Word

水無月うみ

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 これからを生きる君のため、僕からの贈り物。


 1


 これは、何でもない「僕」の、最期ひと月の物語。と書くと、おそらく君らは、この話を美しく儚いものだと考えるのだろう。だけれど、この物語はそんなものではないんだ。もっと泥臭く、素朴なものなのだ。

 はっきり言うと、僕は大学四年の冬頃、突然、末期がんによって余命一か月を宣告された。肌を刺すように寒い、凍てつく冬のことだった。その時の僕は、やはりそれは内心驚いたものだった。何せ、来年の春からは社会人として働いていく予定だったし、僕はこれからも健康に、普通に生きていくのだと思っていたから。でも、人の人生というのは、あっけなく一変してしまうらしかった。


 宣告された時の僕は、医者に言われたのにもかかわらず、その運命を受け止められずにいた。むしろ、信じられなかった、信じようとしなかった、と言った方が適切だろう。

 僕は背中の痛みを訴え、病院に行き、検査し、宣告されると、医師らの説得を耳にも入れず、そのまま帰った。入院もせず、話をよく聞きもせず、急ぎ足で街の中、家へと向かってしまった。その時の情景をよく覚えている。空はいつの間にどんよりと曇り、街は明かりを失ってしまったかのように寂しかった。

 帰りながら、とりあえず寝てしまおうと、その時僕は思った。少し時間が経って、だんだんと理解が追い付いてきてしまったのだ。自分の現状が、あとひと月で死ぬんだということを、漠然と。驚くことに、人は手の尽くしようもない状態になると、思ったより簡単に、諦めをつけてしまうようだった。

 三十分ほど歩いて、家に着いた。大学入学と同時に住み始めた、何の変哲もないアパート。いや、そう言っては語弊がある。少し古びたアパートだ。クリーム色の外壁ははがれかかり、郵便受けは錆びついている。大家の苗字「国見」の文字も、かすれかかっている。僕の最期にはふさわしい、などと、外見を改めて見て自虐的に思った。

 そんなアパートの階段を、こつこつと上がっていく。靴と金属がぶつかり、少し高い音が鳴る。廊下を歩いて、自分の部屋のドアの前まで来る。鍵を刺し、がちゃりと回す。

 空虚な部屋。ワンルームに置かれた、小さな椅子と机。本のない、壁の二分の一にも満たない高さの棚。無造作に敷き詰められたタオルケット。

 部屋を横切って、ベランダに出る。空気が吸いたくなった。薄茶色に濁った、半透明のドアを横に開くと、冷たい外気が頬を刺した。

 目に映るのは、青く沈む街並み。重たい雲が横たわる空。そんな景色。「すぅ」と一息、吸って「はぁ」と一息、吐く。それを繰り返しているうちに、だんだんと飛べるような気がしてきた。だから、なのかもしれない——その時僕は、無意識にベランダのフェンスに手を掛けていたらしい。この空の先に、もう上ってしまいたい。おそらく、そう感じて。あとひと月で、何かできることなんてない。おそらく、そう諦観して。フェンスに掛ける力が、少しずつ強まる。足が宙に浮きだす……。しかし、僕がここで死ぬことはなかった。横から、ふいに声がしたのだ。

「もう、死ぬつもりですか?」


 2


 横を見ると、隣室の住人が同じくベランダに立っていた。紙みたいな材質の、簡素な塀の向こうに、虚ろな瞳で街の遠くを眺める女性の横顔が見えた。おそらく二十代くらい、青紫の髪色に凛とした顔立ちが映えている。

 それまでで、僕がその女と話をしたことはない。すれ違ったりしたことはあったと思うが、挨拶を交わしたり、ましてもや世間話などをしたことはなかった。だから、急にその日話しかけてきたのが、当時僕は少し怖かったんだと思う。

「いや、別に。部屋戻りますね」

 女の放つ独特の雰囲気が余計に不気味で、先述のこともあり、僕はそそくさと部屋に戻ろうとした。しかし、フェンスから手を離した途端、女は言った。

「また、そうやって逃げるんですか」

 ひどく冷淡な声。女の表情は分からなかったが、おそらく怒っている顔だっただろう。また、そうやって逃げるんですか——しかしその冷淡な声は、さっきの僕を制した。僕は部屋に入ることができず、また元の位置に戻らされた。女のその言葉は、不思議と僕の心をぐさぐさと突き刺していた。

「何なんですか、さっきから」僕は何とか言葉をひねり出し、少し声を強めて言った。すると女は、多分こちらを一瞬見て、あざけるようにこう言ったのだ。

「見ちゃったんですよ。あんたが、病院から泣きながら出てくところを」

 女は、そう言った後におそらくまた、僕の方を見た。馬鹿にするような表情が、視界の端に映ったような気がした。僕は平静を保つよう努めて、その数秒後、返した。

「泣きながら?」すると女はこう罵った。

「ええ、泣きながら。ひどかったっすね、あんた。医者さんたち、あんたに話しようとしてたのに、今みたいに逃げ出そうとするから。なんか喜劇みたいで、私、笑っちゃいそうになりましたよ」

