ツインレイさんこんにちは。

白川津 中々

▪️

ツインレイを検知できる装置"ハーフ&ハーフ"が世に出て数年、世間ではすっかりツインレイマッチングが浸透しニコイチ現象が起きていた。


ハーフ&ハーフは自分のツインレイがいる方向と距離が表示され、距離1mまで接近すると点滅発光に加えてファンファーレまで流れるというパチンコスロット顔負けの演出がなされる仕様。街中ではオールシーズン激アツ演出が昼夜問わずに発生しちょっとした問題になっていたのだがツインレイとのマッチング希望者、あるいは既にマッチング済みの元希望者は多数派となっていた事から「仕方ないですね」の一言で片付くのであった。子供の遊ぶ声やら隣人の生活音にもこれくらい寛容であってほしいものだ。

そもそも原理不明のハーフ&ハーフをなぜ信用するのか……いや、それをいいだしたらツインレイなどという眉唾もいいところの存在がどうして許容されているのか不明である。世ではツインレイ婚などという言葉が産まれた、16歳の女子高校生と禿げた中年が入籍したなどグロテスクな事案も耳に入る始末。どうなっているんだと思わず天を仰ぐ。もし仮にハーフ&ハーフがまったくのポンコツだったら、あるいはツインレイが出鱈目であると結論付けられたら社会はどうなるのだろう。自分の片割れがいきなり赤の他人となり、前世の自分は藪の中へと消え、女子高校生と禿げた中年は縁もゆかりもなく婚姻したという事実が残るのみとなる。そうなったらこれまで同様、寛容と許容は維持されるのか。もう一人の自分でなくとも愛し愛されるのかどうなのか。是非、混乱を極めてほしいものだ。もっとも、繋がる事のないシングルレイの俺には無関係なわけであるが……




部屋の外では今日もまた、けたたましいマッチング演出が行われている。


長い長い、一夜の間。

長い長い、一編の人生。

明日の行方も分からずに、ただ一人、ずっと一人……

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