なんとなく気になる後輩女子だった、そのひと。 自分に自信のない主人公は、ただ、普通の会話をするだけです。 第三者から見れば、すごく脈がありそうに見えるのに。 思い出になってしまった、そのひと。 時がたち、別の女性と家族を持ってから。 ショックな知らせが…… 家族とお寺に行った主人公の追憶が、気づきが、心に迫ります。
或る夏の日、主人公は妻と幼い娘を連れてお寺を訪れます。そのお寺が管理しているお墓には、主人公のかつての後輩が眠っていて……。穏やかな主人公が、後輩との思い出を振り返りながらぽつりぽつりと語っていく本作。主人公が口下手だからこそ、読み手の胸には彼女に向けた想いがひしひしと迫ってくるのです。静かに、じわりと、目頭が熱くなる感動作です。