 もちろんその女の言葉に、無性に腹が立ってきてしまっている自分がその時いた。だから、僕はまるでもう怒ったというふうに、女の後に続けてこう言った。

「別に、別にいいじゃないですか。大体何で、あなたにそんなこと言われなきゃあいけない! 僕は、ただ僕は……」

 しかし、そこで僕は何も言えなくなってしまった。言葉が、思うように出てこなくなってしまった。僕の言い草が終わってから、数秒の間が空いた。そして、その後になって、女が口を開いた。

「耳が、痛かったんじゃないですか。ただ」

 女の一言に、その時僕は突かれたような気持ちになった。そして、そう言った後、女はさらに続けた。

「私、あんたみたいな人たくさん見てきました。最初、みんなあんたみたいに、現実が受けとめられないんですよ。それで、もう何も聞きたくないってなって、逃げだそうとするんです。だから別に、私はあんたのあの行動のこと、悪くなんて思ってません。それにみんな、だんだん受け入れていくもんですし」

 その言葉が、僕の怒りをゆっくりと鎮めた。僕はその場に座り込んだ。もう何か、言う気力はなかった。

数秒後、北風が吹いて、落ち葉がベランダの中に入ってきた。まっ茶色の、枯れ落ちたみすぼらしい葉っぱ。乾ききって、もう活きていた時の面影はない。僕はそれを手に持つと、女に最後聞いてみたくなった。

「あなたは……一体誰なんですか?」

 すると女は、少しの間を空けた後にこう言った。そして、そのまま部屋の中に戻っていってしまった。

「誰でもない、ただのあんたの隣人ですよ」

 女が去ってから、五分ばかり時間が経った。僕は前向きでもない、後ろ向きでもない、ただぼんやりとした気持ちを持って、部屋の中に戻った。


 3


 僕はいつも、劣等感のかたまりだった。勉強も、スポーツも、社交性もなくて、周りからは敬遠される。高校受験も、大学受験も失敗して、いつも二番目にいるような、しがない人間。そのくせ、怠惰で、だらしがなくて、強みなんてないような、とても懸命に生きていけるような人間でもない。応援してくれるような友人も、部活動とかそういう人との接点を逃げて生きてきたから、いない。でも、これが僕の生き方なんだと、気づくといつも自分を正当化している。


 その日、僕はそんなことを思っていた。今までの人生の回想と一緒に。余命宣告を受けた日から、女と話した日から、気づけばもう五日ほど経っていた。あと三週間で、僕は死ぬ。不思議と、だんだん身体の節々が痛み出し、食欲もなくなった。ゼリー一個を一時間くらいかけて食べている自分に、心底驚くとともに、だんだんと、死への恐怖が湧いてきていた。

「ああ、もう無理だ」ゼリーを食べ終わった時に、そう呟いた。もう、生きている方が辛いとも思った。でも、死ぬのも怖かった。だから結局、何もせず寝るしかできなかった。

 しかしその時、急にインターホンが鳴った。こんな時に誰だよ。そう思いながらも、重たい身体を何とか奮い立たせて、ドアまで半ば這うようにして向かい、扉を開いた。すると、久しぶりの声が聞こえた。ドアの前には、あの女が立っていた。

「おはようございます」

 茶色いベンチコートを着た女は、車椅子とかばんを持って、そう言った。僕はいまいち状況が理解できず「何ですか。今度は」と挨拶もせずに訊いた。

 すると女は、

「あんた、残された時間短いんでしょう。だったら、動ける間にいろんなとこ行った方がいいじゃないすか」と、訳の分からないことを言った。質問しなければならないことが多すぎて、痛んでいた頭がさらにずきずきとなりそうだった。

「ちょっと待ってくださいよ、何であなたにそんなことされなきゃいけないんですか。それにその車椅子だって」

 僕はひとまずそう訊いた。すると女はこう返した。

「だって、今までの様子見るに私以外、あんたにこんなことしてあげられる人いないでしょ。両親だって来てるの一回も見てないし、友達もいなさそうだし。あんたがこのまま何もせず死んだら、私の隣部屋にあんたの霊がとりついちゃいそうだし。だから、これくらいはやった方が良いかなって思っただけっすよ。はいもうほら、こうやって話してる時間がもったいないっすよ。早く座ってください、ここに」

 女は終始早口だった。そして、すべて言い終わると、少しだけらしくなく微笑み、僕にそう促した。何だか、拒否したとしても最終的には連れていかれる気がしていた。だから、本当はただの隣人だし嫌だけれども、今回はのることにした。まあでも、女に対してその時不快感しか感じていなかったと言えば嘘になるし、少し安心感のようなものを感じてもいたから、別に構わなかったんだと思う。でもさすがに、この寝間着姿で外に出るのは憚られるため、

