第3話 画竜点睛2 ラテン系は・・・、について

https://kakuyomu.jp/works/16818093074870825076/episodes/16818093080726977494

↑ 第40話 補遺;ラテン系は好かん


 こちらに対する森川・米河両氏の反応を御紹介します。


・・・・・・・ ・・・・・ ・


森川一郎氏の弁

 こちらの作品の増本さんの親父さんについて、彼も気になったようであるが、私もこの点については指摘してみたいと思う。

 ラテン系は好かん、とその方は述べられたとのことであるが、その点について。

 一般に、温暖な地やゆとりのある地というのは、時間観念も去ることながらいろいろな面においてよく言えば大らか、悪く言えばルーズになる傾向がある。無論業種や地域、さらには時代によってその差は多かれ少なかれあるが、それでも人間の本質レベルにおいてはそう変わるものでもないと思われる。

 そこに来て、この親父さんがラテン系が好きではないとのことであるが、ここで描かれた増本の親父さん像から見れば、確かになるほどと思わされる。

 私自身についても、その御指摘にはおおむね同感するところでしてな、どうも、個人的にはああいう傾向は、好きになれんわな。

 増本さん宅の親父さん以外の皆さんは、必ずしもそうではなかったように書かれておるが、なるほど、その家のお母さんの賑やかしさというか、子どもに対する愛情というのはラテン系かと言われれば疑問符もつくが、そちらとの親和性については、親父さんや主人公の或作家氏よりはまだ受け入れる余地があるというより、積極的に何かを受入れるのではないかと思われてならないですな。


米河清治氏の弁

 実は私、Z氏つながりで何度かその親父さんにお会いしたことがありました。そのラテン系は好かんというお言葉、私も高校時代にお尋ねした時にお聞きしたことがあります。マジもマジ、表情は柔和でしたけど、目がまったくと言っていいほど笑っていらっしゃいませんでしたね。一歩間違えたら、御自身のおられる家庭自体を全崩壊させてしまいかねないほどの力を感じました。

 確かに増本さん宅のお母さん、あえて今回は母親という少しどころかかなり突き放した表現をあてがっておりますけど、第三者として見ても賑やかしさのある方でしたね。本文でも指摘しましたが、ラテン系かと言われると何か違う気がしないでもないが、そういった社会との親和性は十分ある方でした。子どもの頃は余程いいお育ちをされたのでしょうよと言いましたが、親元がそりゃあしっかりしておられた方ですから、無理もないかな、と。

 一方の親父さんのほうですが、その母親の醸し出す空気感を忌み嫌っていたわけでもないでしょうけれども、本心としてはあまり好んでおられるような方には見えませんでした。本書の執筆にはZ氏に改めて取材しましたが、彼もまた、母親のあの賑やかしさというのはどこかで逃げ出したくなる感情を年が経つにつれ感じることが多くなったと言っておられました。

 そうですね、そうして考えてみると、あの親父さんの「父性」というものは、あの家の賑やかしさや騒がしさをびしっと抑える安全弁のようなものであったのかもしれません。

 もし親父さんが私のようにビシバシ何でも自らやっていくような方でしたら、恐らく母親のほうが抑圧されたうえで逃げ出していたかもしれませんな。あるいは問題を起こして隣の両親が親父さんに謝罪に出向かねばならぬ事態になる可能性もありえたと思われる。

 そういう意味では、増本家というのは存外バランスの良い家庭であったと言えるのではないでしょうかね。


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