60話

それから1時間たって、まったく釣れなくなった。

「釣れなくなったな」小久保さんが言う。

「そうですね」僕が言った。

「タナを早く見つけるしかないな」

「タナってなんですか」

「タナっていうのは魚の泳いでる層のことだ

海底付近で魚の反応がないときは底層から中層、そして上層まで

探って魚の居場所を見つけるのがコツだな。」

「アジってどこら辺にいるんですか」僕が言った。

「アジは底から中層にいることが多いよ」

「なるほどです。けどさっきから色々と試してるけど釣れないですよ」

「それはしょうがない。魚も毎回いるわけじゃないから」小久保さんが言った。


それから1時間して、やっと釣れ始めた。

最初は僕から、アジ1匹連れて。

それから小久保さんが1匹連れて

交互に連れ始めて

20分間のうちに2人合計で15匹釣れた。

僕は5匹 小久保さんが10匹。

「かなり釣れたな」小久保さんが言った。

「魚ファーバーでしたよ。海の中に釣り糸たらしてたら

大体釣れちゃうんですから」ぼくが言った。

「追い喰いしてくれて助かったよ」

「小久保さん3匹一気に釣れてましたもんね」僕が言った

「1匹ハリにかかって暴れると、魚が周りにいる魚を刺激して

2匹目、3匹目が後を追うように食ってくれるんだよな。」小久保さんが言った。

「僕は1匹ずつだけでした。」


腕時計は11時をさしていた。

「そろそろご飯行くか」小久保さんが言った。

「竿立てといて、行きますか。釣れてたらいいですね 」僕が言った。

「そうだな」小久保さんが言った。


釣り施設の食堂でご飯を食べた。

「今日は結構釣れたぞ」小久保さんは上機嫌である。

「海眺めてると気分がいいですよ」僕が言った。

「そりゃ、そうだろ。毎日野球の球を追いかけるのは気が滅入るよ」小久保さんが言った。

「小久保さんは野球飽きそうになったことあるんですか」ぼくが言った。

「毎回試合するからね。たまになんで野球毎日やってるんだと思うことはあるよ。

なんたって1軍は140試合以上するからね。けど野球が仕事だし、試合でヒット打つと気持ちがいいからね」小久保さんが言った。

「僕はまだプロ1年目ですから。このチャンスものにしようと必死です。」

「そうそう。その気持ち大事に。チャンスなんてレギュラーに取られたら回ってこないわけだし。よくショートの常田さんからスタメン勝ち取ったな。お前かなり期待されてるぞ」