「そんなに言うなら……でもさすがに、着替えさせてください」と僕は言った。

すると「四十秒で支度してください」と女が言ったから「三分間待ってください」と言った。


 4


 だるい身体を何とか動かして、できる限りのお洒落をやって、僕は外にいる隣人の元へ向かった。ドアを開けると隣人は

「遅いっすよ、四十秒の四倍は経ってます」と言った。僕は「すんません」と棒読みで言って車椅子に座った。

 隣人は車椅子を持ち上げて二階から一階まで降ろしてくれた。僕は「別に歩くから大丈夫ですよ」と言ったけれど「軽いから座っててください」と言われたからそのままにした。

 一階まで降りると、隣人は「さて、じゃあどこに行きますか?」と水を飲んで言った。

 僕は「別にどこでもいいです」と返した。すると隣人は、

「どこでもいい、って。そんなこと言ってるから友達できないんすよ」と罵った。僕は少しだけ腹が立ったから「じゃあ、新宿に」と投げやりに言った。すると隣人は「それでよし」と言って、僕の車椅子を押し始めた。

 時刻は午前九時。僕の住んでいた中野の街から新宿までは、中央線で数分だった。

 隣人は僕の車椅子を押しながら、度々(数分に一度)僕に質問をしてきた。まあ、大体僕のこれまでに関わるようなことが多かった。昔からここに住んでいたのか。好きなものは何か。誕生日はいつか……などなど。それに対し僕は、神奈川から引っ越してきた。好きなものは特にない。九月三日……などなどと答えていった。あらかた質問したいことを訊き終わったのか、新宿に着くと隣人は「つまんないすねえ」と言ってきた。

 だから僕は「じゃあ面白く回答してみせてくださいね、あなたの名前は何ですか」と意地悪く訊いた。舐められっぱなしじゃあ僕もつまらなかった。すると隣人は数秒後、「そうですね……。私の名前は死神です」と言った。僕は少し笑いながら「何ですか、それ?」と返した。すると死神は「私の勝ちですね」と勝ち誇ってきたから「苦笑いです」と僕は言ってみるのだった。

 謎の質問コーナーが終わると、死神は「新宿着いたけど、どうしますか」と訊いてきた。僕は「映画、でも見ますか」と言った。死神に歩かせ続けるのは悪いと思っての、苦肉の策だった。すると死神は「じゃあ、そうしましょう」と言って、映画館の方向へ歩き出した。僕の座っていた車椅子は、新宿の雑踏の中を前へ前へ進んでいった。

 映画館のある建物の中に入ると、十二月の寒気は空調の暖気によってかき消された。エレベーターに乗っている最中、死神は僕の羽織っていたコートを剝いでくれた。僕の身体はなかなかに動かなかったから、それだけでもかなり一苦労だった。死神が「まったく、手のかかる人間です」と言う。僕は「死神さん、なら僕を殺しなさい」と言う。

 結局、僕らはその映画館で、何か映画を見ることはなく、ポップコーンを買ってそれを食べるということだけをした。だが僕は、ポップコーンを三粒ほど食べるとそれ以上は胃に入らなくなってしまったため、ほとんど死神が食べた。死神は「映画館なんて久しぶりに来たから新鮮でした」と言ったから、僕はこんなので申し訳ないなと罪悪感を少しばかり感じていた。

 映画館を出ると、僕らはそのまま新宿中央公園——都庁の裏にある公園に行った。時刻は十二時を回っていた。死神は行ったことがあるそうだけれど、僕はこれが初めてだった。公園内には散歩をする高齢者や昼休み中のサラリーマン、オーエルがいて、のどかな雰囲気が樹林の間にたなびいていた。

 肌を刺すような冷気の中を歩いている最中、僕と死神は時々、本当に時々言葉を交わした。死神があまり多く話さないのは、僕に話させることで僕を疲れさせないようにという配慮からだったと、その時の僕は知らない。

「あれはタカトオコヒガンザクラ。春になったら、とても綺麗な桜を咲かすんですよ。長野の伊那にある高遠城址公園にあるのが元らしいっすね」

 公園にいた一時間の間で、死神はそんなことを言った。なぜそんなに知ってるのかと思い、

「ずいぶんと物知りなんですね」と僕は返した。すると死神は少し照れるようにして、

「まあ、大学で少し齧ってましたから」と呟いた。僕はそんな死神の姿が何だか新鮮で、

「もっと聞かせてください」と言った。すると死神は、喜んでいるのが丸わかりの声で

「特別ですよ?」と言って、語り始めた。その日だけで僕はずいぶんと、植物に詳しくなった。

 やがて一時間が経ち、僕らは中野に帰った。ホームに来た青梅行きの列車を見たとき、少し寂しくなったことは、もちろん死神に言うことはない。中野の街を過ぎてアパートの前に着くのも、まるで一瞬だった。

