紅き夜

僕はいつの間にか花畑で立っていた

夜空と花が映えてとても幻想的な風景だ「ここは....」

見覚えがない場所だ。けれど何かなつかしいような感じもする

どうしようかと考えていると後ろから「ねえ」と声をかけられる。

僕はふり返ると景色が一変した

咲いていた花たちは全て枯れ夜空は血のように紅く染まっていた

「なんだ....ここ....」

その異質な景色に僕は思わず後ずさりする

それと同時にあることに気づく

目の前には少女が立っていた

ボロボロの衣服、ぼさぼさで手入れがされていない髪、どこか遠くを見ているような赤い瞳

僕に気づいた少女はこちらに近づいてくる

「誰なんだ君は.....」そう言うが返事は返ってこずただ目の前の少女はこちらに近づいてくる

一歩一歩確実に無表情でこちらに近づいてくる

こちらに近づいているだけなのにそれがひどく冒涜的な行動に見えてしまう

体が震える

怖い。助けて

そんな言葉が頭に思い浮かぶだけで言葉にすることができない

目の前から女の子が消える

「助かったの...........ッ!?」

突然目の前が紅く染まっていく

口から何か紅い液体が出てくる

意識がもうろうとしてくる

死ぬのだろうかそんな考えが脳裏によぎるが死への恐怖はなかった

声が聞こえる

誰の声だろうか

この声を聞いたことがある気がする

それも最近に

そうだこの声は公園にいた










「~~~~~~ッ!?」僕は自室で目が覚める

「夢......か.....」そう独り言をつぶやく

「何の夢を見たの?」と誰に向けたわけでもない言葉に返されたことに一瞬慌てるがすぐに言葉を返してきた人物が思い浮かぶ

「君は確か....公園にいた....」

「そう。吸血鬼」と彼女は当たり前のように言ってくる

首元を触ると噛まれた傷跡もあった


俺はとりあえず疑問に思っていることを聞いてみることにした「夢のことは良い。それよりもなんで僕を助けたんだ?」

そう彼女は僕を襲って血を飲んだのだ

「あ~っ.....」と言いにくそうにしながら彼女は目をそらしながら

「わ、私、小食なんだよね.....」ともじもじしながら言ってくる。

いやまあそれは別にはいいのだが

「お前、これからどうするつもりなんだ?」と聞く

このままどこかに行ってもらうのだが良いのだが....

そんな甘い考えは彼女の言葉で砕け散る

「今日からここに住ませてくれないかな?」と彼女は申し訳なさそうに言うのだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

吸血鬼と僕の短い恋話 ルイ @ruisyousetu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