第13話 女神様罵倒大会

私のお悩み相談から1時間くらい経って、また皆で話始めたよ。


「日織を旅に連れて行きたいって話だったけど、ここを長く離れるってことで良いのよねぇ?」

「う〜ん…そうなりますね…すみません。迷惑でしたか?」

「違うのよぉ。会えなくなるから寂しくなるなと思っただけ。」

「お母さん…」


なんかまた違ったベクトルの罪悪感が…一度家族との別れを経験した娘にまた別れを経験させるとか…う"…ちょっと苦しくなってきた…

……いやまて、私は勇者だ…勇者ってのは大体、物語の主人公だ。だったら私にも主人公補正が付いてるはず!異世界でも何回かご都合展開あったし!


「むむむ〜」

「どしたの楓。急に踏ん張って…トイレならあっちだよ?」

「流石にここで漏らしたりはしないよ!?」

「冗談冗談。それで、なんでそんな難しい顔してるの?」

「あ、分かったぁ〜楓ちゃん。また罪悪感感じてるでしょ〜」

「あはは。バレましたか…皆が会えないのをどうにか出来ないかと思ったんですけど…」

「楓ちゃんは気にしなくて良いのよぉ。日織は長く生きるんだし、数年の辛抱だわぁ」


うーん。そう言われるとますますどうにかしたくなる…ぬぁぁぁ…駄目だ。何も思いつかないし何も出来ないよぉぉぉ…


「はぁ…駄女神ならどうにか出来るのかなぁ…」

「とは言っても、女神様に会う手段が無くないですか?」

「そうなんだよねぇ……あっ」

「?何か思いついたんですか?」

「いや…うん…一応?」

「なんで疑問形なんですか…どんな方法なんです?とりあえずやってみたら良いんじゃないですか?」

「その…割と非人道的なんだよね…」

「えぇ…ほんとにどんな方法なんですか…」


結構血も涙も無い方法を思いついてしまった…しかも成功する確率は全然低いし、やろうとしてることがほぼカツアゲと同じなんだよね……いや、まぁ女神だしいっか。


「よし!やろう!」

「うぇ?どしたん急に大声で…てかさっきまで渋ってなかった?」

「女神なら別に良いかなって思った。」

「なんて扱いの酷さ…」


よーし!そうと決まったら準備していくぞー!!なんか楽しくなってきたー!!


「皆にも手伝って欲しいんだ──」


ーーーーーーーーーーーーー

一方その頃女神は


「う〜ん…何やってるんだ楓は…」


なんだか嫌な予感を感じつつ、楓の様子を見る。流石に魔王倒した後に世界滅んでましたーっというのは悪いと思っているため、せめて様子だけでもと思い見ているのだ。


「机の真ん中にスマホを置いて…周りを全員で囲って…本当に何をする気だ?」


なんだかワクワクしてきた。実際は女神からカツアゲするためにしていることだが。一人一人の顔が生き生きとしているため、こちらの勘違いなのではないかと思い始めたのだ。


女神様はまだ知らない。この後地獄を見ることを。


ーーーーーーーーーーーーー


「よーし、いつでも行けるよ〜!」

「本当にこの作戦で行けるのか分からないけど、なんでもやってみることが大事だよね」

「せっかくだからやってみるか。」

「え、ええ?本当にやるんですか?」


準備万端!!これから我々駄女神に攻撃を仕掛けるっ!!


「じゃあせーので始めるよ…せーのっ!」


え?女神に攻撃は通じないだろって?フッフッフ…誰が普通に攻撃すると言った?



「バカァァァァァァァァァ!!!!」

「何もしない癖に偉そう!」

「戦犯駄女神!!」

「後先考えられないアホ!」

「このくらいどうにかしろ!!」

「え、えっと…ば、ばーか!」

「ルナちゃんそんなのじゃだめ!もっと心を込めて罵倒しないと!」

「ええぇっ…」



これが私ノ作戦っ!名付けて!『駄女神をボコボコに罵倒しまくってご都合展開を引き起こしちゃおう作戦』だっ!


…え、上手く行く訳無いって?知ってるよ。これは作戦と言う事名のただのストレス発散だから。女神が悪いんだから、このくらい受け入れるよね?…ね?


なんて現実逃避してたら、スマホにメッセージが来た。え、通じちゃった?


「な、なんか来た…」

「マジ?」

「やってみるもんだね。」

「それで、なんて書いてあるのぉ?」

「ちょっと待ってねぇ…」


メッセージアプリは…これかな?

お、開いた。メッセージメッセージ…これだ、女神から来てる。


「……ぶふっ……マジ!?」

「ど、どうしたんです?楓ちゃん」

「ちょ、これ見てみて!」


━Dear楓━━━━━━━━━━━━━━━


本当に悪かったと思っているからこれ以上は辞めてくれ…私のメンタルがゴリゴリ削れて、そろそろ泣きそうだ…お詫びにコレ付けておくから、本当の本当にもう辞めてくれ!


添付:【転移アプリ】【転移アプリ使用方法】


━from女神━━━━━━━━━━━━━━

「え、まじ?」


本当にご都合展開掴み取っちゃった!?しかも女神…様を脅して…な、なんかバグで先に進んでるみたいでちょっと罪悪感が…


「うぐぐ…それにしても本当にどうにか出来るなんて…最初から入れておいてよ…」

「まぁまぁ!良かったじゃないですか!さっそく使用方法見てみましょう?」

「……うん。そうだね!今回のはお詫びなんだから、私が気に病む必要は無いよね!」


そうだそうだ。なんか罪悪感もちょっとしか感じなくなってきたし、転移アプリの方を先に終わらせちゃお。


「えーっとなになに?【転移アプリ】の使い方。まず空間魔法を覚えます。は?」


おいおい…さっそく無理なんだが?あいつクソ駄女神使えねぇもん送って来やがった


「もう一回いっとく?」

「賛成。」

「罵倒タイム入りま〜すっ!」


ピコンッ


「…メッセージだ。」


━Dear楓━━━━━━━━━━━━━━━


ちょいちょいちょいちょい!!!最期まで見ろ!ちゃんと書いてあるから!もう辞めて!


━from女神━━━━━━━━━━━━━━


ふむ…


「なんか書いてあるらしい。ちょっと待ってね…」


『空間魔法の覚え方。基本は風属性の応用!空気の流れと繋がりを鮮明にイメージしよう!』


「空間の流れと繋がり?どういう意味かしらぁ?」

「多分ですけど、空気の流れって言うのは楓ちゃんが使える【風流】で良いと思います。あとは繋がりですけど…」

「空間同士の繋ぎ目ってこと?」

「漫画とかのテレポートをイメージしたら良いんじゃない?例えばだけど、空間に穴を開けて移動するやつとか居るよね?多分そんな感じじゃないかな…」

「なるほど…」


一つの考えだけど、空間を大きなパズルだと思うのはどうだろう。A地点からC地点に飛びたいとき、A⇛B⇛C って移動するのが普通だけど、それを魔法を使ってA⇛C⇛B って感じで空間を並び変えるとか…


「う〜ん…難しいな…このイメージはあんまりかな?」


次、AからCに直接飛ぶ。…うん。そもそもイメージ出来ない。


次…最初のを改良してみよう。A⇛B⇛C って繋がってる空間のBの後ろを通る感じだと行けるかな?


「う〜ん…なんか行けそうな感じが…」


後ちょっとイメージが足らないな…これだと普通に移動するのと変わらないから…


「Bに入った瞬間加速するイメージ……」


お。なんか行けそうな気がする!!


「よしっ!【転移テレポート】!!」


一瞬眩しく光り、思わず目を閉じた。そして光が収まり、目を開くとそこは──


「はは…成功だ…」


街の入口にある、巨大クレーターの真ん中だった。



ーーーーーーーーーーーーー

「えっ!?消えちゃいました!」

「まじ…もしかして転移魔法習得したとか?」

「凄…空間魔法はめっちゃむずいって日織昔言ってなかった?」

「うん…人間の理解じゃなかなか難しいんだよね…」

「流石、勇者は違うねぇ…」


混乱したルナとお母さん達を落ち着かせながら、楓の帰りを待った。多分そう遠くには行ってないだろう。


「ただいま〜」


予想通り、10分もしない内に帰ってきた。


「おかえり〜なんで転移で帰って来なかったの?」

「クールタイムあるっぽいんだよねぇ…便利だけどそうポンポン使う物では無いってことかぁ…」

「とりあえず帰ってこれたから良かったね」


空間魔法の習得…恐らくこの世界じゃまだ確立されて無い方法だ。これは【魔女】案件かな〜

ーーーーーーーーーーーーー


ふぅ、なんとか帰ってこれたから、次の手順に進むよ。続きは〜


「ふむふむ?カメラに向かって転移魔法を使います。なるほど、やってみよう。」


カメラに向けて…【転移テレポート】!


