大盛りカツカレーの奇跡

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

雨上がりの午後、青年・大輔は街の片隅にある小さなカレー専門店に足を運んだ。ここは以前、友人から絶品のカツカレーがあると聞いていた場所だ。店の外観は古びた感じで、一見何の変哲もないが、窓から漂うスパイスの香りが食欲をそそる。


「いらっしゃいませ」と店主が迎える。大輔は席に着くと、メニューを見ずに「大盛りカツカレーをお願いします」と注文した。店主は笑顔で「お待ちください」と答え、厨房へと消えていった。


しばらくして、香ばしいカツの匂いと共に、目の前に現れたのは山のように盛られたカツカレーだった。大輔はその豪快な姿に目を見張り、フォークとスプーンを手に取った。


一口目、カツのサクサクした食感とジューシーな肉汁が口の中に広がり、カレーのスパイスが絶妙に絡み合う。「うまい…!」大輔は心の中で叫んだ。二口、三口と進めるうちに、その美味しさに夢中になっていった。


カツの肉厚さ、カレーの深いコクと絶妙な辛さが、大輔の味覚を完全に虜にしていた。食べ進めるごとに、汗がじんわりと額ににじむが、止まることができない。次第に周りの音や風景が消えていき、目の前のカツカレーだけが彼の世界になっていた。


気づけば、皿はきれいに空っぽになっていた。大輔は満足感に満ちた笑顔を浮かべ、深く息を吐いた。「ごちそうさまでした、本当に美味しかったです」と店主に伝えると、店主は嬉しそうに頷いた。「それは良かったです。またぜひいらしてください」と。


店を出ると、先ほどまでの雨が嘘のように晴れていた。大輔は満腹のまま、少し遠回りして家に帰ることにした。カツカレーの余韻が心地よく、彼はふと、またこの店に来たいと思った。


大盛りのカツカレーが、大輔の一日を特別なものに変えた。その味は、彼の心に深く刻まれ、何度も思い出すことになるだろう。


おわり

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大盛りカツカレーの奇跡 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

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