たぶん俺たちはこうやって生きてきた。

 常春のモラトリアムがある年から突然目の前で凍てつく氷河に変わったのと、最初から氷河だったのとで違いがどれほどあったのか、なかったのか、わからないが。
 サブカルマニアばかりが集まる独特な人間関係の中で、紛れもなく「他の誰とも違う自分」でいられる、文芸とゲーム。たとえ天才ではなくとも。
 ありふれたインフラ職を担い、人からは見えない縁の下で、しかしそれでも力を込めるべき箇所を見出し、命を支える誇り。
 好きだったことを、好きでいられる自分を、今でもずっと好きなこと。
 日々の仕事を通して、何かが確かに自分でも成せていると思えること。
 そうやって、まあなんとか何者かでいられている俺たちは、果たしてこの先さらなる「ほんとうの何者か」になれるだろうか。
 最近の俺の願いは、死ぬ間際に「それでもやっぱり小説家になりたかった」って泣きながら死んでいくことなんだ。
 もちろん、なれるに越したことはないんだが、それでも最期までそういう気持ちを抱えた俺であり続けたいからなんだ。