第3話1年後

川畑さんとタバコを吸っていた。ひまわりワークスが開業してから、利用者が20人程になる。

仕事は相変わらず、

DVD箱の研磨と検品。

藤村は約2ヶ月磨きながら検品もしていたので、磨きより最後の検品作業が多かった。

そこに、小塚という40代の女が入所した。研磨作業のオイルの匂いがキツイので、他の仕事をさせてくださいと、田村さんに言う。

しかし、ひまわりワークスはこの仕事が現在の主力作業。

小塚はブツブツ言いながら、研磨していた。

ある日、たまには検品から外れて、研磨の作業をしていると、小塚が藤村に、

「ここは、もう少し磨いて下さい」

と、言う。

藤村は1年以上の仕事して、小塚は入所5日目だ。

藤村は頭に来て、

「キズはどれだけ研いても落ちない。そんなこだわり持つと作業が進まないよ」

と、言い返した。

小塚はブツブツ言いながら、また磨いている。

昼休みが入り、みんな昼食を食べ、昼食を取らない藤村は缶コーヒーを飲みながら、喫煙していた。

東雲さんに、今日のやり取りを話した。

「まだ、小塚さんは仕事が理解出来てないから我慢してね」

と、藤村に言う。


午後。

小塚は磨きの手が動かない。そう、コイツ居眠しているのだ。

それが、今に始まった訳ではない。川畑さんの話しによれば、小塚はいつも午後は寝ていると言う。

仕事を舐めている。

田村さんが、テーブルを叩いた。

びっくりして、小塚は起きる。田村さんも気付いていたのだ。

その日、藤村は川畑さんと飲んだ。コンビニで。

入って5日目の人間が、勤務1年の藤村に作業指示をする前代未聞の事態に腹を立てていた。

そして、居眠り。

しかも、小塚は汗かきで臭い。

ある日問題を小塚が起こす。

ロッカーの他人の香水を計3回、勝手に使ったのだ。それを見ていた他の利用者に、

「それって、窃盗じゃないですか?」

と、言われて、

「無造作に置く方が悪い」

と反論したが、周りは冷たい目で小塚を見る。

この馬鹿狂ってると、藤村は思った。

そして、小塚は言う。

「私って、何処に行っても目をつけられるんです」

と。

そりゃ、アンタ悪い事しかしないしね。会社の冷蔵庫の麦茶を勝手に、自分の水筒に入れるし。

48歳だが、84歳の旦那がいるらしい。

まぁ、結婚に年齢は関係ないがちょっとコイツ狂ってる。

そうこうしていると、素晴らしい仲間が入所してくる。

藤村が入所して、1年半が経つ頃であった。

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ピグマリオンの果実 羽弦トリス @September-0919

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