えぴろーぐ

「父様、母様。今日は森に行ってもいいですか?」

「レオン、ひとりで行くんじゃないぞ。必ず兵たちと一緒に行くんだ」

「はい、わかってます。じゃあ、行ってきます!」

「ああ、油断するなよ」

「分かってますってば!」

「……五歳で魔獣の大森林に入れるようになってしまったな」

「ごめんなさい。私の魔力が強すぎたのか、レオンの魔力量は産まれた時からおかしいのよ」

「いや、それだけあの子の安全性が上がっているのだ。謝られることじゃない」

「それはそうだけど……」

「アカリ。あの子を産んでくれてありがとう。そしてレオンを、もうすぐ兄にしてくれるんだな」

「何よそれ。あなたと私の子なんだから、お礼はおかしいわよ」

「いや、今が幸せ過ぎて、つい礼を言いたくなる」

「…私もよ。多分私、この身体が朽ちるまで人でいたいと思うほど幸せよ。たとえ精霊に戻れなくてもいいと感じるほどにね」

「そうか」

「フランツ。私と結婚してくれてありがとう」

「そっちもお礼を言ってるじゃないか。だが、思わずお礼を言いたくなるほどだろう?」

「そうね。お礼を言っちゃうわね」

「だろ? だからありがとう、アカリ」

「ええ。ありがとうフランツ」

「……お二人とも、いちゃついてないでそろそろご政務を始めてください」

「すまん」

「ごめんなさい」


まだ三十前だったのにアパートで寝てたら事故死して、なんと幼女になって森にひとりボッチ。

うっかり精霊になったかと思ったら、またうっかりで死にかけて。

そんな私のドタバタ人生だけど、結婚して子どもまで授かっちゃった。


前世で夢だったのほほん生活とは違う気がするけど、今が幸せと感じるんだからこっちの方がいいかも。

それに、のほほんは老後になってもできるし。


これからもうれしいことだけじゃなく、悲しいこともいっぱいあるんだろう。

それでも私は、この世界で人として生きていきたい。

だからフランツ、子どもたちと長生きしてね。


完。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

私の拙作をお読みいただき、ありがとうございました。

また、☆や♡、コメントを頂いた方に、厚く御礼申し上げます。

作者 拝

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え、異世界転生!? のほほん生活希望です! やっつけ茶っ太郎 @chimilunamiy

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