出張先での偶然?

仁志隆生

出張先での偶然?

 あれは十数年前、仕事で地方へ出張した時の事だった。

 ほんと今思うとなことだった。



 仕事が終わって時計を見ると時間がまだあったので、せっかくだからと駅の近くを見て回ることにした。


 しばらくして、結構流行ってそうな商店街が見えた。

 中を通るとやはり賑わっている。


 平日でこれなら土日祝日はもっとなんだろなあ、と思いながらふと目をやると、そこに少し古びてはいるが結構お参りしている人が見えるお寺があった。


 へえ、こんな商店街の中にもお寺があるんだ。 

 よし、ちょっとお参りしよう。

 そう思って門を潜った。



 

 本堂の前でお賽銭を入れ、目を閉じて手を合わせる。

 子供の頃はお寺とか神社とか関係なくなんか願っていたが、大人になってからはただ見守っていてくださいといった感じだな。

 それでいいのか知らんけど。

 

「さてと、お参りした後でなんだけどここの御本尊様はどなただろ?」

 辺りを見ると案内板のようなものがあった。

 そこに書かれていたのは仏様というか仏教の守護神様。

 他にも何か書いて……はい?


 このお寺、行きの電車の中で読んでいた本に出ていた歴史上の人物にも縁があるお寺だった。

 読んでいて機会があれば縁のある場所に行こうかなと思っていたから、


「こんな偶然あるんだな、いや……」

 普段なら珍しいなとは思ってもよく知らんお寺に入ろうなんて考えない。

 けどこの時はなぜか自然に入ろうと思ってしまった。

 え、もしかして……?




 ってそれは考えすぎかと思い、また手を合わせて心の中でこの縁にお礼を言った後、帰路についた。

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