第4話 ついに彼女が動き出す?

 リビングで春野さんが買ってきてくれたケーキをありがたく頂く俺と寧々。女子2人の会話がメインだったので、彼氏の俺がアウェーというか場違いというか…。


春野さんが寧々に興味を抱いているのは間違いない。それ自体は普通だから、これからも注意深く観察していくつもりだ。



 全員ケーキを完食したので、このままリビングで話し続けると思いきや…。


「玄関で会った時に思ったんだけど、寧々ちゃんのその服可愛いわね♪」


「そう…ですか?」


「ええ。オシャレさんだと思うわ」


女子の私服のセンスはよくわからないから黙っておこう。


「他にはどんな服持ってるの? 良ければ見せて欲しいわ♪」


服を見せるって事は、寧々の部屋に入るって事だよな?


「……」


知り合って間もない春野さんを部屋に上げるのは、さすがに躊躇するようだ。


「今日お邪魔したから、今度は直人君と寧々ちゃんを私の家に招待するわね。その時部屋に入ってもらえば、になるでしょ?」


言葉巧みに、寧々の部屋に入ろうとする。怪しい、怪しすぎる…。


「そういう事なら良いですよ」

おあいこのおかげで、ハードルが下がったようだ。


「ありがとう。早速行きましょうか」


「お兄ちゃんは部屋に入らないでね」


この流れは仕方ないが、春野さんと寧々を2人きりにさせて良いのか? かといって、付いて行く理由が思い付かない…。


「直人君はここか自分の部屋で待っててもらえる?」


「わかった…」


春野さんと寧々は席を立ち、リビングを出て2階に上がっていった。



 2人きりになって、変な事になってないだろうか? 俺はリビングで1人、思考を巡らせる。もし春野さんが強引に迫ったら…。


俺と春野さんは、交際経験を作るために付き合った関係だ。その関係は程々にして、年下の友達を作るために寧々と親睦を深めているのかも?


早く戻って来てくれ、春野さん・寧々!



 ……俺の祈りは届かず、30分ぐらい経過してしまった。ずっと掛け時計を見てるせいで、時間の流れが凄く遅く感じる。


こうなったら、寧々の部屋を覗くか? なんて思った時に階段を下りる音が聞こえてきて、2人がリビングに戻ってきた。


「直人君、お待たせ」


彼女を怪しんでるのがバレてはいけない。部屋で起こった様子を訊くか。


「寧々の服をたくさん見てきたのか?」


「うん、やっぱり寧々ちゃんはオシャレさんね。今度2人でお買い物しようって約束したの」


「2人で?」


「直人君も来たければ来ても良いけど、退屈するんじゃない?」


女子の買い物は長いって聞いた事ある。必要な物を買ってさっさと店を出る俺のスタイルとは真逆だ。


「さっき寧々ちゃんと連絡先交換したから、予定が合えばいつでも行けるわ」


ますます春野さんと寧々の距離が縮まっている。本当に大丈夫だろうか?


「できたら、直人君の部屋も見せて欲しいな~」


モジモジするなんて春野さんらしくない。男ウケを狙ってる?


「あたしはお兄ちゃんの部屋に興味ないよ」


寧々は容赦ないが、かえって好都合かもしれない。俺の部屋で春野さんと2人きりになれば、今までの疑問をぶつける事ができる。


今日は祝日だから、邪魔される要素は1つもない。思う存分話せるはず。


「わかった。俺の部屋に案内するよ、春野さん」


「楽しみね。男の人の部屋は初めてだから」


本当かよ? そう心の中でツッコんだ後、俺達は部屋を出て階段を上がる…。

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妹が彼女に寝取られた話 あかせ @red_blanc

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