初めての実戦で玲香がインターリ、リトス、シオン、レトンの四人と共にやってきた砦。


「なんで誰もいないのかしら?」


「……わからないわ。何故、こんなにも魔族の気配がないのでしょう?」


「そうですわね。ここまで、何者とも戦闘することなく来られていますし、かなり不気味ですわ」


「これ、私は楽に初めての実戦であるという実感は今のところ、」


 だが、その砦の中には既に一切の魔族が姿がなく、静寂ばかりが広がっていた。


「……何で、こんなにも魔族がいないの?」


「怖気づいたのかしら?」


「いや、それはないはずだが……あいつらはここを死守するような構えを取っていたはずだし、それ相応の理由がある場所だ。死兵を固めているからこそ、ここは難攻不落認定されていたはずなんだが……」

 

 それに対して、玲香たちの中で困惑の感情が広がっていく。

 ここから兵が引くことはありえない。

 それが人類陣営の見立てであり、だからこそ、自分たちの最高戦力でもあるインターリやリトス、シオンにレトンまでフルで突っ込んでいるのだ。

 ここまで魔族がいない。静寂……というのは、ありえないというのが考えだった。


「それに、撤退したという報告もない」


 更に、砦の様子を監視していたものたちも、魔族が撤退する様子を見ていない。

 そんなもの、ありえないはずなのに。


「僕が頼んで、退けてもらったんだよ」


 そんな風に困惑していた中、その答えを告げるかのような声がこの場に響く。

 その声を、聞くだけでわかる。


「「ティエラッ!?」」


 シオンとレトンはすぐさま反応し、切羽詰まったような、感極まったような声を───魂から絞り上げる。


「当矢ッ!?」


 そして、その二人に続き、玲香の方も同じような声色でもって、名を叫ぶ。

 だが、その口より告げられる名前は他の二人と、まるで違うようなものだった。


「やぁ、久しぶり」


 そんな中で、この場に声を響かせるティエラはゆっくりと玲香たちの前へとその姿をさらす。


「「「「「……ッ!?」」」」」

 

「ふむ……この者たちが」


 その隣に魔王を伴って───。



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ゲームのモブに転生したワイ、ルンルン気分でゲームの世界を観光していたら、落ちぶれた悪役令嬢を拾ってしまう リヒト @ninnjyasuraimu

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