fairy flow time-OBM-
ぴよ
-fairly flow time-
リトス:おや?あぁ!君が例の特別な子だね?
…ん?おーい!君だよ!!キミ!!
私の声が聞こえてるんだろう?そう!キミ!!
いらっしゃい。
幻の森へ…迷い込んできちゃったのかな?
ここは青い月の奇跡を巡る土地。
そして私の統べる森だよ?
君はまだ赤子同然。この森について少し話しをしてあげよう。
むかーしむかし、ここには神様がいた。その神様は人間に恋してしまったんだよ…
クリューソス:仕事熱心なのはいい事ですがリトス様はやらなくていい仕事までやるから手が回らなくなるんですよ。
リトス:おやおや!!びっくりしたよぉ。クリューソス?いきなり現れるのはヴィオレータの専売特許だとばかり思っていたよ?
クリューソス:リトス様あまり驚いているように聞こえませんが…それとあの愚妹と一緒にしないでくださいね。
リトス:なんだかんだで仲良いくせにね。
クリューソス:お言葉ですが!あの何の役にも立たない堕落しきった兄と誰彼構わず片っ端から喧嘩を売り歩くような愚かしい妹とは仲良くありませんから!!仕事上引継ぎはやってますけどっ!!
リトス:まぁまぁ。クリューソス落ち着いて?
この子がびっくりしてるから…
クリューソス:そういえばこの子は人間ですか?まだ赤子のようにもみえますけど…あー人間は時の流れが違うんでしたっけ…
リトス:そうだよ!!クリューソス偉いね!多分この子は…男の子!!だね!!そしてたぶん歳は人間で言う10もいかないくらいかな?
クリューソス:人間は産まれる落ちる前から性別がハッキリしているらしいですね。我々は好きな方を選べますが…
リトス:興味深いよねー
クリューソス:ん?さっきからこっちを見ているようですが普通人間に僕たちは見えないのでは?
リトス:クリューソス!!えらい!!そうだよ!!本当によく勉強しているね!!この子は特別なんだよ。以前チュプ様が稀に私たちの姿を捉えられる子がこの村には産まれると仰っていたからね。それがこの子だと思う!
クリューソス:え?!見えてるんですか?!というか思うって…なんでそんなに曖昧なんですか。
リトス:ん?随分昔だからね?私がリトスになる前の頃かな?そうだ!!キミ!!8つの石版は見たことあるかい?見せてあげよう。君がいつかあの奇跡を願うかもしれないからね。
クリューソス:リトス様になる前…?
リトス:あぁ…クリューソスは知らないんだったね。リトスって言うのはいわば役職だよ。森を統べる役職名がリトスなのさ。リトスになる前はプラシノスという名前で風の妖精だったんだよ?今は私の補佐に居るオリクトが風の妖精だけどね。懐かしいねぇ。
クリューソス:なるほど…じゃぁ!!先代のリトス様がいらっしゃるということですね!!
リトス:んまぁ。そうだね。この話はやめよう。噂を聞き付けて先代のリトスサマが来たら大変なことになる。キミを玩具にして遊びかねない…
クリューソス:先代のリトス様ってそんなにイタズラがお好きだったんですか?
リトス:クリューソス…いい子だからこの話はやめようね?ホントに来るから。どこにでも現れるから!!あいつほんと神出鬼没で現れるから!!
クリューソス:キャラ変わってませんか?子どもびっくりしてますよ?
リトス:ごほんっ!!という事で8つの石版を見に行こうか!!
クリューソス:そろそろ愚妹と交代の時間なので僕はこれで失礼します。
リトス:釣れない事を言うねぇ?8つの石版まで一緒に行こうよクリューソス!!引継ぎはどこでもできる。そうだろう?
クリューソス:はぁ。ほんとリトス様には敵いませんよ…こども。しばらく歩きますよ。ついてこれますか?ん。良い子ですね。
リトス:8つの石版はこの幻の森の奥にあるんだよ?本来なら迷って迷ってなかなかたどり着けない場所というわけだ。
クリューソス:僕たち妖精は迷いませんけどね。そろそろうちの愚妹が起きる時間ですね。急に現れると思いますので子ども、びっくりしてあげてください。馬鹿ですからそれだけで1日楽しく過ごせるという愚かしい妹なんです。
ヴィオレータ:ぶぅわぁー!!
クリューソス:ホラキタ…ウワービックリシタァー
リトス:ふふふっ。キミはびっくりするのが上手だね。おやおやヴィオレータおはよう?
