第4話 お盆休みはお家で···



 特急『かわせみ』から在来線に乗り換え 各駅停車で3駅。

 お家の最寄りの駅に着く。

 行きは 1人旅だったけど 帰りはお姉ちゃんと一緒。

 お喋りしてたら あっという間の2時間半だった。

 

 

「梨花ちゃん お帰り。梨奈ちゃんも……」


「お祖母ちゃん ただいま~」


「お祖母ちゃん 駅まで迎えにきてくれて ありがとね。車の運転 大変だったでしょ?」


「梨奈ちゃんは 免許 取りたてだから 大変だろけど ここらじゃ 車なんて 下駄と一緒だよ」


「確かにー。車 無いと どっこも行けないもんね。向こう星光市だと あんまり乗らないんだよねー。あっ そーだ。家まで 練習で運転してもいい?」



 お姉ちゃんが 運転席に座り ボクとお祖母ちゃんは 後部座席に座る。



「テーマパークは 楽しかったかい?」


「うん。めっちゃ!お土産も色々買ってきたから あとで みんなで食べよっ」


「それは 楽しみだね」


「ホントは 今日も行くつもりだったんだけど ボクが 寝坊しちゃったからさー。……予定変更して 東京のデパートとか 連れて行ってもらったのっ」


「へー それも楽しそうだねぇ……。あら? その首にしてるの…」


「コレ? いーでしょー? お姉ちゃんに おねだりして買ってもらった首輪」



 銀座のデパートで見つけた細身の黒革に銀のバックルのヤツ。



「……梨花ちゃん。〈首輪〉って…お祖母ちゃん 詳しくないけど そういうのは〈チョーカー〉って言うんじゃ無いのかい? 首輪って言うと 犬か ネコみたいだよ」


「ううん。『首輪』でいいの。だって ボク お姉ちゃんのペットになったんだもん」



 お姉ちゃんが急ブレーキを踏んで 車が急停車する。

 初心者運転だからかもしれないけど ちょっと危ない感じ。

 ちょっと 赤い顔した お姉ちゃんに注意される。

 


「あのさ 梨花ちゃん。運転に集中できないから 黙って乗っててくれる?」



 お祖母ちゃんの前だから〈ちゃん〉付け。

 しょうがないけど ちょっと残念。

 さっきまで2人きりの時は 呼び捨てだったのに。


 お姉ちゃんは この後 8月の終わりまでは お家にいてくれるらしい。

 家じゃ なかなか2人きりになれなさそうだから 車で色々出掛けようって 約束したんだけど……。

 運転 難しいんだったら 他の方法考えた方がいいのかなぁ?



「ねぇ お姉ちゃん。さっき言ってた インターチェンジのそばの 休憩だけさせてくれるホテルって…」


 キキーーーーッ


 またもや 急ブレーキ。


 

「梨花ッ 黙って乗ってて!」



 呼び捨てにされたけど たぶん 怒ってるせいだよね。

 さっきから 急ブレーキばっかで 運転 難しそう。

 気を散らしちゃ悪いし黙ってよ。

 

 やっぱり 夜中にお姉ちゃんの部屋に 忍び込むのが 一番いいかも。

 ……声 出さないように 気をつけなゃだけど。

 お風呂も一緒に入りたいし。

 プール行くのも楽しそう。

 夏祭りもあるし……。


 

 これから2週間 お姉ちゃんと ずーっと一緒。

 まだまだ いろんなこと教えてもらうんだ。

 最高の夏休み。

 絵日記には 書けないけどね。

 

 


                    ~Fin?~

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夏休みの冒険 ~Train, Dance, & Real kiss~ 金星タヌキ @VenusRacoon

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