第2話:ティル・ナ・ノーグって妖精の国。

登校時、大気は空から降ってきた女の子を訳がわからないまま、自分んちまで

抱っこして連れて帰った。


でもって大気と姉の茜は空から降ってきた彼女を放っておけないと理由つけて

ふたりとも学校を休んでしまった。

茜か大気のどっちか家にいたらそれでいいのに・・・。


「空から降ってきたってことはよ・・・宇宙人とか?異星人とか?」

「そう思わない大気?」


「ん〜どう見ても異星人っぽくないけどな・・・頭でっかちで目玉がやたらデカくて、ぬめぬめしたやつなら、間違いなく異星人って思うけどな・・・」

「普通に人間と変わんない女の子みたいだし・・・」

「でも、どこかから来たことは間違いないよな」


「泡みたいに湧いて出てきた訳じゃないんだから、どこかから来たことくらいバカ

でも分かるわ、大気」


「弟のことバカって言うな・・・」


ったなことを言ってると・・・


「ん、んん・・・ん〜」


「あ、もしかして目が覚めたか?」


どうやらようやく、空から降って来た子が目覚めたみたいだった。


彼女は目を開くと瞼をパチパチさせて、顔や体を手でまさぐった。


「えっ?」


そう言ってガバと上半身だけ起こすと開口一番。


「逃げて〜!!」


「うえ〜・・・なんだよ、どうしたんだ?」


「え?・・・みんなは?・・・ここどこ?・・・私どうなっちゃったの?」


「あのさ、ちょっと落ち着こうか・・・」


彼女は大気と茜を怪訝そうな顔で交互に見て言った。


「あのどなたですか?あなたたち」


「まあ、そうだろうね」

「それはこっちのセリフだけどね」


茜がそう言った。

そこで、大気はなんで今ここに、その子がソファーに座ってるのか説明してやった。

一通り話を聞いた女の子は納得したようだった。


「そうなんですね、ご迷惑おかけしました」

「私は「ティル・ナ・ノーグ」ってところに住む妖精なんです」


「は?」

「妖精?・・・今、妖精って言った?」


「ほ〜大気、この子ティルナなんちゃらたらって言うところから来た

ってよ・・・しかも妖精だって・・・大気、あんた厄介な子と関わったみたいね」


「冗談で言ってるんだよ・・・妖精なんてこの現実的社会にいるわけ

ないだろ?」


「んじゃ、この変わった子をどうやって説明すんのよ」


「私、人間じゃありません・・・」

「こことは違う常若とこわかの国から来たんです」


「常若?・・・よく分かんねえけど、なるほど・・・別の世界から来たわけ

だよね?」

「ねえ・・・冗談はさておいて君の家はどこなの? 」


「だからティル・ナ・ノーグって妖精の国だって言ってるでしょ?」


つづく。


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