第2話 画竜点睛1 時の経過は・・・
「20歳を過ぎたら、時が経つのは早いぞ」
かの作品の増本の親父さんの弁。
これに対する、両者の感想が入りました。
森川一郎氏の弁
まったくその通り。私の実体験からもそうですな。
未成年期と成人後で時の経つのが早くなるのは、何だかんだで同じことを繰り返していくようになることと、人間生活に慣れが出てくることも大きく作用していることも大きいのではないか。
ただ、これの裏を返せば、子どもの頃は時が経つのが遅いということになりますわな。かの米河君がよつ葉園にいた時期を考えれば、わずか数年の間とは言え小学校のほぼ全期間でしょうが。そりゃあ、良くも悪くも影響を受けるわ。
そこから考えるに、その増本さん宅のお母さんですか、子育てをしているときの時間の経つのが遅くなったというのは、それだけ彼女が子どもへの愛情を注いでいたことの何よりの証拠と言えやすまいか。無論それはプラス面からの指摘であり、マイナス面を見れば別の答えも導き出せよう。
ま、そんなのは皮肉の得意な彼にお任せして、私はプラス面からの指摘のみにとどめましょう。
米河清治氏の弁
私自身、こちらの親父さんの時間間隔とまったく同じであることは申すまでもありません。独身で通しているから余計に早いわ、わっはっはということで。
それはともあれ、かの母親の時間感覚、子どもの頃は時が経つのが早かったということに対して、大人になって子育てをしている期間の時間経過が遅くなったというのはどうも私には理解不能ですわ。
したいとも思わん。そもそも無理筋や。
余程、いい少女時代を送れたのでしょうな。
それはともかく、子育て期間、つまり母親としての時間経過が遅かったことというのは、それだけ密度の濃い時間を過ごされたことは間違いないでしょう。そこで注がれた愛情のベクトルの方向性が正しいかどうかは、無論話は別です。
愛情あればそれを銘打てばすべて免罪符というわけではないですからね。
まあその、Z氏の弁によれば二言も経たぬ間に世の中は厳しいの社会はどうのとホザく、もとい御高説を述べられるような御仁とのことのようですからね。
そりゃあ、生きづらい社会では時の経つのも遅くなりましょうよ。
そうか、そう考えれば、私が子どもの頃、時が経つのが遅かったのは、それだけとんでもない環境だったということか。なるほど、反面教師は素晴らしいわ。それでようわかりましたよ。と、申し添えておきましょう。
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