「今日はありがとうございました」僕は死神にアパート前で言った。

「礼には及びません。あんたが霊になられるくらいならこれくらいやります」死神は相も変わらずそう言った。そして「じゃあ階段上がるからじっとしててくださいね」と言い、車椅子を持ち上げようとした。その時、僕はふと思い立ちこう言った。

「ちょっと、自力で登らせてください」何でそう言ったのかは、今でも明白には分からない。でも、僕は確かに死神にそう言った。すると死神は、

「ええ……危ないっすよ」と消極的に返したが、僕が「ここで登らないと、僕は霊になると思いますよ」と言うと「じゃあ気を付けて」と言わざるを得ないようだった。

 階段の一段目に足を掛けると、思った以上に力が入らず、手すりをつかむ手だけが頼りだった。あまりに僕がよろけるので、死神も心配だったのだろう。死神は僕の横に常につき、いつも手を差し出そうとしていた。しかし、僕がそれにすがることは決してなかった。最後まで、自分の力で上がろうとした。

 最終的に、僕は最後まで登り切った。だがその代償に、大いなる疲労感と痛みを得ることになった。死神は「無茶言わない方が良いのに」と呟きながらも、その後笑顔で僕を車椅子に乗せドア前まで送ってくれた。

 僕が鍵でがちゃりとドアを開けると、死神は自分の部屋に戻っていった。僕は少し惜しい気持ちになったが「今日は本当にありがとう」と本当に小さな声で言って、中に入ろうとした。ドアが閉まりだした。するとその時「私も楽しかった」と、声が聞こえた。


 5


 僕には一人の弟がいる。はっきり言って、彼は僕の何倍も優秀だった。いや、もはや比べ物にならないと言った方がいい。彼は、僕とは正反対の人間だった。

 何のとりえもない僕に対して、彼は勉強という類において、その中でも特に理系において、頭一つ抜けていた。大学も国立の研究に強い難関校に入学していた。両親もそんな弟ばかりを可愛がった。だから余計に、僕は劣等感に苛まれ、彼に引け目を感じていた。

 二年前、彼は恐ろしいことに大学で教授に認められるほどの優秀な成績を残し、大学院に早いながらも入学した。大学二年の僕より先に、彼は大学院一年。悔しさがなかった訳ではない。でもこれは彼の努力であり実力で、それは素直に認めなければならないものだった。

 その報せを聞いたとき、僕は久しく実家に帰った。そう、神奈川にある実家だ。彼はここから東京の大学院に通学しているらしい。そういう面からしても、かなり凄い奴だった。実家に帰ると、両親は形式的に「おかえり」の挨拶をしただけで、僕に関してそれ以上何も聞いてこなかった。その代わり、弟の自慢話ばかりを言ってきた。僕は少々うんざりしていたが、事実だから仕方がなかった。

 両親の話がある程度終わったころ、弟が帰ってきた。再会して最初、僕は弟に「すごいじゃない、おめでとう」と素直に祝福した。しかし弟は、僕の祝福などまったく受け取らず「別に、大したことじゃないし」と喜びを見せなかった。可愛くないやつだ、と僕は思ったが、一生懸命頑張ったんだと思い、万年筆を贈った。弟は一切の興味を示さなかったが、昔からこの様だったから、さほどの悲しみとか、そういったものはなかった。


 6


 死神と会った五日後、最期の通学をした。おそらくもう動けなくなる、そう思ったからだ。身体の衰える速度は日増しに速くなり、倦怠感も強くなった。節々が痛く、身体の至るところに黄疸が見えた。長袖を着る冬で良かったと思った。

 通学は死神の手を借りた。あの日以来、死神は毎日ベランダから話しかけてくれて、だいぶ仲が深まっていた。いや、この言い方は良くないかもしれない。僕らはあくまで「仲の良い隣人」だった。僕はいつも窓ガラスを開け放ち、死神が話しかけてくるのを待った。死神が話しかけてくるときはいつも「生きてますか?」で始まり、僕は毎日生きるように努めた。

