星の魔導書屋は星を見ない
とある猫好き
星読みの魔女
曰く、その世には全ての権威が恐れる図書館があると言う。例えどれほどの年月が経過しようとも決して埃被らず、古今東西あらゆる本が保管されている、そんな図書館。
その図書館を実際に見たという人は数知れず。そうして人々はその図書館を畏敬の念を込めて伝承に残し、その伝承は形を変えて今も残っている。
大陸の端から端まで、その図書館の噂と伝承を知らない者はいない。
「土は人が生み出す数多の奇跡を。木は原初の炎と街の始まりを。石は降り止まない雨と血を。鉄は開花と束の間の自由を。そして夜空に棲む星読みの魔女は人々の願い、決意、そして行動を」
「───覚えている」
だがこの伝承には様々な諸説がある。
ある人は図書館ではなく、輸入品を扱う小売店の間違えだと述べた。
またある人は図書館でも小売店でもなく、美術品を扱う画廊の間違えだと述べた。
伝承はただ注目を浴びたい輩の戯言集なのか。
あるいは————
寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!
そこにあるのは数多の夢。
切羽詰まった人たちが最後に頼る店。
そこで一人の盲目な魔女がパイプを蒸し、次に訪れる客を待っている。
「あなたも一冊、いかがかな?」
星の魔導書屋は星を見ない とある猫好き @yuuri0103
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