煮える夜、冷えた闇、灼ける膚

目々

永い夏

 お前、お湯とコーヒーならどっちがいい。


 お茶はね、ない。炭酸とかもない。ついでにコーヒーはインスタントだし、ホットしか選択肢はない。夏なのに麦茶も炭酸もないんですかったらそうだよって答えるしかない。その辺は確かに夏向けの飲み物かもしれないけど、だからって常備する義務とかないだろ。ただの大学生の一人暮らしでその辺りをきっちり揃えてたら大したもんだよ。

 せっかく来てくれたから、その……おもてなしみたいなことをしようと思ったんだけど。慣れないことはするもんじゃないな。悪い。

 じゃああれだ、ポカリ。台所にいっぱいあるから適当に取っておいで。デカいペットボトルで三本くらい持ってきたんだよな、杉原先輩。蓋開けてないから大丈夫。冷蔵庫には入れてないけど、別に問題ないだろ。


 見舞いはね、結構来た。

 ほら、石田さんに連絡取ったから。一応さ、サークルの今度の交流企画が俺の担当だったから……正直にぶっ倒れたこと喋っちゃったんだよな。放っておいてくれるかと思ったら、意外と広まってた。入れ代わり立ち代わりってほどではないけど、ここ住み始めてからの新記録ってくらいには人が来たな。救援物資みたいな感じで色々もらった。ありがたい話なんだけど、レトルトもゼリー飲料も減らないからちょっと困ってる。消費期限はまだあるけど、こういうのって先延ばしにすると忘れるし……あ、今の内緒な。貰いもんに対してのコメントとしてはこう、失礼過ぎる。


 このところ、つうか梅雨明けた途端にいきなり暑くなっただろ。クーラーとか忘れてたせいで煮えちゃってさ。吐き気と頭痛でろくに食えないし、やけに眠いし、その上視界がゆらゆらするからあーこれヤバいやつだなって。救急車まではいかなかったけど、ふらつくしうっすら吐き気するしで自宅療養。大学休みになってからで良かったよ。


 この暑いのに手袋なんかしてるからってのは……まあね、それもそうだ。部屋にいるとき、普段ならしてないけどね。今日はほら、お前が来たから。客が来たら服は着るもんだろ、礼儀としてさ。鈍感なんですかって聞かれたらそうですっていうしかないけどね。その辺はこう、後遺症みたいなもんだ。

 一応ね、訳はある。そんなに面白いもんでもないけど。

 どうせなら聞いてくか? 昔話だけど、今の季節にはちょうどいいかもしれないし……せっかく忙しい中、お見舞いに来てくれたわけだしな。それで人肌のポカリとポテチ出しておしまいっていうのも申し訳ない。俺がやられたら絶対根に持つ。

 いいよ、話してやる。適当に聞いててくれればいい、飽きたらスマホでも弄っててくれ。灰皿もあるしな。……いいんだよ、病み上がりの本人が吸っていいって言ってんだから。上がったんだから俺も吸う。当たり前だろう。


 高二の夏にさ、夜遊びしてたんだよ。

 夜遊びっつってもあれだ、比喩だな。ゲーセンとか深夜のファミレスとかそういうんじゃない。そんなん手近にないような田舎──ぎりぎりで地方都市だもん、俺の実家。住宅街のど真ん中でさ、コンビニとか全然ないの。

 じゃあ何してたんだったら、夜歩き。お散歩っていうと呑気だし、深夜徘徊っていうととっても不穏だな。

 別段大したことはしてなかった。家族が皆して寝静まった夜中に起き出して、音を立てないように玄関開けて、そのままふらふら歩くだけ。そんなに遠出はしないし、近所とか表の歩道を気が済むまでうろついておしまい。行っても最寄り駅ぐらいで、精々三十分くらいだな。

 何が楽しかったんですかったら、よく分からない。……あれだな、新鮮ではあった。

 何がって、道が。物心ついてからうんざりするほど歩いて見慣れた道が、ただ夜になっただけで全然知らない道に見える。どこに繋がって、どこを通るかもすっかり覚えているはずなのに、曲がり角や脇道を見つけるたびに不安になるというか。住宅街だから、深夜になるとひと気も車も何にもなくって、ただ風と自分の足音しかしない。あの感覚は、今でも忘れられない。背筋が寒くなるような、それでいてひどく身軽になったような、そういう感覚だ。

 あとは、悪いことしてるなって自覚だな。夜になったら子供はお家で寝るもんだろ、そういう約束事を破って夜にうろついてるっていうのが、めちゃくちゃ嬉しかった気はする。今でも飲み会なんかで夜中に歩いてるとちょっと浮かれるもんな、アルコール抜きでも。年齢だけなら二十超えた大人になったのに、夜に出歩けるってだけで特別感がある。


 そうやってうろつける範囲に、あったんだよな、その家。

 俺んちの玄関を出て、右に曲がってからぶつかる十字路をまた右に曲がって、まっすぐ行ってから空き地のところで左に曲がって、二軒目。

 ちょっとだけ有名、っていうか近所の連中はみんな知ってるとか、そういう感じの──そういう家が、あった。

 心霊スポットって言うべきなんだろうけど、そこまで派手じゃないっていうか……なんかこう、スポットって言葉がしっくりこないんだよな。お化け屋敷ぐらいが馴染みがある感じなんだけど、屋敷っていうには規模がね。訳あり物件って言えばいいのかもしれないけど、廃屋だし。訳あり廃屋ってあたりで妥当なのかもしれない。

 話としてはあれだ、住んでた一家が兄の不始末だか弟のやらかしだかで行き詰ってとち狂って無理心中やらかして、以降夜な夜な怒声が聞こえるとか人影が窓に映るとか屋根に布団が乗ってるとか、そういうやつ。最後の何ですかったらそういう噂だよ。青いストライプのカバーがかかってる布団が、屋根に乗ってたのを近所の人が見たって。意味分かんないけど、変だろ。


 普通の民家なんだよ。こう、狭い前庭兼駐車場があって、二階建てで、あー……あとの特徴が思いつかないくらい、普通の一軒家。

 変なところったらあれだな、玄関戸がね、ない。

 いや、馬鹿が外したとか破壊したとかじゃなくって、ない。がぱっとまるごと外れてて、家が口開けたみたいなままで放置されてる。言い訳みたいにトラロープが一本張ってあるけど、それだけ。その気になれば誰だって入れる。


 だから、入ったんだよ。


 なんでですかったら、まあ……ある種の自棄だった、かもしれない。普段から気になってたし、夜の散歩ってことで浮かれてたし。あとはそれなりに日常とかに不満とかあったんだと思うよ、あの頃の俺。怖い目に遭ったとしても別にいいや、どうなったところで惜しくもないぐらいの雑な捨て鉢加減。なかったか? そういう時期。触るもんが全部鬱陶しくてしょうがないけど、振り払うほどの度胸もないからうだうだ我慢してるだけ、みたいなの。

 そういう具合で玄関のロープを越えて、お邪魔しますって頭下げて、靴脱いで上がった。人の家だもの、当然だろ。入るんなら挨拶するのが筋だろ。


 室内、快適だった。

 真夏にさ、めちゃくちゃな日差しに焙られながら歩いて、コンビニとかに入るとめちゃくちゃ涼しいだろ。あんな感じ。

 何て言えばいいんだろうな、分かりやすく荒れてるわけでもないし、なんか……そういう雰囲気でもなかった。よく心霊番組とかホラー映画みたいなやつで、入ったやつが嫌な雰囲気とかちりちりするみたいなこと言うだろ。そういうのは全然なかった。落書きとか足跡とかもなかったと思う。暗かったから、よく見えてなかっただけかもしれないけど。

