投入
玲香は今、同級生たちの中でも飛びぬけた実力を有している。
それは間違いない事実であり、その事実はこの国の上層部もしっかりと把握しているところだった。
「まさか、もう実戦に投入されるとはね……ここまで早いとは私も想像していなかったわ」
「とはいえ、今の玲香はもう人類最強格だと思うぞ?」
「……私、まだあなたに勝てる気が微塵もしないけど」
「俺は人類最強……三本指に入るくらいの実力者では一応あるからな。俺に勝てたらもう世界最強であると誇っていい」
「……最強はティエラですわ」
「そうです」
「……あいつはちょっと特殊過ぎるだろ、ステ振りが。目に見えないところの強さが飛びぬけてて……俺もあいつに勝てるビジョンはまるで見えないが」
「話が脱線し過ぎよ。今、考えるべきは今からの話でしょ。もう、玲香が実戦投入されるんだから」
しっかりと成長しきった玲香を何時までもあそばせているつもりは上もない。
もう玲香は、リトス、インターリ、シオン、レトンの四人と共に実戦へと投入されることに決まっていた。
基本的にはインターリたちと行動することの多いジャーダに関しては、玲香のクラスメートたちの教官として働いているため、不在だ。
「私なら問題ないわ。しっかりと戦いきって見せるわ。私が行うのは、魔族の砦の攻撃でしょ?」
「えぇ、そうよ。既に周りはこちら側の勢力圏へと組み込み、最後に残された防備の硬い大きな砦の制圧。それが私たちに与えられた任務……それで、玲香は本当に大丈夫なの?」
「何が?」
自信満々の玲香に対して、リトスは何処までも心配そうだった。
「これから、玲香が行くのは実戦なのよ。私たちはこれから殺しあいをすることになる……玲香たちの暮らしていた世界は殺しや争いが遠い世界だったのでしょう?そんな中で、大丈夫……かしら?」
そのリトスが言及するのはまず、魔族とはいえ、相手を殺すという行為に対するものだった。
殺し合いに、耐えれるのかどうか。
「安心して頂戴。私は躊躇ないわ」
それに対し、玲香は曇りなき眼で、一切の迷いもためらいもなく……怖いくらいな態度でそう断言するのだった。
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