第2話 アクシデントと自己紹介と
入学式の日の夜にて―
「ただいまー。」
母さんとルナで晩御飯を食べていると、玄関から声がした。父さんだ。
「おかえりー。」
「おかえり、あなた。先に食べてるわよ。」
「ああ。おっそうだリオン、入学式どうだった?何属性?」
出た父さんの悪い癖。やたらと子供みたいに好奇心旺盛で質問責めにあうことがある。
「いや〜なんと不思議なことに俺、光属性なんですわ。」
「おっ、五大属性か!いいじゃないか、母さんの血か?」
俺の母さん、サヤカ・ハートも光属性で治癒特化という少し特殊な属性で小さい頃、よく怪我をした俺のことを治してくれた。
「血の繋がりは関係ないと思うけど、同じ属性は嬉しいわね。」
「まあ、お前もいつか俺と同じ土を踏むことになるから、しっかり学んでこいよ。」
「分かってるよ。」
父さんの属性は岩で、毎日魔族との戦いで最前線で活躍している。それでほぼ無傷で帰ってくるから凄い人だ。
「ルナも来年が楽しみだな。」
「.....もう、ご飯食べたら?」
相変わらず父さんには塩対応だな、ルナは。
「反抗期はよう分からんな!はっはっはっ!」
うちの父さんはメンタルも岩のようだ。
そんなこんなあって入学式の日は幕を閉じたのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2日目―
「えっと〜俺のクラスは確か.....」
......どこだっけ。
ヤシロ学園は1年3クラス、2年2クラス、3年1クラスとなっており、学年が上がるごとにクラスが少なっているのは厳しい指導による中退者が続出によるものである。
「1−1かな。」
「おはようございまーす。」
「ん?君、名前は。」
「あれ?昨日と先生が違う....担任じゃなかったのか?」
「名前は?」
「ああ、すみません。リオン・ハートです。」
先生が名簿のようなものを確認する。
「リオン・ハート、あなたはここでは無いですね。」
「あっですよね?先生が違いましたもん。」
「全く....しっかりして下さい。」
「はい、すみません....」
2日目にして怒られる、終わった.....
「おいおい、そんなのが光属性かよぉ?」
なにやら教室の向こうから声が聞こえた。
「こら、カマス・ゼスマさん口が悪いですよ。」
「ああ?うっせえな。おい、お前。」
うわ、話かけて来やがった...よし、ここは...
「なんだよ。」
あえて強気で行く!
「魔法属性だからっつて調子乗ってんじゃねえぞ。」
「は?調子乗ってねえし。」
「んだよじゃあその態度はよお!」
「お前の真似してんだよ!」
「ざけんな!」
カマスの語気がどんどん強くなる。
「マリン先生、どうされんたんですか?」
おそらく隣の教室からだろう。男の教師がやってきた。
やべ、騒ぎを起こし過ぎたか...?
「それが....」
マリン先生と言われた先生が口を開く
「なるほど、すみませんうちの生徒が。」
ん?うちの生徒....?
「いえいえ、こっちも指導しておきますので。」
「リオン・ハート、君は私の生徒だろう?」
「は、はい、そうだった気がします。」
「1−2に行きなさい。」
「はい...」
「おい、光属性の!話はまだ終わってねぇぞ!」
おい、イカれてんのか、この状況でまだ.....
「こらこら、いい加減にしなさい。クリシャル先生は怒ると怖いのよ?」
「ああ?んなもん知るか....」
突然気温が下がり始める。
ピキ...ピキピキ....
後ろで不穏な音が...それに無言の圧が...
「うっ...クソッ....覚えとけよっ!」
流石のカマスも怖気づいたのか席に戻って行く。と、同時に周りの気温ももとに戻っていく。
「さて、そろそろHRが始まってしまいますわ。クリシャル先生、どうもありがとう。」
「ハハハッ、マリン先生に感謝されるたぁ光栄だ。」
?....立場一緒じゃないのか?
「さってリオン・ハート、教室に戻るぞ。」
「あっはい。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
HR―
「はい、席について〜HR始めるぞ〜。」
「まあ、することったら自己紹介くらいだろうな。じゃあ先生みたいにやって。」
そういって先生が自己紹介を始める。
「クリシャル・リードです。氷属性でヤシロ学園1年2組の担任になりました。よろしく〜。まあこんな感じで、どぞ。」
ゆる〜く始まったな....
「えっと....クレオ・オレオです.....剣属性です。よろしく。」
「は〜い。よろしく。」
「クロエ・ミリアです!光属性です!」
そう言い終わるとこっちを急に見てきた。そして、
「同じ光属性であるリオンさんとは仲良くしたいのでリオンさん!仲良くしましょう!」
うえ!?なんだこの女!?
「だとよ〜リオン、良かったじゃないか二日目にして女の子とお近づきになれて。」
クリシャル先生が茶化し、クラスに笑いが起こる。
「そ、そうっすね....」
くそ...目立ちたくねぇのに....
そして順調に自己紹介は進んで行き―
「んじゃ最後リオン、ビシッと決めてくれぃ」
あ~あ、担任外れだ〜。
「.....リオン・ハートです。もう分かってると思うんすけど光属性です。まあそれなりに話しかけてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。」
「あい!自己紹介終わりでHRも終わり!号令!」
この先非常に不安だが....まあ、なんとかなるか。
魔族とか人間関係とか面倒くさいけどまあ、俺なりに頑張ります。 猫八 @yamada_joshu
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