推し店員が出来た男の子の話
暗黒神ゼブラ
推し店員が出来た男の子の話
ぼくは母さんと今日カラオケにきてる。
ぼくはカラオケに行くのは今日が初めてだからなんだか緊張する。
「母さん今日は初めてだからぼく一人がいい!!」
「何言ってるの拓(たく)!! 危ないでしょ何かあったらどうするの? 母さん心配するんだから!!」
カウンターの前でケンカみたいになってたら店員さんが
「でしたら部屋を分けるのはどうですか? そうすれば完全に一人にするわけではないので少しは安心できると思うのですが……」
すると母さんが
「まあそれなら……拓これで一人カラオケをしたいって願いは叶うわね。本当は母さんと一緒にいてほしいけど……子供は成長するものね。
大人も成長するけどね……でも親離れにはまだ早くない?」
「早くないよ母さん、だってぼくもう十五歳だよ!!……そう十五歳なんだよ。せめてあと二十センチ欲しかった……そうすれば百六十センチなのに!! いつもいつも子供だと思われて……今でもバスで子供料金だし、大人料金って言っても信じてもらえないし。学生証見せてやっと信じてもらえるんだよ!! 母さんもいつも見てるでしょ!!」
「もう拓泣かないでよ、分かった分かったから……これで大人に近づいたね。そういえば拓の会員証を作ってないね。店員さんお願いします」
「かしこまりました。それではお客様が今お持ちのスマホでアプリをダウンロードして……あっもうしてあるみたいですね。でしたら、あとは名前と生年月日と電話番号の欄を入力して頂きその後、画面のQRコードを見せていただければ私がピッてするので、それが終われば登録完了です」
名前は……綾瀬川拓(あやせがわたく)
生年月日は……二千九年二月十九日
電話番号は……060ーXXXXー1764
これで終わりっと
「出来たよ……これでいいんだよね?」
そして会員登録が完了した。
時間はフリータイムにした
二十時までだから、夜ご飯の時間も考えたら……十九時ぐらいには帰りたいって母さんがここに来る前に言ってたような。
そしてぼくは二時間ほど歌い続けた。
初めてだからかな喉がすっごく痛い。
ちなみに母さんは突然会社から呼ばれたらしく出勤しないといけなくなり少し怒りながら先に行った。
母さんは行く前に『帰る時はちゃんと電話して!! すぐに迎えに行くから、ごめんね一人にして……ってさっきまで一人で歌ってたのにね、あはは』と言ってから仕事に行った。
そしてぼくは母さんに電話をした。
「もしもし母さん帰る時ってアイスと飲み物ってどうしたらいいの?……うん持ってきたところに戻せばいいんだね……分かった待ってるね。それじゃあ気をつけてきてね。うん、じゃあ切るね」
そしてぼくはカウンターにアイスと飲み物を持っておりた。
会計のために一応お金をもらっておいてよかった。
「あの……会計お願いします」
ぼくがそういうと店員さんが
「はい……それで初めてのカラオケは楽しめましたか?」
ぼくは少し恥ずかしがりながら首を縦に振った。
すると店員さんが
「そうですか、それはよかった。またきてくださいね」
ぼくはその笑顔に心を貫かれてしまった。
その結果
「はい、絶対またきます!!」
と大きな声で言ってしまった。
その後ぼくは母さんと一緒に帰った。
それからぼくは毎日のようにこのカラオケに通い詰めた。
そして十二年後
「拓さん今日も来てくれたんですね。いつもありがとうございます♪ 今じゃ拓さんも芸能人ですもんね。人気声優ランキングでも上位にいますよね……変装とかしなくてもいいのですか?」
そう、"俺"はこの人のためにいい歌を聞かせたい一心で声優を目指した。
歌なら歌手という選択肢もあったが、今の時代声優が歌を歌うことなんてザラにある。
まあ声優になった本当の理由は……かっこいいセリフで告白したかったから……なんだけど。
「変装はいいんですよ。案外堂々した方がバレないことだってある……んで……」
「きゃー拓様よ!! どうしてここに!?……目があっちゃった……はぁ、天に召されちゃう」
「ふふっ、バレてますよ拓さん」
俺は決意を固めてこういった。
「美鈴さん……この後少しいいですか? 話したいことがあるんです……ダメですか?」
「……はい、いいですけど……なんですか改まって」
俺はさっき喜んでくれたファンにいろいろとファンサをしたあとに美鈴さんのところに行った。
ファンがいてこそだからな、大事にしないと……というより、俺の夢の一つの"誰かを笑顔にする"を叶えることが出来たのはやっぱりファンが笑顔の姿を見るとやっぱり俺も幸せになれる。
……でも俺がこうなれたのは美鈴さんのおかげだから。
そして俺と美鈴さんは二人きりになった。
「美鈴さん……すぅ、はぁ……『美鈴、俺が美鈴を永遠に、何度生まれ変わっても守り抜くこと誓ってやる』……どうですか?」
「それって"輪廻のエメラルド"の主人公のショウジがヒロインのリュラに結婚を申し込む時のセリフ……あれ? さっきセリフの名前が私のになって……もしかして……もう、やっとなの拓何年待たせるのよ……返事はまあ……『お願いします拓、でも私は守られるだけじゃなくあなたのことも守り抜きます。例え私が死んでも』どうよ拓……上手でしょ」
「って美鈴さん上手もなにも美鈴さんが演じてる役でしょ……これからもよろしくお願いします。必ず美鈴さんのことを幸せにしてみせます!!」
そして俺と美鈴さんの結婚はニュースになった。
付き合っていることは……隠してなかったから、よく記者の人がいたけど隠すのが嫌だった俺は記事を見つけたら全部話していた。
ちゃんと美鈴さんから承諾を得てから話した。
四年後、俺と美鈴さんの間に子供が出来た。
本当に今が幸せすぎて困るくらいだ。
おしまい
推し店員が出来た男の子の話 暗黒神ゼブラ @ayumu20
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