ヴィオレータ:誰が呼んだか♪神出鬼没♪時を司りし我が名は宵の姫♪ヴィオレータ!!趣味はイタズラ♪特技は喧嘩♡リスペクトするお方はパン……
リトス:んー!!!ヴィオレータ!?
クリューソス:リトス様?!
ヴィオレータ:あー!!リトス!!元気?そろそろ私のショータイムだよぉー!!ん?そこの坊やは誰ー??ふふふっ。びっくりした??ねぇ?びっくりしたよね?
クリューソス:人間だよ。特別な子どもなんだって。
ヴィオレータ:相変わらず愛想がないアニキでごめんね?坊や。ほんとは妖精の名前は教えちゃいけないんだけど坊やは特別らしいから教えてあげるよ〜?ヴ!ィ!オ!レー!タ!覚えた?宵の妖精だよ〜。今からの時間は私の時間なの♪坊やには難しいかな??んー…ヴィオレータは夜を連れてくる妖精だよ!!これで分かる?
リトス:ヴィオレータ偉いね。人間の子どもにもわかりやすく教えてあげるなんてお利口さんだね。((ボソッ…これであの人の名前を掲げなければさらにお利口さんなんだけど…
クリューソス:あんまり褒めると調子に乗りますよ。さ、僕はそろそろお暇します。日を暮れさせているので…子どもは帰らなくていいんですか?
ヴィオレータ:えぇー坊や帰っちゃうの?いいじゃん!!私に神隠されちゃいなよ♪
リトス:特別な子だからといっても…夜は帰らなきゃいけないだろうしね…8つの石版を見たら帰ろうか?
ヴィオレータ:えーやだやだぁー!!リトス様?いいの?叫んじゃうよ?
リトス:何を…かな?
クリューソス:はぁ。すみません。うちの愚妹が…おい!ヴィー!海岸の方は今日は霧が濃いからいつもの様にしといてくれ。以上。後はよろしくお願いしますリトス様。
リトス:え?!
ヴィオレータ:ほーい!んふふwリトス?私そこまでおバカじゃないよ?リトスサマ??いいんだね?じゃぁー叫びマース!!パーンードー……
リトス:わかった!!わかったから!!名前呼ぶと出てきちゃうから!!もう本当に!!私のこと呼んだぁー??とか言ってくるからあの人!!
ヴィオレータ:やったぁ♡さすが!!リトス!!よかったね!!坊や!!私に神隠されちゃうよ〜♪
リトス:ごめんね?キミ。ヴィオレータ言い出したら聞かないから…真夜中になる前にお家に帰すよ。さぁ、そろそろ着くよ?ここが8つの石版がある場所。
ヴィオレータ:坊やここに来たかったのぉ?ここは曰く付きだよ?知ってる?青い月の奇跡。幾百に1度なんたらかんたら〜ってやつ!!
リトス:なんたらかんたら〜って…えっと。幾百の年に1度碧月の約束を叶えたまえ、8つの星の名のもとに…とかだったと思う。え?あ!そうそう!続きはそんな感じ!!キミも知ってるんだね。ちゃんと言えてえらいね。
ヴィオレータ:ここにはね?花が咲くんだよ〜とっても綺麗な満月の夜にしか咲かない花。今度来た時に見せてあげるね?だからまたおいでよ?
リトス:白くてとてもきれいな花なんだよ?…おやおや眠たくなって来ちゃったかな?
ヴィオレータ:坊や?さすがに歩き疲れちゃった?
リトス:やっぱり人間のキミにはハードな道のりだったよね?帰り道は私が飛んで家まで送ってあげるからね。
ヴィオレータ:ねぇ?リトス!坊やの様子変じゃない?
リトス:え?
ヴィオレータ:ほら!呼吸?浅くない?坊や?大丈夫??
リトス:しまった…私は体温を感知できないんだよ。もともと風の妖精だったからそういう温度とか感じないんだ…
ヴィオレータ:リトス!これ多分やばい…この子このままだと死んじゃうかもしれない!!ほんとはダメだけどイブリースを起こそう!!
リトス:イブリースはまだ起きる時間じゃないだろ?時間を司る妖精たちを好き勝手には出来ない。この村の時間が狂ってしまう。
ヴィオレータ:天候を悪くして村人を外へ出さないようにする。レーゲンやハーゲル…あとはオリクトに頼んで朝まで嵐をつくる。嫌だなんて言わせない!!力ずくでやらせるから。時間が狂っても村人たちがそれに気づかなければいい話でしょ?
