第23話 選手交代

 俺は、その攻撃を食らってしまったせいか体がしびれていた。そしてもちろん、俺の体は動かなかった。するとカナはまたもやこちらに手をかざし、水魔法を放った。そしてその水は俺の周りを囲い始める。どんなに体を動かそうとしても、この体が動くことはなく俺の体は水に飲みこまれた。


「じゃあ、これでとどめかな。あっちもだいぶ接戦みたいだし。はやめに援護しにいかないと。」


必死に体を動かす。


「お。」


すると、わずかに手が動いた。やるしかない。そう思った俺はその水を応用することにした。それに気づかなかったのか。彼女は、雷魔法を放つのだった。






 だが、その雷魔法は当たることはなかった。本来なら当たるはずの攻撃。その異常事態に観衆がざわめく。だがそれは雷魔法が当らなかったことではなく、さっきまで水だったものが急に氷に変わっっていることによって起こった歓声だった。


「おらぁ!」


俺は、俺を囲っていた囲っている氷を破壊し、その牢獄から脱獄をした。するとカナは驚いた表情をしながら、こういってきたのだった。


「あなた、いったい何をしたの?」


それはいたって単純だった。俺は『氷魔法』を使って、水を氷に変えたのだ。だが、それを俺は教えるはずもなく、


「さて、何をしたんだろうなぁ。」


そうはぐらかした。すると、彼女は急に魔法を放ってきた。きっと油断していると思ったのだろう。だが、ある事実を知った俺には、到底かなわない。そして俺は『土魔法』でその魔法をガードする。そして俺はその壁を駆使し、やがてカナとの距離を20メートルほどまでに縮めていた。


「さて、俺もあいつと合流しなきゃな。」


そういった数秒後、決着はついた。


 勝者は、俺だった。










 あれから、僕は苦戦を強いられていた。彼女は体力が戻っただけ。と言っていたが、魔法はじゃんじゃん発動するわ。近距離戦も仕掛けてくるわで僕の体力は限界に近づいていた。そうして僕は呼吸を整え、最後の風魔法を放つ。


「風。は、相手を。引き寄せる。」


だが、その風邪はそよ風程度で、そんな風じゃあ勝てるはずもなくて。だけど、まだ立たなきゃいけなくて。そうして僕は、その場で立ったまま、意識を失った。








 俺がその場に来たときにはもう遅く、そこにいたのは、ボロボロになって、突っ立ったまま意識を失っていた、彼がいた。


「おい、大丈夫か。」


俺はそいつの肩を揺さぶる。だが反応はなかった。きっとキツかったんだろう。なのに、なぜ。


「なんでお前は、笑ってんだよ。」


そう。そいつは、笑っていた。まるで、あとは任せたぞ。と言わんばかりの表情で。


「じゃあ、選手交代だ。」


そういって、俺はそいつを寝かせる。期待に応えるしかないだろう。そうおもった俺は、レイナにその目を突きつける。


「前回の試験では決着がつかずに終わっちまったが、今回こそは決着をつけさせてもらうぜ。」


俺は戦闘態勢に入り、そのまま攻撃を仕掛ける。


「ええ。私もちょうど、決着をつけたいと思ってたところなのよ。」


 かくして、俺とレイナの戦いが始まった。


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風魔法しか使えない落ちこぼれと言われた僕はどうやら現代最強の魔法使いだそうです @THERDRIE

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