第3話 夕食
引越しがあり、更新遅れました。
すみません。
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新しい魔法やかっこいい戦闘シーンを脳内でひたすらシュミレーションしていると、部屋の木製扉をノックする音が部屋に響く。
僕は、その音にシュミレーションを中断させる。
窓の外を見ると、すでに日が暮れており、ガス灯がふんだんに使用され、暗い城の庭を明るく照らしていた。
もうこんな時間か。
「誰?」
「シルヴァー様。ご夕食の準備ができましたのでお呼びにまいりました」
「わかった。入っていいよ」
入ってきたメイドが扉の傍に控え、僕が扉の前に立つと勝手に開けてくれる。
五歳児にこの待遇。やっぱ貴族ってすごいね。皇族だからだろうか?
そんなことを考えながら、食事会場まで先導してくれているメイドについていく。
突然だが、今の僕にはたくさんの家族がいる。
四人の兄に二人の姉、弟と妹がそれぞれ一人ずつ、僕も合わせて九人兄弟だ。
さらには、僕たちの母にあたる皇妃は三人いる。
そして最後に父の皇帝陛下を合わせて、十三人家族だ。
もう、多過ぎて草生えちゃう。
一旦、草には除草剤を撒いておいて、未だに全員の名前と顔が一致してないと言う事件について3秒だけ考えて、やめる。
(覚える気もないけど)
まあ、普通の五歳児ならそれぐらい当たり前だよね。
食事会場の前に着くと、扉の脇にたっていた執事が扉を開けてくれる。
メイドの案内で、無駄に広い夕食会場に入ると、小さい子供が二人と、少し大きい子供が一人いた。
その三人の子供の傍にもメイドが一人ずつ立っている。
「お待たせしました」
そう言って席へと向かう。
ここにいるのは、まだ十二歳に満たない皇子、皇女たちだ。
なぜそんな幼い子供たちしかいないのか?
それは、この国の貴族の教育方針のせいだろう。
この国の貴族の子供たちは、十二歳になるまで『アルシア貴族』の跡継ぎや、その一員として相応しい者なる為の教育を受けなければならない。
この教育は、十二歳になると貴族の子息令嬢が入学することが義務付けられている学校。アルシア帝国、唯一無二の
『帝立 アルシア貴族 教育学院』(通称『貴族学院』)の入学試験への勉強も兼ねているからだ。
貴族という家柄に生まれた者たちにとって、『貴族学院』の入学試験の合否は今後の人生を左右する一大行事だ。
何故なら、十歳になると受ける"魔力量測定"や、入学試験を突破できなかった者は、どれだけ今までに実績が有ろうと、以後、貴族位もしくは、それと同等の地位に着くことが出来なくなるからだ。
さらに、家によっては一族の恥として追放、酷いと処刑される場合もある。
しかし、どちらもの試練を突破し無事に『貴族学院』を卒業できたならば、晴れて『アルシア貴族』の一員として認められる。
そして、皇帝よりアルシアの姓を与えられ、充実した貴族ライフを送ることができるだろう。
つまり、ここに居るのは未だ一人前として認められていない者達。
言うならば、貴族見習いといったところだろうか。
ちなみに、長男と次男、長女は学院をそれぞれ主席で卒業している。
……すごいね。さすがエリート家系。
今頃、皇帝陛下と三人の皇妃と一緒に夕食を食っているだろう。
残りの二人は、学院で寮生活だ。
「それじゃあ食べようか」
そう言ったのは、『貴族学院』の入学試験を来年に控えた金髪のイケメン、第四皇子カイル。
「「「はい!」」」
カイル兄さんは、性格や頭脳、魔力量も申し分ないもの持っている。
しかし、第一皇子と性格や能力が被っている上に、第四皇子と言う皇位継承権の低さから下に見られている。
どうでもいいが、皇室の皆さんは総じて顔面偏差値が高い。それはもう、とんでもなく高い。
前世の国民的な女優男優たちと並んでも、見劣りしないどころか、超えうる『
自慢ではないが、僕も一応は皇室の一員だから、『
……決して、前世の顔が良くなかったからちょっと自慢したくなったわけではない。……うん、違う。
自分にそう言い聞かせて、ご飯を食べようとすると、前から視線を感じたので顔を上げる。
すると正面に、ちょこんと椅子に座る子供がいた。ショタ好きにブッ刺さりそうな完璧なショタだ。
このショタは、第五皇子シソアス。
僕とソシアスは、腹違いの双子だ。
腹違いの双子が、果たして本当に双子と呼べるのかは今度考えるとして、僕はソシアスに興味がある。
「どうしたの?」
「うん?」
なぜ視線を向けてきたのか気になり声をかけると、何を聞かれたのか理解できなかったのか、首をこてんと傾ける。
あー、ほら。僕のお世話係のメイドが悶絶しちゃってるよ。
ソシアスの魔力量はギリ及第点に届くかと言うところだが、その代わりに頭がいい……はず。
いわゆる頭脳系だ。
大きくなったら、メガネをクイッってやってそう。知らんけど。
その頭脳にに興味を持っていない訳では無いが、僕が最も興味を持っているのは、時折見せる不可解な言動だ。
例えば、食前にたまに手を合わせていたりする。
この世界には、一部の宗教信者を除いて食前に手を合わせる文化は存在しない。
そう、どこか日本人と重なってしまうような言動を、それも一度ではなく何度も繰り返しているのだ。
それとなく、会話で探りを入れようとするも、首を傾げるばかりで、まだまともに会話ができていないのだ。
ソシアスの言動に違和感を感じながらも、兄弟達と共に夕食の時間を過ごすのだった。
この者、重度の厨二病にして最強なり〜僕の努力は報われる〜 華厳@ケゴン&kegon @nanashi634
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