 ああ、玄関のドアが丸っとないのに意外と汚れないもんだな、ってのは不思議だった。風の具合とかなのかね、そういうの。逆にあるだろ、どうしても虫の死骸やらごみやらが吹き溜まる場所みたいなの。それと似たような仕組みかなって思ってる。


 二階はさすがに上がれなかった。階段抜けたら危ないし。一階をそれなりに回って、誰もいない居間と真っ暗い台所と空っぽの浴室を見て、それから仏間に入った。

 仏間が一番涼しかったな。

 全部ね、そのままだったから。仏壇も、位牌も、何もかも。遺影はなかった、っていうか額だけ残ってた。天井際のところにずらっと空っぽの額が並んでて、額縁屋ってこんな感じでレイアウトしたりするのかなとか思った。行ったことないけどな、額縁屋さん。賞状とか縁がないから。線香の匂いとかはしなかったな、埃も……そういう気配は何もなかった。ただひんやりした暗がりが溜まって充ちている、みたいな部屋だった。

 あとは噂を思い出したりもした。兄だか弟だか、とにかく誰かしらが仏間で死んで、畳に染みがあるみたいな話だったから探したけど見つからなかった。同じこというけど、暗かったからな。光源スマホしかなかったし、真剣に探す気にもならなかった。


 そんで、初日は一時間いた。

 涼しかったし、静かだったからな。何せ夜中の住宅街だから、人の声も車の音も何にも聞こえない。風と、熱で頭が煮えた蝉の鳴き声くらいで……居心地が良かったんだよな。ただ真っ暗な夜の中でじっとしてると、自分が溶け出して薄まるみたいでさ。

 ずっと居たいな、ってのは一瞬思った。

 そん時はすぐ諦めた。人んちだし、未成年だし、夜中だし。バレたら──っていうか朝までに帰らなかったら、絶対大ごとになる。それくらいは想像できた。だから、素直に仏間を出て廊下を歩いて玄関のロープをくぐって出たんだよ。お邪魔しましたって頭まで下げてさ。


 で、通ってたんだよね。

 勿論毎日じゃない。そんなことしたらさすがにバレるし、何より俺の身が持たない。学業に影響が出ないように加減するぐらいの頭はあったよ。寝坊とか遅刻とかやらかして、怪しまれたら困るしな。せっかくの楽しみだから、長く続けたかった。

 週一くらいの頻度で通って、通算七日目だったと思う。

 お盆が終わりかけて、日の勢いはゆっくり翳ってきて空もどぎつい青色が薄まってきてるのが分かるのに、それでも気温は二十度後半みたいな往生際の悪い熱が続く頃。夕方に一瞬だけ猛烈な夕立が降って、庭のひまわりがべしゃべしゃになってた。

 その夜もどうしようもなく暑くて、スマホの気温表示が二十五度とか出しててうんざりしたのを覚えてる。

 なのに深夜十二時以降はクーラー禁止とか言われたもんだから、本当にどうしようもなかった。扇風機はただただ熱風を攪拌するだけの無意味な仕事しかしてなかっし、そもそも網戸からは風すら吹き込まない。ただでろでろに煮えた夜が入り込むばかりだった。

 どうせ寝られないなら同じことだと思って、家族が寝静まった頃に家を出た。通い慣れた幽霊屋敷の玄関、その暗がりに張られたロープをいつものようにくぐったときに、何だか嬉しくなった。


 仏間、やっぱり涼しかった。

 相変わらず静かで、どこまでも薄暗くて、畳も何もかもがひんやりしてた。

 いつもと同じように畳に座り込んで、ただぼうっと天井を見上げているうちに、ふっと思いついた。


 もしかしたら、この仏間の方が俺の部屋より快適な空間なのだとしたら──ここで眠ってしまえばいいんじゃないのか?


