悪夢
暗黒神ゼブラ
悪夢
俺……の名前は……梶谷(かじたに)……洋介(ようすけ)……グハッ
「ねえ君たち人間ってどうしてこんなに弱いの?……まあいっかそんなこと食べてから肉体に聞くから」
……待ってく……れ……まだ俺は
バクンッ
「あははは、これでこの街の人間は僕たちサゼツが葬った。やっと博士の願いを叶えてあげられるよ。後は…………全員集まれ!!! そう、合体してこの街を破壊する」
そしてサゼツたちは合体し三十一メートルはありそうな巨体になり、海の一部を喰らいその勢いで津波を起こした。
俺はというと……霊としてあっちの世界に行っている途中にこれを見た。
…………バアッ
なっなんなんだ今の夢は……怖すぎて飛び起きてしまった。
ていうかなんだよ喰らった生き物の姿になれるサゼツって……昨日はホラーゲーム実況見てないけどなぁ、俺疲れてんのかな。
そういや部屋の掃除だいぶしてないな……久しぶりに隅々までしてみるか。
そして俺は部屋の掃除を始めた。
そしてあと掃除してないのは天袋だけか……あそこなかなか手が届かないんだよな。
まあそれは俺の身長が低いから……ってそんなわけあるか、ただ位置が高いところにあるから届きづらいだけ。
脚立を持ってきてっと……よいしょ、よいしょっと……ふう疲れた。
体力落ちたかな?
俺はそう考えながら天袋の扉を開けると……中に生きた人がいた。
俺は驚き脚立から落ちてしまった。
そしてその中にいた男性はこう言いながら何かに怯えていた。
「奴らがくる奴らがくる奴らがくる…………」と
「なあアンタ俺には、その"奴ら"ってのがどんな奴かは知らないが……避けてくれないか? 掃除が出来…………」
ゔゔゔ頭が痛っ
なっなんなんだこの男の近くにいると頭が痛くなる。
すると男が
「僕たちは潜んでいる。君たち人間の身体を、纏って。僕はサルベド・ゼツ・ガロン……略してサゼツと呼ばれる化け物は僕をベースに作られている。……今奴らに見つかれば確実に殺させるんだよ!! 用済みになった僕は!!」
「いや、だとしても勝手に人の家に……? なっなあアンタどうやって家に入ったんだよ。鍵かけてたのに」
「そんなに不思議に思うことかな?……こんな感じに……」
……ボン
「姿を変えたんだよ。僕の能力は変化(ヴェランデゥリング)……まあ奴らにはすぐに気づかれるから……ここに隠れさせてもらってたんだ。勝手に入ってすまない」
なんだかこんなこと前にも……何か忘れてるような……まあ忘れてるってことはそこまで重要じゃないだろ……多分
「というかそのサゼツ? とかいう化け物ってなんだよ…………」
するとこの男が
「すまない君、今すぐここから離れてくれ!!」
俺はなぜ、とそう聞こうとした。
その時突然家の壁が破壊され白い化け物が現れた。
「ハロー、博士から君を殺せって言われたから来ちゃったよ〜……なんだか知らない人間もいるけど……まあ喰えばいいか……いっただきま〜す」
「危ない!!」
男はそういい俺の背中を押した。
ガン!!
「おい、アンタ……下半身がない……これって俺のせいだよな……きゅ、救急車呼ばないと……」
「大丈夫だよ……下半身ぐらいなら……よっと、すぐ治るから。ほらね」
なんなんだこの生き物たちは、もう人間じゃないだろ。
「もう、なんで人間を助けるのさぁ。人間は僕たちを地底のそこまで追いやった存在じゃないか、君が一番分かってるだろサルベド……僕たちは全て君から出来ているんだから、君の記憶や想いだって見てるし知ってる。なのになぜ? 気でも狂ったか?」
こいつらは地底人ってことでいいのか?
俺がそう考えていると……一人また一人化け物が増えていった。
そしてその光景を見た俺は、こう思った。
これは悪い夢だ……と。
なぜなら増えた化け物は俺の友達、家族を喰らいながらその姿に変わっていったからだ。
俺の家には家族や友達の血が溢れている。
そして悟った次は俺の番だと。
準備する暇もなく順番はすぐに来た。
バクン
…………はあ、はあ
またこの夢か、なんなんだこのリアルな夢は本当に!!
……まさか何かを暗示しているのか?
そういえば最近博士号をとった奴が奇妙な実験のために人を殺したとかで捕まってたな。
しかも殺された人がその後帰ってきた……みたいなおかしなことがネットで書かれてたな
そしていつも通り顔を洗いに洗面台に向かった俺はあることに気づく
……なんか俺の顔おかしくないか?
そう俺の顔が昨日一緒に授業を受けた阿良神真也(あらがみしんや)の顔になっている。
しかも腕には数字が書いてある。
No.9と
なんだこの数字?
その時は俺は思った。
もしかして入れ替わってる!!
と……いやそのセリフはただ言ってみたかっただけなんだけど。
もしかしてこれは自分のなりたいものになれるとか!! そんな感じのやつか!!
そう思った俺は今まで自分がなりたかった人になってみることにした。
……おお!! すごい、本当に身体まで変えられるなんて……身体も顔も変えられる?
あの夢みたいな状況だよな、これ
しかもサゼツの能力そっくりだし
そう考えていたら小さなミニミニサゼツみたいなやつがこう言いながら歩いてきた。
「もう幹部会始まってますよ……No.9この姿気に入ったんですか? 一昨日食べた人間の姿ですよね、確か……というか急がないとNo.1に怒られますよ」
はあ、何言ってんだこいつ。
こいつの言ってることが正しいなら俺はもう人間じゃないってことになるぞ。
そもそもNo.9ってなんだよ、俺には梶谷洋介(かじたにようすけ)って名前が……
「あっもしかしてNo.9忘れてますか? 私ちちサゼツは喰らった生き物の全てを引き継げること……だから様子がおかしかったんですね。まるで人間みたいって思ってましたよ、ふふっ……まあ今は人間の姿してるから当然ですよね。それでは参りましょうか」
「ちょっちょっと待ってくれ、すぐ行くから少しだけ確認させてくれ!!」
「確認ですか? まあいいですけど」
そして俺は鏡の前で元の姿と念じた。
するとその姿は夢で俺を喰らったサゼツの姿だった。
あぁぁ、あれは夢じゃなかったのか、俺はもうとっくに死んでたのかよ。
やっぱりこれは……悪夢だよな
おしまい
悪夢 暗黒神ゼブラ @ayumu20
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます