第2話 魔術と魔法と魔力

遅くなりました。第2話、再更新です。

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 突然だが、一つ質問をしたい。

 みなさんは、『ファンタジーと言えば』と聞かれた時、最初に何を想像するだろうか?


 ほとんどの人は、"魔法"と答えるだろう。

 これは一般論であると思うし、僕も聞かれればそう答える。


 だがしかし!この世界は、そんな異世界物の鉄則ルールに逆らってるのだ。


 前世には、この世界のように"魔法"が作品もあった。

 僕は、そんな作品もよく読んでいたし、好きですらあった。


 だから、魔法が存在しない異世界を否定したいわけではない。

 だが!この世界の男たちに一言だけ言わせてもらおう。


『お前ら、ロマンを求めろ』


 魔法は、男なら一度は使ってみたいと夢を見るはずだ。


 しかし、多くの人はその夢が叶わぬと知ればすぐに諦め、もっと現実的な夢を見つけ、それを叶える。

 そして、夢を諦めることができず、未だ夢のためにもがき続け努力している者を、簡単に夢を諦めるも者が『無駄』だの『現実を見ろ』だの『早く大人になれ』と、バカにし笑う。


 僕はその程度の言葉で夢を諦めるわけがなかった。

 夢のため自分の憧れのため努力を続け結果、僕は世界を渡り、夢の一つであった異世界に転生を果たした。

 だから、この世界に"魔法"が無かったとしても、夢は諦めない。努力は必ず報われるのだから。


 僕の昔話なんか今はどうでもいいな。


 幸いなことに、この世界には"魔法"の代わりに"魔術"と言うものが存在する。


 魔術とは、『魔力術式』の略称でその名の通り術式に魔力を流し込み、超常現象を人為的に引き起こすと言うもの。

 

 前世で例えるなら、家電と電気みたいな関係。

 電気が魔力で電子回路が術式みたいなもの。


 しかし、家電は電気が無ければただのガラクタに成り下がる。


 そもそも、魔力を保有して産まれてくるのは支配者階級の『帝国貴族』だけであり、その割合は総人口の1%も満たないという。


 そんな貴族たちも自分の魔力を使うために、一々術式を描くのをめんどくさがり、今では魔術は需要がなくなり、一部の貴族が趣味でやっている程度のものになっている。


 まあ、一部の研究者たちが、ある国に集まって魔術の研究をしているらしいが…あまり期待はできないだろう。


 やはり、魔術を極めるしかないのか…。


「あー、もうめんどくさい!」


 考えるのがめんどくさくなり、気分転換に日課の魔力操作トレーニングをする。


 毎日続けたおかげか、体の外にも魔力を具現化できるようになった。


「…ちょっと待て」


 今、僕がやっているのは魔力の具現化だ。

 もし、この具現化した魔力をもっと自由に動かせるようになったら…。それはもう、魔法と呼んでもいいのではないだろうか。

 

「なぜ今まで気が付かなかった!これなら、実現できるぞ!前世から夢見た、魔法と剣を巧みに使いこなす最強の魔法剣士が!」


 そうと分かれば、早速トレーニングをしなければ!


 ★☆ーーーーーーーーーーーー☆★


 そうして、魔力の具現化のトレーニングを始めて三ヶ月がたった。


 僕は、まだ未熟な部分はあるが魔力の具現化をある程度自由にできるようになった。


 形状は勿論、重さから質感、色まで自由に変えられるため、戦い方に合わせた武器を瞬時に作り出すことができる。


 やはりなんと言っても一番は、魔法が使える事だ。定番の火魔法や水魔法、回復魔法まで再現できる。しかも、この全ては一言で言えば魔力操作だ。

 だから、僕は武器の創造や魔法の再現など、魔力操作を必要とする技術を、総じて"魔操まそう"と呼ぶ事にした。


 僕が新しく習得した技術、"魔操"を早く試したいのだが、部屋の中で攻撃系の魔法をブッパするわけにもいかず、することと言えば武器の創造ぐらいしかないのだ。


「今日の夜、外にでも出てみるか」  


 しかし、問題が一つある。

 帝国では、貴族の子供たちは12歳の学院入学までは、公に子供の存在を発表もしくは連れ出すことが禁じられているのである。


 だから、誰にもバレないように城外のさらに外、帝都の外にまで行かなければならない。


 なぜ帝都の外にまで行くのかと言うと。


 アルシア帝国の首都、帝都ルギア。

 人口約3000万人を誇る大陸一の大都市だ。

 アルシア帝国の人口のおよそ3割がここに住んでいると言われ、帝国の象徴でもある帝城をはじめとした様々な建物が立ち並び、年中昼夜問わず人で溢れかえっている。


 そんな大都市の中で、魔法ブッパすればどうなるか…言わなくてもわかるだろう。


 安全に魔法をブッパするには、帝都の外でなけばいけないのだ。


 まあ、帝都の外まで行くぐらいな簡単だろうから、夜まで頭の中で戦闘シーンをシュミレーションをしておこう。

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