はい様とは何者なのだろうか……『都市伝説』、『謎の置き配』、そして『正体不明の存在』……これらのホラー要素がいざなうように絡み合い、眼前に横たわる恐怖から目が離せません。様々な憶測を飛ばしてみても、それらを掻い潜る予測困難な展開に本作の魅力を感じます。関わってはいけない……でも、関わらざるを得ない。命の悲鳴が聞こえる――でも、それでも、助け出さねば……強烈なサブタイトルに負けない読ませる力がこの小説にはあります。日常に潜む仄暗いホラーを、ぜひ体感してみてください。
描写が繊細で秀逸な作者さまが、都市伝説的ホラーに腕をふるった作品。 同じアパートで、はい様、宛ての置き配に異臭を感じた主人公。 一体何がはいっているのか、と疑問を持ちます。 一度では済まない、はい様、宛ての置き配。 近くの部屋から聞こえてくる不審な騒ぎ声も、この、はい様、宛ての置き配に関係があるのでしょうか。 はい様、がどんな存在で、何を行うのか。 この作品を読んで、想像してください。 お、いま、はい、と返事しましたか? もうあなたも、はい様、に関わりを持っているかもしれませんね。
はい様という存在はインターネットで調べれば簡単に見つかるほど有名な都市伝説と化している。しかしその姿を見た者はおそらくいないし、作中内でも登場することはない。それでいて存在感がある、とても不思議な怪異が本作のメインテーマ。でも、はい様が何なのか明かされないからこそ本作の良さが際立っていると思います。最後の主人公の判断はハッピーエンドと両手を上げて喜んで良いものなのか…考えさせられる物語です。