「それは分かってますよ」

「首脳陣としては、若手が活躍してくれるとうれしいんだよな。

長期的に物事を見れるわけじゃん。」

「常田さん。歳ですもんね」


ご飯を食べながら話をした。

うどんを食べている。

「あったかいうどんはいいよな」小久保さんが言った。

「海の近くは寒いですから」

「アジのフライとかおいしいかもな。

今日釣り終わったら、俺の家行くか」

「いいんですか。魚パーティしましょう」

「それだったら、一人同期呼んでもいいぞ。」

「安藤呼んでもいいですか」

「いいね、ラインしといてよ」


僕は安藤にラインでメッセージを送る。

すると、今日夜は空いてるらしい。

僕は小久保さんの家に行こうと誘って

おけの返事をもらった。


「安藤行けるらしいです」

「よし、魚あと、10匹釣るぞ。」小久保さんは元気になった。


12時30分になり

釣りを再開した。

小久保さんの釣り竿に当たりがあり、

アジが2匹釣れていた。

「ラッキーだったな」小久保さんが言う。


1時になって、

2人でこの時間帯あんまり釣れないなと言っていたら

隣で魚が釣りあがっていたので

来たと思い。2人で色々試行錯誤しながら魚が食いつくのを待っていると

小久保さんが当たりをひいた。

アジ1匹釣りあがるのを見て。

僕にも早く来ないかなと待っていると

竿の先がピクっと揺れて竿が重くなったので

かかったと思い。リールを回す

3匹のアジが釣れた。


それからはあまり釣れなくなって今日の釣りは終わった。

「今日は魚釣れすぎだな」小久保さんが言った。

「こんな釣れた日はないです」僕が言った。

「2人で合計で、30匹以上釣れたよな」小久保さんが言った。

「でかいクーラーボックスで良かったです。」僕が言った。

「こんなに釣れることはないよ。」小久保さんが言った。

「普通何匹ぐらいなんですか」

「たぶん、10匹とかそこらだよ」小久保さんが言った。

「これ今日は魚料理ですね」

「安藤にも頑張って食べてもらわないとな」小久保さんが言った。


車に戻る時に

横浜ゴールデンウルフズの帽子を被ったファンにあった。

「小久保選手と柊選手ですよね」横浜ファンが言った。

「おう、よくわかったな。」小久保さんが言った。

「釣りに来ているなんて驚きました」

「まあ、休日だしな。サインいるか」

「いいんですか」横浜ファンの人が言った。

たまたま、小久保さんが色紙を持っていたらしく

僕と小久保さんは色紙にサインを書いて横浜ファンの人にあげた。

それから、車に戻って小久保さんの家に向かって行った。

「今日は、大量でしたね」僕が言った。

「安藤にラインしといて、30匹ぐらい釣ったって」

「了解です」僕は言った。

車は、港沿いから、町に戻っていった。

「初めて、横浜ファンの人にプライベートで声かけられました。」僕が言った。

「意外と気づかれないからね。あの人は柊のことも知ってるみたいだから結構なファンだよ」小久保さんが言った。

「僕は横浜出身だけど、父が阪神フェニックスのファンだったので

子供のころは阪神フェニックスのファンでした。」

「そうなんだ。俺の子供の頃は、読売ガゼルーズのファンだけどな」

「プロ野球選手になると、色々な球団と対戦するので、楽しみですよね」

「それぞれの球団の特色があるからな」小久保さんが言った。

車は、小久保さんの家についた。

「おお、ここが小久保さんの家なんですね」

「柊、クーラーボックスを俺の家に入れてくれ」小久保さんが言った。

「了解です」僕が言った。

小久保さんの家に荷物などを入れて整理した。

「それにしても、魚臭いな。柊シャワー貸してやるから、体洗ってこい」小久保さんが言った。

「いいんですか。」僕は言ってシャワーを浴びてきた。

シャワーを浴び終わった後、安藤が来ていた。

今は4時30分

「安藤早かったじゃないか」小久保さんが言った。

「柊が5時ぐらいに来てって言ってたので、少し早くに来ました。」安藤が言った。

「ちょっと2人で話していて、シャワー浴びてくるから」


小久保さんがシャワーを浴びに行った。

「休日の釣りはどうだった」安藤が言った。

「結構人がいたよ。今回の釣りは結構魚が釣れたから楽しかったかな。

まったく釣れない時もあるからね」僕が言った。

「今日は、ラーメン屋に園田さんと長妻さんと行ったよ」

「安藤も先輩とちゃんと絡んでるね」僕が言った。


小久保さんが風呂場から出てきて、ご飯にしようと言った。

どうやら小久保さんが料理してくれるらしい。

「園田さんと長妻さんとで何の話をしていたの」僕は聞いた。

「最近、株が上がってるとか。ゴルフだったら横浜ゴールデンウルフズの中で誰が一番ボールが飛ぶかみたいな話かな」

「株か。いま流行ってるよね。安藤はやるの」

「やろうと思ってるよ。」

「それに、ゴルフとかって安藤やったことある?」

「いや、やったことない。」

「プロ野球選手はゴルフで飛距離が飛ぶらしいね」

「その話は聞いたこある」

2人で話をしていると、アジのフライの料理ができたようだ。

小久保さんがテーブルの上に料理を出す。

「美味そうですね」安藤が言った。

「だろ。料理は得意なんだ」小久保さんが言った。

いただきますをして食べることになった。

アジフライ以外にも、小さめのハンバーグがある。

「うん、アジうまいですね。自分が釣った魚は美味く感じます」僕が言った。

「店の魚より美味いんじゃないか」小久保さんが言った。

3人で箸を進めているとあっという間にアジがなくなった。

「アジと言っても小さめですからね」僕が言った。

「おいしかったです」安藤が言った。

料理を片づけて、皿を洗った。

「明日、試合ですから10時に寮に戻ります」僕が言った。

「了解」小久保さんが言った。

今、6時だからその間暇である。

「俺の初打席見る?」小久保さんが言った。

「見たいです」僕が言った。

小久保さんの初打席をmilチューブで見ることになった。


横浜ゴールデンウルフズ対読売ガゼルーズの試合

小久保さんが左打席にはいる。

初球、カーブを見逃してストライク

2球目、インコースのストレートを見逃してボール

1ボール1ストライク

3球目、アウトコースのカーブを引っ張って打って

1,2塁間を抜けてライト前ヒットとなった。


「初打席初ヒットなんですね」安藤が言った。

「そうなんだよ。この打席は今でも覚えてる」小久保さんが言った。

そこから、プロ野球の珍プレーや好プレーの動画で盛り上がった。

時間は9時になり、小久保さんと別れて

安藤と2人で寮に戻った。

寮の控室でストレッチをして明日に備えた。

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柊のプロ野球生活 Taku @Taku777701

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