エピローグ

 戦士マクスウェル・エルフィン・シーザー。彼は火山の火口に落ちながらも、剣気をバリアのように展開することでマグマの中でも生存することができていた。


 そしてマグマを突き破り、なんとへと到達していた。


 そこは闇に覆われた──しかし海や大陸がある世界だった。


「ここはまさか……伝説とされていた地下世界か?」


 自由落下しながら、彼は強く剣のつかを握りしめる。


「これは面白い。伝説が本当だとすれば、ここには地上世界よりも強力な魔物たちが待っていることだろう。しかし俺は死なない。何故なら──」


 剣をかかげなから叫ぶ。


「俺は生きて帰って妹に結婚用のドレスを用意してやると約束しているし、妹婿とも一緒に酒を飲もうと約束しているからな! 死ぬわけにはいかない!」


 何故か突然に突風が起きて、戦士マクスウェル・エルフィン・シーザーは吹き飛ばされた。



***



 戦士マクスウェル・エルフィン・シーザーは目を覚ますと、瘴気しょうきの満ちた城の中にいた。どうやら突風の勢いで魔物たちの城の中に放り込まれてしまったらしい。


「ふはははは。よくぞここまで来たな人間よ。我の名は大魔王ステラーレビアンカだ!」


 そしてどうやらラスボス的な魔族に遭遇してしまったらしい。


「くっ!」


 凄まじい呪力を感じる。これは一撃とて攻撃を受ければ命はないだろう。


 しかしその前にこちらから一撃を加えることができれば──


「大魔王とやら……残念だったな。俺には生涯に一度しか使えない必殺の奥義があるんだ。それを受ければ貴様とて無事では済まないだろう」


 剣を構える。聖剣とうたわれし最強のつるぎである。


「さあ、その身に受けよ! はあああああ!」


 剣に光が集まり、その光が徐々に膨らんでいく。それを見て大魔王ステラーレビアンカは対抗のため闇の翼を展開するが──


「もう遅い!」


 マクスウェル・エルフィン・シーザーが剣を振りかぶる。そして叫んだ──


「俺は貴様を倒し、生きて地上世界に帰るのだ! 故郷の村の踊り子たちに魔王を倒したら村に世界一の劇場を建ててやると約束してしているし、喧嘩別れしている親友と仲直りしようとプレゼントまで用意してあるし、剣の師匠とは平和が訪れたら一緒に道場をひらこうと約束しているし、両親には孫の名前を考えてもらっているし──」


「それ以上はやめろ、死ぬぞ──」


「そしてもう一度宣言するが、生きて帰ったら幼馴染の女性にプロポーズするんだあああああああ!」


 大魔王の忠告もむなしく──戦士マクスウェル・エルフィン・シーザーが叫んだ瞬間、彼の構えた剣にビシビシとひびが入り、ついには剣気に耐えきれずに


「なぬっ!?」


 そして溜めに溜めていた剣気が暴発し、その場で大爆発を起こした。


「だから言わんこっちゃ──って、我も巻き込まれるではないか──!」


 こうして起こった光の波動は、大魔王ステラーレビアンカを吹き飛ばし、その城をも崩壊させた。


 戦士マクスウェル・エルフィン・シーザー。彼の生死はいまだに不明だという……。





【完】

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絶対に死亡フラグを立ててはいけない決戦前夜の座談会 猫とホウキ @tsu9neko

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