リトス:前代未聞すぎる。落ち着きなよヴィオレータ。
ヴィオレータ:…人間の子ども1人本当に神隠しに合わせることぐらい私には造作もない。
リトス:ヴィオレータそれは本気でいってるの?私達は神様じゃないんだよ。あくまで妖精なんだ。そんなことっ…
イブリース:だりぃー。やる気のない俺の名前を呼ぶなよ。
ヴィオレータ:イブ!!
リトス:イブリース…まだ起きる時間じゃないだろう?
イブリース:起きてても起きてなくてもやる気がないのが俺。
ヴィオレータ:イブ!!坊やが!!人間の子どもなんだけど。体温が低くて…呼吸が浅いの!!イブは人間に詳しいでしょ?!
イブリース:んーまぁ。そうかもなー。
リトス:イブリース…早く眠りにつくんだ。起きる時間じゃないだろう?時がぐちゃぐちゃになる。
イブリース:お前も落ち着けよリトス。森を統べるんだろ?そんなお前がいながら人間を神隠しに合わせたなんてなれば先代様のお世話になること間違いなしだぞ。嫌だろ?俺は別に構わないけどー。
ヴィオレータ:イブがやけに真面目!!
イブリース:ヴィーうっせーぞ。
リトス:イブリース…早く
イブリース:どいつもこいつもだりぃなー。ヴィー。クリューの寝床にそのガキ連れてけ。
ヴィオレータ:は?坊や死ぬかもしれないんだよ?こんなに冷たくなって!!
イブリース:だからだよ…俺らじゃ暖かくないんだよ。クリューは
リトス:だからクリューソスの後ろばかりついてまわってたのか…
イブリース:ヴィーいけ。
ヴィオレータ:わかった!坊やまっててね?今連れてってあげるから。
イブリース:リトス。
リトス: …。
イブリース:あんまり人間に関わるな。だりぃから。俺たちは関与しない…妖精だから。見かねて手を出すとどうなるか…傍で見てたお前が1番理解してるだろーが。同じことすんな。めんどくせぇから。
リトス:ごめん。イブリース。
イブリース:そーゆーのもめんどくせぇ。
リトス:昔あの人が話してた。双子の兄妹になんだか似てたから…
イブリース:どうせそんなこったろうと思ったよ。人間なんて助けても何にもなんねーのに。
リトス:そんな事ないよ…あの人もそう思ってる。
イブリース:人間と俺ら妖精は生きる時間がちげぇーんだよ。理解しろ。気まぐれに関わるな。
ヴィオレータ:イブ言い過ぎだよ。リトスは悪くないよ。
リトス:ヴィオレータ…あの子は?
ヴィオレータ:クリューソスの隣で寝かせてる。体温も戻ってきてたみたい。熱かったもん。
イブリース:これで解っただろ?だりぃから俺は寝る。じゃぁな。
ヴィオレータ:イブの嘘つき。殴っちゃおうかな。
リトス:ヴィオレータ?!
ヴィオレータ:ねぇ?リトス。イブが人間に詳しいのなんでか知ってる?
リトス:人間嫌いなのは知ってるけど。詳しいからこそ嫌いなんだと思ってた。幻の森を統べるといっても神様が居ない今、世界が正常に回っているかを見定めてるだけだから…
ヴィオレータ:イブは本当は人間が大好きなんだよ。でも自分たちが関わるとどっちもろくな事にならないのを知ってるから見守ってるの。リトスが私たちを見守ってくれてるみたいに。イブは人間を見守ってる。
リトス:イブリースが時々一本桜の木で昼寝してるのって…
ヴィオレータ:そう。人間たちの声を聞いてるみたいだよ。本人はなんにも言わないけど。素直じゃないよね。ハッ倒しちゃおうか。
リトス:ヴィオレータやめなさい。君たち兄妹が喧嘩するとほんとに手がつけられないから。
ヴィオレータ:本当は…関わっちゃいけないけど。でも関わらずには居られないよ!!だって時の流れが違っても触れ合わなくても生きてるんだもん…私達もあの子たち人間もそして神様も生きてるんだもん。
リトス:ヴィオレータ…
ヴィオレータ:嫌いになんてなれないよ。たとえば悲しい日が必ず来るのが解ってても…一緒に幸せになれる未来がないとしても…それでも一緒に生きてみたいって思うのはワガママなのかな…
リトス:そんな事ないよ。ヴィオレータ。私もそう思うよ…あの子を夜が深まる前に家に帰してあげよう。そしてまた森に迷い込んだ時は…
ヴィオレータ:その時は?
リトス:ここは幻の森。青い月の奇跡を巡る土地。そして私の統べる森。いらっしゃい。妖精たちの住まう森へ…
fairy flow time-OBM- ぴよ @obm910
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます