姫部〜男子校の姫達は本当の姫になる!!?

橋本衣

第1話 これが全ての始まりである



4月上旬、新学期であり、新しい学年になり、新しいクラスが発表され、全員が意気揚々と学校の玄関に向かう。

その1人に高校1年生になったばかりの俺こと、鬼王悠樹きおうゆうきも含まれている。


「、、、、また、1組か。これで4年連続」


悠樹ゆうき〜!!何組だった!俺は1組〜!!」


クラスを確認していると後ろから大きな声が聞こえる。俺は後ろを振り返ると見飽きた顔がそこにあった。


湊真そうま、五月蝿い」

「俺も4年連続1組だよ」


「ヤッタ!また、悠樹ゆうきと同じクラスだ!」 

「これって運命かも!!?」


俺の隣ではしゃいでいるコイツは、皇前湊真おうぜんそうま。入学当時から同じクラスで、寮の部屋も同じで性格は違うが自然と気が合い、親友とも言える仲である。

まぁ、コイツの思いつき、悪戯に何回巻き込まれたか、、、、。

コイツはチャラいし馬鹿なのに、数学だけは何故か90点以内しか取らないんだ。何でだ?

何て思いながら湊真そうまを見れば真剣な顔でクラス表を見ている。そして、目を輝かせながら、俺の方を見た。


「、、、、!あ、見て!姫達とも同じクラス!!」


「えっ?、、、、本当だ」

「って、姫って何?」


そう疑問を湊真そうまに言うと、湊真は迫力ある声を出す。


「忘れたの!ほら、姫宮美羽ひめみやみう姫路瑠衣ひめじるい!!」

「この2人は俺達、男子校の姫なの忘れた!!?」


「あぁ、、、、でも、それめっちゃ言ってんのって湊真そうまぐらいだけどね」


「陰で言ってる人は多いんだけどね!」


今、名前が出てきた2人は湊真曰く、俺達が通う男子校の姫らしい。まぁ、何処となく分かるが。

まず、姫宮美羽ひめみやみうは可愛い寄りの美人の顔立ちで美形って感じで、真面目でしっかりした性格と年齢関係なく敬語なところもある。そして白い肌と小柄な体格そしてその顔立ちも相まってから、湊真曰く、“天使“らしい。

次に、姫路瑠衣ひめじるいは綺麗系で中性的な顔立ちで人形みたいな美人な感じで、肌が白く、マイペースで不意にボケたりする性格と童顔で、意外と男前で実は英語が得意だと言うギャップ持ち。湊真曰く“子猫“らしい。

2人は入学早々気が合ったり、同じ寮部屋だった事もあり一緒に行動したりしていた事もあり、入学して1ヶ月も経たない内に、姫の称号を本人達が知らない内に手に入れてた。


「本当、あの2人って男なのかも疑わしいよな!」


「言い方。まぁ、あの2人小柄だし華奢だから、女の子に間違われる事は多いみたいだしね」


「何か、もう2人は実は女の子なんじゃないかって思い始めてきた」


「何、馬鹿な事言ってんだ。本当、馬鹿な事はすんなよ」


「酷くない!悠樹ゆうき!」

「、、、、ま、良いや。さ、早く教室行こ!」


「ヘイヘイ」


そう言って、3階に上がり、俺らのクラスである1年1組の教室に入る。

そして、早速、俺らの席を確認しながら辺りを見ると姫2人が座っている所にはあるはずのない花が咲いており何故か見える。これは目の錯覚なのか、本当に花を咲かせているのかたまに分からなくなってしまうのは俺だけではないだろう。