「明日、最期に大学に行きたいんです」と相談したとき死神は「ぜひ手伝いましょう」と快く引き受けてくれた。本当に深く感謝している。

 その日は午前七時に起きた。そしてゆっくりと身支度をし、三十分後に死神が来た。

「おはようございます」インターホンが鳴り、ドアを開けると、この前と同じ茶色いベンチコートが立っていた。「おはようございます」と僕も挨拶した。

「じゃあ座ってください」死神はそう言って、車椅子を僕の方に突き出してくれた。「宜しくお願いします」五日前より、ちゃんと始まった。

 流石にもう階段を上り下りする体力はなかったため、車いすに乗り、死神に下ろしてもらった。地面に車椅子のタイヤが付くと、最期の通学になることを意識した。

 ふとした時に、死に対する恐怖がよぎった。死んだらどうなるのだろう。彼岸の世界は、本当にあるのだろうか。もし死んで、まるで眠るように僕の意識が消滅し、完全に僕という存在が消えてしまったら——。そう考えると、たまらなく怖く、何度も枕を濡らした。でも、死神の声が聴こえたら、なぜだか強く安心して、僕は少しでも前を向くことができていた。

 中央線に乗り、新宿で山手線に乗り換え、渋谷駅。そこから数分歩いて、僕の通った大学に着く。でも、行ったって今更意味はない。大学には親を介してもうすでに退学届けを提出したから、僕はもう大学生ではないのだ(両親に退学するとだけ言った時はひどく驚かれたが、もう僕には何の興味もないのか、事務的に作業を済ませてくれた。むしろ彼らからしたら、荷物が消えて嬉しかったに違いない)。だから本来、今日の通学も通学なんかではなく、ただ大学の構内を見に来ただけだった。

 大学に着いて、僕は死神とたまに話をしながら、構内を回った。懐かしい講堂とかを、一つ一つ見て回った。死神は別にこの大学じゃないだろうし、なぜわざわざ僕に着いてきてくれるのかは謎だったが、良心として受け取っておいた。

 十分ほど経って、僕は「自分語りを聞いてくれますか」と死神に訊いた。すると死神は「面白そうなので、遺言として受け取っておきます」と皮肉りながらも、促してくれた。

 僕はひどい言葉足らずだっただろうが、できる限り自分について死神に吐いた。ずっと劣等感を抱え生きてきたこと。両親にはほとんど勘当され、弟は優秀で引け目を感じていること。親のすねをかじり、いつまでも自立しようとしなかったこと……多くを語った。どう思われようが構わない、というように。ただずっと、大学のキャンパスや学生らを眺めながら。最後は「これから死ぬのが、あまりに最適な運命に思います」と締めくくった。

 死神は、何も言わず、ただ車椅子を押し続け僕の自分勝手な語りを聞いてくれた。そして僕の話が終わると、車椅子を止め、しばらくじっと口を噤んだ。僕も何も言わず、ただ死神がどうするのかを待った。そして数分の沈黙の後に、死神は言った。

「でも私は、前も言った通り、あんたのこと悪く思いません」

キャンパスの中に響く、学生らの声が聴こえるようになった。そして、それと同時に車椅子は動き出した。僕はただその言葉を頭の中に反芻し続けた。死神はただ車椅子を押し続けた。二人ともそれ以上何も言わなかった。そして、それは心地よい沈黙だった。


 7


 帰りに書店に寄ってもらい、文房具を買った。十二色入りの色鉛筆、油性の蛍光ペン、マーカー、アクリル絵の具、スケッチブック……などを買った。死神はそれを買った理由を尋ねたりはしてこなかったが「最後に絵くらい、描いてみようと思います」と自分から自白した。

 今までスムーズにやってこれた会計も一苦労で、小銭を出すのにも時間がかかってしまった。死神が手伝ってくれたけれど、やっぱり後ろを少し待たせることになった。

 文房具を買い終え、僕らは渋谷から山手線に乗り、中央線に乗り、中野の街へ帰った。帰り道、僕は試しに死神に「少しで良いから、あなたのことを教えてください」と言ってみた。しかし死神は「いずれわかります。それにどっちにしたって、誰でもない、ただのあんたの隣人ですよ」と、あの日と全く同じことを言った。

 アパートの階段も、申し訳ないけれど、死神に上げてもらった。死神は「軽いから大丈夫ですよ」と言うけれど、そういう問題じゃない。少し悪い気持ちになった。でも、ごめんなさいだなんて言ったら、きっと的外れだから「ありがとうございます」と、僕は言った。死神は何も言わなかったけれど、顔は笑っていた。

 ドアを開けると、また同じように、死神は部屋に車椅子を持ちながら帰って行った。僕は何も言わなかった。さよなら、とも、ありがとう、とも。死神も何も言わなかった。まだ話して二週間ほどしか経っていないけれど、言葉はいらいような気がしていた。

 ドアが閉まり切ったとき、僕の最期の、自主的な外出が終わった。それ以来、僕が外に出ることを求めることはなかったし、身体もどんどん衰弱していった。死神との会話は続いていたけれど、日に日にその時間は短くなり、僕の発する声の音量も、少しずつ小さくなっていった。


 8


 「最後の通学」をした次の日、僕は絵描きを始めた。僕はもう、何を描くか決めていた。それは絶対に、死ぬまでに僕が描き切らなきゃいけないものだった。あまり力の入らない手で、何とか起き上がらせた身体で、僕は必死に絵を描きだした。使えるものは全部使って、スケッチブックの一枚一枚に丹念に線や色を付けていった。

