万引き

大星

万引き

 俺は今、万引きをするためにコンビニに入るところだ。今回は初めてではない。ここ三か月は場所を変えながら繰り返している。今のところはまだばれてはいない。もしかしたら俺には万引きの才能があるのかもしれない。まあそんなことはどうでもいいが。

 そもそもこんなことをしなければいけなくなったのは、勤めている会社でやらかし、くびにされたことが原因だ。その会社の給料はそこまで高くなかったため、くびにされるころには貯金もほとんどなかった。しばらくは万引きをする生活になるだろうと考えながらコンビニに入った。

「いらしゃいませ――――」

 店員が俺の姿を見て挨拶した。

 ここで変に過敏に反応してはいけない。余計に怪しまれてしまう。まあこんなところでばれるほど俺はバカではないが。少し歩き、目的のおにぎりを探す。おにぎりを見つけ、手に取る。店員がいなくなった後で、ポケットの中に素早く入れる。そしてそのまま出口へと向かう。外へ出たところで、ポケットからおにぎりを取り出す。やっぱり俺には万引きの才能があるのかもしれない。




 ***M星では

「―――N星のスイーツ、本当においしそうでしたねー。では、続いて...地球ですね。地球にはどんな食べ物が待っているんでしょーかッ!」

 司会者の張り切った声に合わせて、画面が地球人の見た目をしたインタビュアーに切り替わった。

「では、こちらの方に聞いてみましょー!その手に持っているものは何ですか?」

「ぼ、僕は何もやっていませんよ!何ですか!…」

「え...?…―――」

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