「ねぇねぇ、悠樹ゆうき、あれであの2人は自分の事、姫って認めてないの、何でだろうね?」


「さぁ?まぁ、2人ってカッコいいって言われたいみたいだしね」

「それに、可愛い子って自分が可愛い事、自覚ないらしいからね」


「マジですか。って、俺ら2人と席隣だ!」

「よっしゃぁー!!」


「、、、、うるさい」


興奮気味で言う湊真を落ち着かせながら、自分達の席に向かうと、姫達に声を掛けられた。


「2人共、教室入ってからちょと騒がしいですよ」


「本当、俺らが姫とかなんとか言ってだけど、姫って僕らは認めてないですからね」


「ですです。僕らの何処が、姫ですか。まぁ、瑠衣るいが姫なのはちょっと分かりますけどね」


「、、、、それってどーゆう事?美羽みうさんや」


席に着こうとすれば、2人の言い合いを聞きながら、話を聞かれてちょと恥ずかしさがあった。


「2人共聞いてたの!!」

「ちょと、恥ずかしいじゃない」


五月蝿うるさかった?ごめんね」


「いえ、湊真がうるさいのなんて日常茶飯事ですからね」


「うんうん、この4年間、悠樹ゆうきがどんだけ巻き込まれたか」


「俺が主な被害者だよなハハッ(掠れ笑)」


「、、、、何か、ごめんな?」


「お前はもう少し反省しろ!俺がどんだけ迷惑かけられて、謝ってきたか」

「今年は絶対、お前の尻拭いはしないからな?お前が、悪戯いたずらして先生に怒られても無視するからな?」


「勘弁してください」


「さ、2人共そろそろチャイムなるみたいだから、前を向こう」


そう、深々と頭を下げる湊真を尻目に席に座り、チャイムが鳴るのを待つ。因みに、湊真の扱い方が上手いせいで、毎回同じクラスになっているんじゃないかと、俺は疑念で一回先生に聞いたが 「ハハッ 君の様な感のいいガキは嫌いだよ」って言われて「マジで勘弁してください」って真顔で言った事がある。


キーンコーンカーンコーン

ザワザワ ザワザワ

ガラガラ ピッシャ


「はぁーい、席に着けよ〜。自己紹介するが、お前らの担任になる、日原宗輔ひはらそうすけだ。気軽に宗輔そうすけ先生と呼べ」


そうちゃんせんせーい!4年連続俺らの担任じゃん!」


「!、、、、はぁ、!何で受け持つクラスの生徒が4年間誰1人変わってないんだよ!!」

「4年連続だぞ!俺、そろそろ飽きた!」


自己紹介した担任事、日原宗輔ひはらそうすけ先生は俺ら1組を4年連続受け持つっている人で、湊真の遊び相手でもある。いつも湊真に揶揄からかわれていてちょと、可哀想である。だが、こっちはこっちで無駄に体力とコイツがいつ問題起こすかと言う不安に駆られているんだ、それを味わえ。


「飽きたなんて酷いわ!私との関係は遊びだったのね!!」


「お前のその感じマジで何年やるつもりだ!」


「えっ?卒業まで?」


そう湊真が言うと、手を頭に当て、悩みを抱えるようなポーズをする宗輔先生は、顔を上げて俺の顔を見て保護者を見る様な顔で、、、、

分かる、俺のアイツのあの感じは毎回応じるのめんどくさい。俺は瞳に全ての苦労と疲労感、そして諦めた雰囲気を出す。


「、、、、悠樹ゆうき、どーなってんだ?」


「勘弁して下さい。俺も疲れてるんですよ」


「そうか、俺も悪かった」


「ねぇ、何、その会話、何なの?」


「気づいたらどうです?湊真は面倒くさいんですよ」


美羽みう、ハッキリ言い過ぎだよ笑、まぁ、面倒くさいのは本当か笑」


瑠衣るいさんの方がハッキリ言ってませんかね!?」


姫2人は可愛い顔しながら毒を吐く姿は不意にだが綺麗だと思ってしまった。そんな2人に毒を吐かれた湊真は相当悲しかったのか、顔を机に伏せている。ザマーミロ、少しは俺の辛さを味わえ。


「でも、何で俺らのクラスと2組だけは生徒が1人も変わんないんだ?」


「、、、、お前ら分かって言ってるだろ?」

「このクラスと2組は成績上位者68名で特進、進学クラスなんだろ。知ってて言ってんだろ」


「そー言えば、そうだった。、、、、て事は、ここに居る1組と2組って一度も69位以下になった事ないって事?」


「そう言われればそーだな。コイツら馬鹿なのに頭は良いんだもんな」


「せんせー、それ、どーゆう事!!?」


「酷くない!?」


「それって褒めてるの!貶してんの!」


そう先生が言うと周りのクラスメイトは続々と声を上げた。そりゃあ、馬鹿って言われたらねぇ?何て俺も思う。何てみんなザワザワしていると宗輔先生が大きな声でその場を鎮めた。


「特に角!今年からお前ら以外にも新しく入学してきた外部生が何人も居る!」

「一応、この学校にある歴で言えば先輩なんだから、優しくするんだぞ」


そうちゃん先生、それって俺らが3年間男子校に通ってるって事なんですが?」


「まぁ、言い換えればそう言えるな」

「、、、、でも、美羽みうとか瑠衣るいが居るんだし、お前ら退屈はしなかったろ?」


「「「「「「「確かに、それはそうだけど」」」」」」」


「フッ」


湊真を含んだクラス全体が揃ってそう言って俺は少し笑ってしまった。


悠樹ゆうき、、、、笑いましたか?」


「いえ、気のせいでは?」


「ううん、俺見たし聞いた。悠樹笑ってたよ?」


「怒ってる?」


「「怒ってないですが??」」


そう、真顔で言ってくる2人にちょとビビったのはここだけの話にしとこう。でも少しだけ怒ってる2人も可愛いな、なんて思ってしまったのは全員に言いたい。


「それじゃあ、今日はこれまで、必要な物とかは机の中に入ってるし、それ持ち帰る事」

「それで、明日から授業始まるから、今から寮に帰っても良いし、学校に残って勉強をしても良い、どっか外出しても良いが、門限までには帰ってくる事!」


「分かったか!?」


「「「「「「「「はーい!!!!」」」」」」」」


「宜しい!じゃ、俺、職員室帰ります!」


ガラガラ ピッシャ


大声で返事をし、先生は若干疲れた顔をしながら教室から出て行った。そして、クラスメイトの何人かは教室から出たら、席で本を読んだらしている。俺ら4人も席に座りながら少し喋った。


ザワザワ ザワザワ


「そう言えばさ、2人は1人部屋どう??」


「どうと言われても」

「1人部屋ですか。、、、、楽ですよ。通常の2人部屋を1人で使えますし、色々快適で何でも出来ますし」


「だよね。冷蔵庫とか洗濯機とか、テレビとか1人で使えるから、結構嬉しいし」


湊真は興味津々で聞いている話題は。

俺らの学校は全寮制で、基本2人1部屋で生活するが、美羽みう瑠衣るいみたいに高等部1年代表に選ばれると1人部屋が与えられるんだよね。それで、代表に選ばれる条件はテストなどの学年5位以内を常にキープで学校内での態度や寮生活でのルールを守っているかなどで判断するらしい。


「それめっちゃ良いじゃん!1人で自由に使えるとか、羨ましい限り!!」


「確かに羨ましいかも。でも、代表に選ばれるって事は、それだけ2人が努力したって事だね」


「!、、、、悠樹、だっていつも努力してるし頑張っていますよ。ね?瑠衣」


「そうそう!いつもこの馬鹿(湊真)の世話をしてるんだから!」


「マジ?何か、嬉しいわ。ありがと」


そう2人に褒められて素直に恥ずかしくなったのはここだけの話だ。だって、こうやってあの馬鹿の世話が褒められるなんて、何かやってきてて良かった気もする。だが逆に貶されている湊真とは2人に大きな声で反抗する。


「俺は!俺の事、褒めてよ!!」


「それで、2人は今から何するの?」


「僕は図書館で勉強でもしようかなって思っていて」


「俺は新しい服買いに行こうかな〜何て考えてる」

「悠樹は?」


「あれ?無視ですか?スルーですか!?」

「良いもん!それなら、凄い事考えてやるんだからな!