 絵を描いたことはなかったし、絵を描くことは好きじゃなかったけれど、僕はそれを十二分に楽しみながらやっていけた。たまに過去を振り返って。たまに死神との塀越しの会話をして。日に日に弱っていく身体とともに、僕は余命を生き抜こうとした。


 十二月二十五日。僕にとって、おそらく——じゃない絶対最後のクリスマスがやってきた。もちろん、サンタクロースやトナカイなんて僕の元には訪れないし、豪華な七面鳥やシャンパンを開けることだってない。だけれど、世間ではクリスマスで盛り上がっており、夕方のニュース番組もデパ地下のクリスマスグルメを特集していた。僕にとって、そんなのは縁のない話だった。まともにクリスマスを楽しんだことすら、これまでになかったのだから。

 しかし、その日の夕方、僕は二十三年という人生の中で、一番のクリスマスを楽しんだ。すべて、死神のおかげだった。

「生きてますか?」いつもの挨拶が聞こえた。僕は「生きてます」と蚊の鳴くような声で返事した。身体はほぼ起きず、目を瞑ることが多くなった。でもそれには何としてでも返事しなきゃいけなかった。

 死神の声でその時思い出したのは、いつの日か死神が「病院、行かなくていいんですか? 今からでも、何かできるかもしれませんよ」と訊いてきたことだった。たぶん、その日から約一週間半前くらいのことだ。でも僕は、それを断った。「入院して苦しみながら少しでも長く生きていくくらいなら、自分の部屋で予定された最期を迎えた方がいいです」僕にしては、ちゃんと自分の考えを言えた、数少ない機会だった。死神は僕の返事を聞くと、それ以上追及したりはせず「まあ、入院する必要もないですか」と言った。

 回想していると、死神の第二声が聴こえた。小馬鹿にするような声。

「今日はクリスマスですけど、その感じだと、何もしてないっすね」

 僕はむきになって「ああそうですよ、何もしてないですよ」と言いながらも、笑う。

 窓の外には、オレンジに染まる夕焼けと、クリスマスで光り輝く街がある。そして、その中に死神の声が響く。

「せっかくですから、乾杯、しましょう。今からそっち行ってもいいですか?」

 突然のことに驚いたが、今までのことを考えると大したことじゃなかった。僕は「どうぞ。散らかってますけど」と言って、死神を自室に招いた。

 数十秒後、死神が水とグラスを持ってやってきた。青紫の髪色と、茶色いベンチコートを視界の端にとらえたとき、僕は底の知れない大きな安心感を覚えた。

「全く、散らかりまくってますね。だらしない私の部屋の方が綺麗です」部屋に入ってきて死神が最初に言ったのがそれだった。死にかけの僕を見ても、通常モードでいてくれる死神が、本当に心の支えだった。

「あなたは本当に変わりませんね」僕がそう言う。すると死神は「私はいつも隣人ですからね」と言った。クリスマス気分で、頭が回っていないのかもしれない。

 死神は僕の部屋に入ると、わざわざ空にしてから水を入れたシャンパンボトルを手に持ち、二人分のグラスに水を注いだ。僕が「わざわざこんなこと、しなくても良いんですよ」と言うと、死神は「もしあんたがよいクリスマスを送れなくて後悔して霊にでもなられたら、こっちが困りますから」といつも通りに言った。

 そして、死神は僕の痩せこけた手にグラスを持たせると「乾杯」と言って僕のグラスに自分のグラスをぶつけた。僕も「乾杯」と言った。涙が出そうになるのを、必死にこらえた。僕は何とか水を飲み「無味です」と言った。死神も「水のクリスマスですからね」と言って「やっぱ無味」と笑った。

 水はすぐに尽きて、それから僕らは他愛もない雑談をした。交わした言葉はそこまで多くはなかったけど、空白で多くを通じ合うことができた気がしていた。くだらないことで笑って、今までを振り返って感謝した。つないだ死神の手は温かかった。

「最低最悪のクリスマスです」部屋を出ていくとき、死神はそう言ってこちらを見て微笑んだ。僕も「ああ、間違いなく最低最悪のクリスマスになりました」と言って笑った。

 ドアが閉まった。最近で一番起きていた日だった。夜も少しだけ更け、でも街の明かりは確かに輝いていた。


 「死にたくない」と恐怖に震えることは、クリスマス以来もう一度もなかった。僕はやるべきことをやったし、死神と過ごした時間は本当に楽しかった。

 もちろん、生きられるのならば——。そりゃあやりたいことはたくさんある。死神が僕を生きたいと思わせたし、死神がいなければこうは思わなかった。しかし、衰弱していく身体を見るに、間違いなく僕はもうすぐ死んでしまうし、その運命は変わらない。だから、僕はもう何も考えず、それを吞むことにしよう。そう思った。

