作者様の日頃の観察眼から紡がれた感性あふれる物語。
でもよく読んでみると、この小説……会話の「 」が一切ないのです。
何だろう? 気になって読み進めてみる……でも不自由なく会話しているような不思議な感覚。
これこそ作者様ご用達のトリッキーな話術設定なのか。
さらに進んでみる……おぉっ! 何だか面白くなってきた!
シリーズ物を思わせる黒の装束。
夏に抗う矜持を纏い続けるこの声の主は一体何者なんだ?
正直、謎です。謎だからこそ、興味や味わいも深まると言えるのかもしれない、
日常の一コマ一コマから繋ぎ止められた非日常を思わせるとりとめのない妄想が闊歩する、コミカルでシニカル、そして機知に富んだアイロニカルな私談の一端をお楽しみください。