『術式を確認しました。マップアプリに術式を追加します。』


お、出来た。ほんで次は〜


「後は転移したい場所にスマホを置き、術式を起動すると魔法陣が設置されます。なるほど設置型か、ちゃんとイメージ出来る場所、あるいは一度行って魔法陣を置いた場所にしかテレポート出来ないってことだね。」


何それ超便利じゃん。異世界でも欲しかったんだけど?素材集めの時とか何回も往復したりさぁ…まぁ今考えても仕方ないか。


「注意書きまで丁寧に…えっと、設置した魔法陣を消したい場合は、スマホを魔法陣の上に置き魔力を込めることで削除することが出来ます。最大使用人数は5人までですと…」

「5人は一緒に行けるんですね。とっても便利です!」

「そうだね…何かデメリットがあったりしないかな…」

「楓ちゃん。女神様のアイテムにはデメリットなんて無いんですよ?だって女神様のアイテムですし。」

「なんだそれ…まぁ良いか。デメリットが無いなら良かった。」


お詫びの品にデメリット付いてたら第2回があるところだったよ…命拾いしたな。女神…


「とりあえず魔法陣は家のどこかに設置しておこうか…これでいつでも帰ってこれるね!」

「うん。楓、ありがとう。」

「私が一緒に行きたくてやっただけだから、気にしないで良いよ。」

「いや、楓達のお陰で久しぶりに楽しいって思えたんだ。だから、ありがとう。」

「…うん。どういたしまして!」


あぁ…日織ちゃんええ子やぁ…私より年上だけど、なんだか子供みたいに接しちゃうなぁ…


「これで何も心配要らなくなったわねぇ、日織。」

「楽しんでくるんだぞ。たまには帰ってこい。」

「うん…お父さんもお母さんも、ありがとう。」

「日織。」

「美夏…」

「…明日出発だろ?」

「うん。早い方が良いからね」

「寂しくなるなぁ…怪我しないようにね、しんどかったらいつでも帰ってきな。」

「心配し過ぎだよ…ありがとう。行ってくるね。」


そういえば2人って…そっかそっか。そりゃ別れは辛いよねぇ…


「楓ちゃんもルナちゃんも、日織のことよろしくねぇ。あの子意外と抜けてるところあるから」

「そうなんですか?」

「今日は頑張ってちゃんとしてるみたいねぇ…あんまり会えなくなるからって緊張してるのかしら?」

「どうでしょう…」


志保さんと話してたら、どうやら日織ちゃん達も話終わったらしい。


「それじゃ。私達はそろそろお暇させてもらうわねぇ。」

「もう夜も遅いからな。あんまり遅くまで起きてたら、明日からに響くぞ〜」

「じゃね〜皆〜」

「はい。今日はありがとうございました。旅のお話いっぱい持ってきますから!」

「楽しみにしてるわぁ。それじゃあねぇ」

「それではまた!」


3人はすぅーっと消えていった。突然辺りが静かになって、なんだか夢でも見ていたみたいだ…


「さて、それじゃあ寝ようか、明日からよろしくね!日織ちゃん!」

「私からも、よろしくお願いします!」

「うん、よろしく。楓、ルナ。」


こうして、私達の旅仲間に最強の魔法少女、御影日織ちゃんが追加されたのであった。



────────────────────

ちょっと展開が思いつかなくて若干強引になっちゃったかもしれません…そんなことより、やっと日織ちゃんが仲間に加わりましたよ!やったね!


てことで次は静岡に行きます!あいつに会いに行くんですねぇ…


後、リアルが忙しいので投稿ペース落ちます。この作品は週1くらいで投稿したいと思っているので理解お願いしま〜す。


それではまた

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終末世界旅─異世界帰りの勇者が化け物だらけの地球を旅します─ ゆーれい @unknown0325

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