 十二月二十九日、背中は強く痛み、強烈な吐き気があった。流石に我慢の限界にその日達し、僕は痛む筋肉を動かしタオルケットの上で暴れ、もがいた。おそらくその振動が、隣にまで聞こえてしまったのだろう。僕の部屋のドアはクリスマス以前から鍵が開いてたから、簡単に中に入ってこれた。死神は、ドアを勢いよく開け入ってきた。

 僕は視界の端に、初めてとらえた。泣く死神の姿を。そして、その像がぼんやりと揺らいだ時、意識がぷつりと消えた。


 9


 目が覚めると、無機質な白いタイルが見えた。そして、僕はちゃんとしたベッドの上に横たわっていた。薬品のにおいが鼻をつく。直感的に、ここが病室であることが分かった。

 少し横を見ると、窓からは見慣れない景色が見えた。そして、まだ薄暗い青空があった。おそらく午前四時から五時くらいだろう。

 そしてその時、あの声がした。

「生きて……ますね」今日はいつもとは違うけど、はっきりとそれは死神だった。たぶん、まだ泣いてるんだろう。声が少し震えている。

「生きてます」僕は必死に言葉を返すよう努めた。死神はそれを聞くと、僕に尋ねた。

「起きますか?」僕は返した。「はい」

 死神はベッドを起こしてくれた。すると、僕の視界は病室内や外の景色を捉えられた。

 時刻は午前四時四十五分。時計の針はそう差している。さらに、表示されている日時によると、十二月三十一日。今日で今年が終わる。でもきっと、僕が新年を迎えることはない。今日で、あの日からひと月が経つのだ。

そして、病室内に人は死神と僕以外にいない。おそらく個室だろう。

でも、今そんなことは正直どうでもよかった。僕が何より驚いたのは、死神の服装だった。

 死神は、医師の着る白衣を着ていた。そして、おそらく僕の気色が死神にも通じていたのだろう。死神は言った。

「気づいてしまいましたか……全くこの人は」死神は笑った。

「あなたが僕のことを見たのは、医者だったからですか」笑う死神の後に、僕は訊いた。すると死神は、はっきりと頷いた。僕は、今なら死神は答えるだろうと思った。そしてそう思うと同時に、死神のことを知りたいと思っている自分に、はっきりと気づいた。

「少しで良いから、あなたのことを教えてください」

 そう尋ねた僕の言葉は、ちゃんと死神に届いた。病室内には、空調設備の小さな音だけが響いている。死神は話し始めた。

「まず初めに、私はあんた、いや、もう強気に見せるために『あんた』だなんて言わなくてもいいですね。あなたに謝らないといけません。こんな嘘をついてきたこと。そして、いくらあなたが望んだとはいえ、医者なのに助けなかったこと。本当にごめんなさい。いいですよ、だなんて言わないでください。私のこれまでの行動は、あなたにとって良かったかどうかは分からないけれど、医者として失格です」

 僕は何も言わず、ただその後も死神の言葉を聞き続けた。

「だからこそ、あなたに名前を聞かれたときに、私は自分の率直な思いとして、死神と言いました。私は、命を助けられるかもしれない職業なのに、あなたの命を助けなかった。あなたが治療を望まなかったとしても、私は治療をすべきでした。医者ならば、基本的にそうします。半ば強制的にでも。しかし私は、それをしなかった。できなかったのです。入院を拒否するあなたを、強制する気にはなれませんでした。

 あの日、病院から、泣きながら走り出るあなたの姿を見ました。そして、私は以前からまあ当たり前ですけどあなたのことは隣人ですし知っていましたから、あなたに何があったのか気になり、あなたの診察をした医師に訊きました。そしたら余命宣告を受けああいうふうになったと聞かされましたから、何かまずいことになるのではないかと思い、私はあの日急いで帰宅しました。そしたら、ベランダでフェンスに手を置いているあなたの姿を見て、何としてでも止めなきゃいけないと思い、ああいう形をとりました。ちょっと嫌な気持ちになったかもしれないと思います。ごめんなさい。

 そして、部屋に戻った後に、私は無性にこう思ったのです。あなたをどうにかして前向きな心にさせたいと。それは別に、医者だから、ではなくて、多分私という一人の人間が、そうしたいと思ったんです。だから、あなたを連れて行きました。外に。その日病院から、車椅子を借りてきて。病院には事情を伝えたら何とか了承してくれましたから安心してください。

 あなたと一緒に、新宿に行った日。多分私は、いつの間にかあなたとの時間を楽しんでいました。あなたの心を前向きにしたいと思ってやっていたことが、いつの間に自分の楽しみになっていたんです。あなたは、思っていたより、後ろ向きで、弱い人でした。でもそれ以上に、優しくて、面白い人でした。だから私は、あなたと話したいとか、恩着せがましいですけど支えたいとか、そういうふうに思ったんです。