 要はさ、二択だったんだよ。蒸し風呂の部屋に戻って、汗だくのまま眠れないでごろごろしてるのと、この快適な仏間で仮眠を取ってから家に戻るのだったらどちらがマシか、って選択肢。

 スマホでタイマーかけて、五時ぐらいに帰ればバレやしない。もし家族と会っても早く目が覚めたから散歩してたとか言い張ればいい、それぐらいのことを考えた。

 とりあえず横になろうとして、枕かなんかが欲しくなった。

 座布団みたいなもんないかなって見回したけど、見つからなくてな。ひっくり返って壁際に置かれた机と、あとは畳しかないようなありさまだったし。

 そうやって部屋を探しているうちに、仏壇の方に目が行った。

 仏壇の横にさ、押し入れがあった。その中に何かしら入ってるんじゃないかなって、考えた。

 ちょっと借りて、使い終わったらしまい直そう。何も持ち出したり投げたりするような乱暴をするわけじゃないから、許してもらえるんじゃないか──そんなことを思いながら、押し入れの引き手に手を掛けた。


 指先がべっとり冷たくなって、思い切り後ずさった。

 押し入れの戸、指を掛けた引き手が、異様に冷たかった。


 その途端、俺は何をやってんだろうって気づいた。

 近所でも有名な廃屋に通い詰めて、仏間に入り浸って、あまつさえひと眠りしようだなんて──どうしてそんなことをしようとしたんだって、冷えた頭が真っ当な疑問を出力してきた。


 その瞬間、初めて怖いと思った。

 この家が、この仏間が、この押し入れがどうしようもなく怖い。冷え切った手を腹の中に差し込まれて内臓を撫でられたような、そういう嫌な感覚があった。


 すぐに逃げた。

 仏間を出て、廊下を走って、ロープの下くぐって、そこから全速力。

 振り返れなかった。

 誰か居たりしたら、絶対竦んで動けなくなるし、そうしたら全部終わると思ってたから。外で、夜の中で足を止めたら俺の負けだっていう感覚があった。根拠とかはないけどな。ただ、その辺の直感は正しかった気がしてる。

 自分ちの玄関が見えたときはほっとしたね。へたり込みそうになったけど、どうにか玄関開けて、帰った。


 そうしたら床が目の前まで持ち上がってきたからびっくりした。


 ──なんのこたない、俺がぶっ倒れたんだ。三和土にぶつけた頬っぺたが痛かったし、タイルがやけに冷たかった。

 そんで結構派手な音がして、当たり前に家族が目覚まして、ぶっ倒れてる俺見て救急車呼んでてんやわんや。


 で、それはそれでおしまい。死にたくなるくらいに徹底的に怒られたし、二度とあの家には行ってないし、俺の部屋にはエアコンが点いた。つっても大学受かったから独り暮らし始めたし、あんまり嬉しくはなかったな。


 何がですかったら、温度。涼しいとか暑いとかそういうのがね、分かんなくなってた。


 仏間から逃げ帰ってからしばらく経ってからやらかしたんだよ。なんか今年の冬遅いなとか思ってたら、熱出して寝込んだもんだから親に怒られた。朝晩一桁になる時期に半袖半ズボン夏みたいな恰好でタオルケットだけなら風邪も引くって。

 マジかよって思ったけど、実際そんとき十一月だったから……まあ、親の言ってることが正しかった。俺の地元、そのくらいの時期になると朝方氷点下とかよくあるから。勿論俺は平気だったからエアコン暖房も入れてなかったわけで、それで夏仕様で生活してて何とも思わなかったわけだからさ。

 で、まあ、どうも駄目だなって。


 暑い寒い、っていうか熱への感性みたいなもんかね。その辺の神経とかの仕組みは分からないけど……元々そこまで敏感ってわけでもなかったけどな、今は全然だめ。熱中症まっしぐらみたいな猛暑日でも長袖ダウンジャケットで炎天下に出られるし、家に帰りつく前に行き倒れるような吹雪の真冬日でも半袖サンダルで散歩ができる。ただ感覚が死んでるだけだから、きっちり脳は煮えるし身も凍えるからどっちにしてもやられる。さすがにぶっ倒れるまではいくのは稀だけど、相当具合が悪くなってからあーって気づく。


