第9話 「謎の男 その③」

 彼は『迷いの森』にて埋葬した。簡易的なものだがな。

ダンジョンで人が死ぬのは珍しくない。

彼の遺言通り、遺品は全てこちらのチームで分けることにした。

ウルフは鉄の籠手、リーフェは毒消しの書(初級)、クロムは魔力付与(水)、俺は無しだ。

俺が何も取らなかったのには理由がある。それは、彼の遺体のそばに、光る球体のようなものがあったからだ。

俺が触れると、彼の記憶だろう。色々な出来事が見えた。

そして、[スキル付与 盗む(ランク1)]

スキルを習得した。あまり彼の記憶からは関係のないようなスキルだ。

「そろそろいくか。」

クロムに話しかけられた。

「そうだな、依頼は達成したしな。」

俺達は迷いの森から出た。


~タウン内~

 あのあと、俺達は敵を倒しつつ出口へと向かった。

そのおかげで、レベルが上がった。

俺→20レベル クロム→34レベル リーフェ16レベル 

ウルフ→24レベルだ。

 そして道中、珍しいアイテムも拾った。

金の延べ棒。換金アイテムだ。あのダンジョンで見つかるのはとても珍しい。

 クエスト屋に着いた。

まずは受付に依頼完了したことを伝える。

次に依頼人に。

「…結果から言います。彼は…死にました。我々が来た時にはもう、手遅れでした。」

そう言うと依頼人は、

「そう…でしたか…ありがとうございました。これは報酬です…」

意外と落ち込んだりしている様子は無かった。

こっちに転移してからそんな珍しいことでもないしな。

 報酬は、一人金貨十枚だった。これで、初めてのギルドクエストは終了だ。

武器でも買いに行こうか。そう思った時だ。

「あの、少し付き合ってください。」

リーフェに話しかけられた。

「いいけど、どこか行くのか?」

リーフェに誘われたのは初めてだ。

「ダンジョンに行きたいんですけど…一人じゃ怖くて…クロスさん!一緒に来てください!!」

武器を買うことならいつでもできる。

「ああ、いいぞ。」

俺とリーフェでダンジョンに入った。


~ランダムダンジョン~

 俺達が来たのはランダムダンジョン。入る度に中が変わるダンジョンだ。

 ダンジョンレベルは19にしておいた。リーフェにはこれが丁度いいだろう。

 このダンジョンは最高で六十階層まである。十階層ごとにボスが現れ、ボスを倒すと出るか進むか決められる。

「あの、クロスさん。私、さっき聞いたんです。クロスさんが探している男の人か分からないけど、『タウン内に、剣を二本装備している長身の男がいた。本来は剣を二つ装備できないのに』って。」

剣を二本…か。

「もしかしたらそうかもな。俺にデータドレインを付与したぐらいだし剣を二つ装備してもおかしくないな…」

これは憶測なのだが、あの男はチートを使えるのではないだろうか。

俺はリーフェに、

「貴重な情報をありがとう。リーフェのおかげでまた一つあの男に近づくことができた。」

必ず、あの男に会ってみせる…


謎の男について

名前  ???

ジョブ ???

装備  剣を二つ装備している?

防具  ???


~しばらく歩いて~

「そういえばリーフェ、なんで俺をダンジョンに誘ったんだ?」

俺はリーフェに聞く。

「そそ、そんなこと…いいじゃないですかっ!」

何故だ?言ってくれなかった。

まぁいいか。

俺達は先に進んだ。

しばらくして、ボスのいる部屋に着いた。

ボスの部屋に行く前にリーフェが、

「あ、あのやっぱりやめましょうよ…」

リーフェから誘ったのにか。

ちなみに途中でリタイヤできるがその場合、取得したアイテムは

消滅する。まあ経験値は稼いだし出てもいいか。

「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ辞めるのかい?まあいいけどさ。」

俺がそう言うと、リーフェが

「なんかどっかの漫画家みたいですね。死んだら嫌ですし出ましょう。」

岸〇露伴っぽく言ったのがバレたわ。

俺達はダンジョンをリタイヤした。


~タウン内~

 俺はリーフェと別れたあと、一人であの男に関する情報を探した。

色んな人に聞いた。

剣を二本装備した男は見たか…と。

結果から言うがあまり情報は得られなかった。

見た人もいたがそれ以上は何も分からないらしい。

今日はこのくらいにしておこう。武器でも買いにいこうか。

俺は武器屋へと足を運んだ。


~武器屋~

もうそろそろレベルが30になる。30レベルまでいくとジョブチェンジすることが出来る。(2ndジョブ)

そこらへんも見つつ武器を見よう。

次にやろうと思っているジョブは騎士(ナイト)だ。

剣士の上位互換で全ステータスのバランスが良い。デメリットは体力が全ジョブで一番低いのと目立ったスキルがないことだ。逆に言えば安定して使える。

騎士の武器は剣と盾。盾は自動的に進化するため購入の心配はない。

剣は剣士の時と違うため購入しなければならない。

一通り武器や防具を見たので、外に出た。


~タウン内~

外に出るとなにやら騒がしかった。何だろう。みんなが見る方へ顔を向けた。

すると、タウンで大規模の火災が起きていた。

俺はクロム・ウルフ・リーフェを誘い火事の発生源へと向かった。

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元世界一ゲーマー、MMOに囚われる。 げほげほ悪戦苦闘☆社会運動 @takinarei723

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