何て騒いでいる湊真を横目に帰りの準備をしながら質問に答える。やっぱり3年以上居るとコイツの扱い方上手くなるんだな〜、なんて少し思う。


「俺はねぇ、他校の友達と遊びに行く予定」

「久しぶりなんだよな」


「そうですか。、、、、それで、湊真は?」


「!!、、、、俺はね!新作のゲームがあるからそれやる!」

「、、、、後、母さんにあれ送って貰う為に連絡しとこ!」


そう悪巧みをする時の様な顔で言う湊真の顔に嫌な予感をしながら、聞いてみた。一応警戒しとかないと、後々周りに嫌味言われたり文句言われるのは勘弁してほしいから。


「湊真、あれって何?」


「そ・れ・は、秘密〜!明日には分かるさ!」


「聞くんじゃなかった」


「どうせ、下らない事ですよ。気にした所で呆れる答えしか返って来ませんよ」


「も〜、美羽姫、辛辣〜」


「だから、姫じゃないって言ってるから!!」


「美羽、諦めな。名前に姫が入ってる時点で決まっていた運命なんだよ。これは」


「それ言ってる瑠衣にも入ってるけどね笑」


何て軽くツッコミをしていたら、目の前で大きく立ち上がった湊真は素早く荷物をリュックに入れて背負ったと思えば。


「じゃ!俺はしたい事を素早く行いたいと思うので、寮に一足先に帰りますね!」

「では!!」


そう言って軽い足取りで教室を出て行った湊真。

アイツ、多分何か、思い付いたなって、この時すぐに分かってしまった俺が嫌だ。

そして、暫く2人と喋り、10時近くなった所で、寮に帰り、部屋に入ると、誰かと神妙な面持ちで話している湊真の姿が居た。


ガチャ


「ただい、、ま」


「うん、だから、それとあれは早ければ今日、遅くても明日には配送お願いね!

電話してくれればすぐに受け取るから!

うん、分かってる。写真は送るし、、、はい、じゃーね!」


ピッ


「ふぅ(深いため息)」

「て、あれ?悠樹帰ってたんだ?」


電話が終わってため息をしたかと思えば、俺の存在に気づいたのか笑顔で声をかけて来た。そんな俺は荷物を置き、ブラザーの制服から私服えと着替え様とクローゼットを開けた。


「うん、今帰って来た」

「湊真は誰と電話してたの?」


「ん?あぁ、母さんに電話、ちょっと送って貰いたい物があったからね」


そう、ニマニマとした笑顔で言う湊真に予感が当たってしまったかもしれないと言う残念さとコイツまた、馬鹿をしでかすのかと言う不安が混ざった様な顔をしながら話を続ける俺。


「、、、、もしかして、さっき言ってた事?」


「どうでしょうね?ま、明日のお楽しみですよ!!」


「楽しみたくはないがな。俺は」


「もう、いけず!」


「張っ倒すよ」


何て会話をしながらパーカーを着て、ゆったりめのズボンに履き替えて必要な物を持ち、部屋から出ようとして、一旦足を止めた。


「じゃ、俺出掛けてくるから、結構遅くなると思うから、先に寝てても良いから」


「分かった〜!じゃ、ちゃんと門限までには帰ってくるんだぞ?寮監に怒られたくなければ!」


「お前じゃないんだから、分かってるっつーの!」


そう言って部屋から出て、寮を出て、友人達を待ち合わせをしている所までに30分もかからずに着いた。

友人達との少ない遊びの時間だけでも湊真の悪巧み、思い付きが何かとか考えたくも無い。



「(多分、美羽、瑠衣の2人も巻き込まれそうだな)」

「(いや、あの顔、もしかしたら大きくそして同級生以外にも何かするかもしれんな、ありゃ)」


























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