 火傷も凍傷も同じだ、肌に触ってるものの熱? みたいなのが分からないわけだから。

 背筋を冷たい手が、とかも今はあんまり分からない。触ってるなってのは分かるけど、熱くも冷たくもない。だから夏場に首筋に冷たいペットボトル当てて脅かすみたいなやつもあんまり。普通にいきなり首に物当てられたらビビるから、結果として同じリアクションはできるけど。


 だから、とりあえず手がこんな感じになってる。


 ちょっとしたもんだろ。点とか線とかよりどりみどりっていうか、人の肌ってこんなに濃淡できるんだなみたいなさ。

 気づけないんだよな、俺がぼうっとしてるってのもあるけど。

 台所仕事って結構危ないもんだぞ。油跳ねたり熱したフライパン掠ったりで、これ。焼いた痕でもちゃんと処置すればまだ良かったんだろうけど、全然分かんないから、このざま。あとはほら、煙草。吸いながら考え事とかしてると、指の間まで火が来てね。考えごとぐらいするんだよ俺だって。

 ……あ、見せてから言うのもあれだけど、お前グロいのって苦手だっけ? このくらいなら平気か。どうもあれだな、自分だと見慣れちゃってるから配慮の加減が分からなくなる。でもお前グリーン・インフェルノとか見られるなら大丈夫だろ。あれ見られるんなら大概のもんが平気だよ、少なくとも俺はあれ予告編で駄目だったからな。

 ま、とりあえずはそういうことだ。ともかくとして見てて気分のいいもんじゃないだろうしってことで、手袋。夏でも平気なのは……説明、もうしただろ。別に冬もあったかくない。ただ余計な布がはっついてるなってぐらいだ。

 

 祟りとか呪いとか、そういうのはよく分からない。

 発端ったらあの家なんだろうけど、そもそも俺は具体的なものにはほとんど遭ってないしな。噂にあったような声も影も見なかった。異様に涼しい仏間ってのは確かにおかしいかもしれないけど、怖いかどうかったら微妙だろ。涼しい部屋が怖い、ってだけ言うと尚更分からない。

 ただ、あの仏間の押し入れを開けようとした瞬間。あのときは本当に、どうしようもなく怖いと思った。それだけは確かだ。……まあな、全部俺の主観で、経験で、客観性に欠ける。だから証明にはならない。そういう話だ。


 まだ半信半疑って顔だな。

 まあな、何でも言われた通りに信用するようじゃそれはそれで不安だ。かといってこんなに真摯に話したのに疑われるっていうのも、それなり面白くない。こっちは病み上がりの身で過去の恥を晒したわけだからな、そんな目で見られるのはちょっと嫌だ。


 そうだな、じゃあ──実際に試してもらうのが一番か、やっぱり。


 ほら。

 煙草の火、押し当てていいから。

 ついでにそれで賭けをしよう。声を上げなかったら俺の勝ち、そのときは……そうだな、煙草の一箱でも奢ってくれればいい。お見舞いの品に文句を言うのは行儀が悪いけど、誰も煙草は寄越さなかったからな。


 叫んだり呻いたりしたらお前の勝ち。何ならあれだ、辛そうな顔してたとかでもいい。顔に出さないくらいに我慢できたら、それはそれでもう一つの芸だろ。煙草、結構熱いからな。三百度とか七百度とかじゃなかったか。

 どうした、遠慮するなよ。どうせ火傷だらけの手だ、お前の一つが増えたところでどうってことない。俺の言ってることが嘘じゃないって証明できて、そんで煙草代まで浮く。誰も損しないだろ。


 お前の取り分は……あれだ、得難い経験、ってやつじゃないか。あんまりないだろ、人に煙草の火ぃ押しつけたこと。あと腐れなく試せるチャンスだ、なあ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

煮える夜、冷えた闇、灼ける膚 目々 @meme2mason

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