 あなたの大学に行ったのも、毎日部屋越しに話したのも、クリスマスの乾杯も、全部全部、私にとって大切で、楽しい思い出になりました。あなたがどう思っていたのかは分からないけれど、私は一人の人間として、隣人として、あなたにできることをやって、あなたとの時間を大切にしていました。たとえそれが、医者としては失格だったとしても。

 だから今、これから多分死んでしまうあなたに、言わさせてほしいことがあるのです。不適切だって分かって言います。医者としても、人としても、失格だって分かって言います。私は我慢できるような素晴らしい人間ではどうやらないようです。死神のように、悪魔みたいなものです。

 私は、あなたのことが好きです。心から愛しています。あなたが死んでしまったとしても、霊として目の前に現れてほしいくらいに、あなたのことが好きです。そしてありがとう。あなたがいなかったら、私はこんなにも人のことを好きだって思わなかったし、こんなにも大切な時間を過ごすこともありませんでした。あなたが死んでしまうことを、心から惜しいと思いますし、素直に辛いです。悲しくてたまりません。

でも、私は今だけは医者に、一人の素晴らしい隣人になりたいと思います。だから、最期はちゃんと、笑顔であなたを送ります——」

 泣きはらした彼女の笑顔とともに、話は終わった。僕は、泣いていないと思いたいけれど、きっと泣いていた。あの日よりも、ずっと。涙だけは、どうも普通の人と同じように出るみたいだ。

 僕は、多くを言いたかった。でも、声が思うように出そうになかった。彼女に言いたいことはたくさんある。感謝の気持ちもそうだし、このひと月、こんな僕に、隣人にここまでやってくれたことに対する思いもそうだし、僕の今の率直な気持ち全部。でも、それを語れるだけの時間も、言葉も、僕には残されていない。

だから僕は、一言で彼女に全部を伝える必要がある。けれども、頭の悪い僕には、きっとその言葉を出せるだけの能力はない。今までろくに勉強してこなかったことを恨む。でも、僕なりに、彼女に伝えるために、必死に考え抜いた言葉は、絶対に最適であるはずだ。今まで空白に逃げてきた。でも今は、逃げない。逃げちゃいけない。

そして、思いついた。一番、伝えなきゃいけなかった言葉。そして、僕が今思ってること全部を圧縮した言葉。数分の沈黙のあとに、僕は明白にそれが分かったのだ。

思いついたと同時、呼吸が浅くなりだした。心音が遅くなる。少しずつ、身体の感覚が消えていく。彼女が、笑顔で僕を見つめ、手を握るのを感じる。機械音がうるさく鳴りだす。素直に、死ぬということを知る。でも今は、もう怖くない。

孤独で、何でもない僕を前に向かせてくれた彼女に、言わなければならない。これまでを思い出して、頭の中で記して。その贈り物を。

全力を尽くして、僕は言った。

「大好きです」


 10


 青年の死から三か月が経った。彼の身体は骨になり、彼の部屋も空き部屋になった。

 新年を前にして死んでしまった彼は、今世界を震撼させている新型コロナウイルスのことも、きっと知らないままなんだろう。でももしかしたら、知っているのかもしれない。

 彼が今どうしているのか、存在しているのか、誰も知る由もないけれど、彼の部屋に残されたものは、間違いなく届いていた。

 隣人の部屋には、油性マーカーなどで薄汚れたスケッチブックがある。そして彼女は、そのスケッチブックを毎日見る。スケッチブックはすべてのページが絵によって埋められ、そしてその絵では、ある男とある女が旅行に行ったり、ベランダで話したり、病院に行ったりしている。どれも拙い絵で、世間に認められたりなんてとてもじゃないがない。しかしその絵は、この世界に七十億といる人々の中のたった一人の女性の心を震わす。彼女はそのスケッチブックを見るたびに、涙ぐみながら「生きてますか?」と尋ねる。もちろん誰かが返すこともないし、彼女自身もそれを求めていない。ただじっと、もういない彼の存在に手を触れようとしているのだ。

 言葉によって交わせるのは、たったの少しだったなと彼女はその絵を見て思う。そこに彼がいて、自分がいて、それだけでやっぱりすべてを分かち合えていたような気がしている、と。

でも彼は最後に、本当に僅かな声で「大好きです」と言った。それは彼が全身全霊で込めた最後の言葉だった。それに今手元にある絵も、彼が必死に残したものだ。だからこそ彼女は、残されたものを受けて、彼の存在を受けて、次を生きていかなきゃいけない。今度は、隣人ではなく、死神でもなく。一人の医師として、一人の人間として。

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Word 水無月うみ @minaduki-803

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