実際トールキンがどれほどの「設定厨」だったかというと、


 想像の「歴史」、「神話」のみならず、【言語】まで創ってしまったんです。


 (部分じゃないっすよ、文法や語彙も完璧な「話せる言語」っすよ?)

 (しかも創作の第一目的は「言語」で、歴史や物語はその言語を表現するためだった、という説も)


 だからこそ、「ホビット」や「指輪物語」にコアなファンがつき、あれほどの作品になった、とも言えるかもしれませんね。


 まあ、「設定厨になれ!」なんてことは言いません。簡単になれるものでもないですし。ただ、そういう人らもいまっせ、とね。 


  ◇


 さぁて、今夜はな、おっちゃん余裕を持って終わらせたいねん。いつもより短めやど、「毎回毎回死にかけで終える執筆論」にはしとないねん、分かるじゃろ?

 それにな、今回は具体例をいくつか挙げた。宮部みゆき「魔術はささやく」やそれについての宮部先生のお言葉やったりな。それらをな、して欲しないねん。別に「魔術はささやく」を買うて読め! とまではな、おっちゃんよう言わんで? まあ、読んで損はないと思うけどな。これは「個人の感想です」ゆうやつじゃ。


 ついでに言わせてもらうとな、おっちゃんこの前えらい驚いたことがあんねん。別に実母がこの連載読んどることやないで?(それはそれで) 

 Twitterのスペースでな、若い学生さんとくっちゃべる機会あってな、そん時にひとりの男の子が言うたんよ、「俺、めっちゃ読書しますよ!」ゆうて。じゃけん、おっちゃん思わず、「じゃったら自分、好きな作家とか誰なん?」とまあ、標準語で聞いたんよ。したらその子がこう答えたんよ。


「いやー俺はなろう系小説を一日何十本も読んでるんで、特にそういうのはないッスねー!」


 お、おう(思わず標準語)。

 別になぁ、おっちゃんもWEB小説を紙の本より下に見とるわけじゃないで? カクヨムにも猛者がぞろぞろ隠れとるしな。でもなんじゃろ、ナウでヤングなピーポーの言葉で言う「モニョる(古語)」感じがしてなぁ。ああ、あかん、この話オチあらへんわ。


 ま、引き続きこの「執筆論」、おっちゃん頑張って書くけんな、第1回でも書いたけど、質問やリクエスト、コメント欄で言うてくれたら可能な限り応えるつもりやで。


 なんや、後書き含めたらいつもと同じ長さになりよったわ。おっちゃん寝るで。またな〜!

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【ジャンルレス】書き方が分からなくなった時のための執筆論 秋坂ゆえ @killjoywriter

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