フォークロア

　古に各地で語られていたという伝承の数々。それらのおとぎ話が単なる「ストーリー」ではなく、かつて確かに存在して、今がちょうど「ストーリー」の周期であるに過ぎないとしたら。
　父親に失望され独りぼっちになった少年イツセが、地下にあった秘密の書斎で一冊の本に出会い、400年もの間その本に封じられていた伝承の生き物たちを、もとの土地へと還していく。一方は父親に認められるため、もう一方は使命を果たすため、一人と一冊が力を合わせて魔法の世界を巡り行く、その果てしない旅を著した、新たな伝承の記録。