第3話:ダールベルグデイジー。

「ねえ・・・冗談はさておいて君の家はどこなの? 」


「だからティル・ナ・ノーグって妖精の国だって言ってるでしょ?」


「姉ちゃん・・・ダメだな、こりゃ」


「私「ダールベルグデイジー」って言うの、それが私の名前」


「はあ、ダールベルグ?デイジー?・・・長いからデージーって呼んでも?」


「はい、いいですよ」


「俺は「空中 大気そらなか たいき」よろしくね」

「で、こっちは僕の姉ちゃん「空中 茜そらなか あかね


「たいきさんにあかねさん?・・・よろしくお願いします」


そう行ってお辞儀した彼女はつぶらな瞳で大気を見た。


(わはは〜可愛いし・・・)


大気はココを見れば見るほどドンドン好きになって行く気がした。


デイジーの髪の色はピンクからブルーに染まっていた。

アニメから飛び出してきたかのような、愛くるしいあどけない顔。

吸い込まれそうなブルーの瞳。


こんな子は、たしかに人間の世界にはいないって大気は思った。


そしてデイジーが語ったことはにわかには信じられないようなことだった。

けど、かと言って作り話をしてるようにも見えない。


「じゃ〜さ、とりあえずどうやったらそのティル・ナ・ノーグってところに

帰れるの? 」

「デイジーをさ、無事に返してあげないといけないでしょ?」


茜が言った。


「たぶん、もう花園は残ってないと思うからティル・ナ・ノーグには帰れないと

います」


「なんか複雑な事情ありみたいだね・・」

「で?・・・なにがあったの?」


「あのですね、ある日平和だったティル・ナ・ノーグに怖いことが起きたんです」

「私たちは、そもそも花の妖精でティル・ナ・ノーグの自然の中で平和に暮ら

してたんです・・・でも、突然「アレイオノール」って魔物の親玉が現れて私たちの

花園を我が物にしようと花園一帯を全部焼き払っちゃったんです」


「ティル・ナ・ノーグにも神様がいらっしゃって、でもアレイオノールのパワーが

強すぎたため神様でもティル・ナ・ノーグを守りきれなかったの、だから神様は

私を救うために別の世界に避難させたんです」

「私が無事に次元を越えられるよう願いを込めて・・・それで気が付いたら・・・」


「気がついたら俺んちのソファーで寝てたと・・・」

「はあ、神様がデイジーをこの世界に送り込んだ、そういうことかな?」

「ね、そういうことだよね、俺って飲み込み早くない?」


「バッカじゃないの?私だってそのくらい分かるよ」


姉ちゃんが突っ込んだ。


「あの私、気持ちが落ち着くまで、ここにしばらく置いてもらってもいいですか?」


「だってよ、姉ちゃん・・・」


「知らないわよ・・・あんたが、この子のこと抱っこして帰って来たんだから、

あんたが決めなさいよ」


「しょうがないか・・・いいよ、デイジーの気分が良くなるまで俺んちに

いればいいよ」


「よろしくお願いします」

「しばらくはホームシックで夜な夜な泣くかもしれませんけど長い目で見て

くださいね・・・」


「はあ・・・大丈夫だよ、そんな時は俺が添い寝してあげるから」

「なでなでしてあげるからね〜」


「大気、なにスケベ心出してんのよ」


「親切、親切・・・思いやりってやつだよ」


「スケベだけで親切とか思いやりのカケラもないくせに・・・」


ってことで空から舞い降りてきた妖精ダールベルグデイジーは、大気と茜の

マンションで、どのくらいの期間か知らないけど一緒に暮らすことになった。


とぅ〜び〜こんて乳。





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ティル・ナ・ノーグからの贈り物。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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