サンダル 👡

上月くるを

サンダル 👡



水槽をひよいと跳び出て熱帯魚

おどろきを求めて夏の空を飛ぶ


短パンと色えんぴつや日雷

仰天のなき旅なんぞ雲の峰


馴染むまで深めにかぶる夏帽子

白靴のはやくも重くなりにけり


闘牛のポスターの赤ダリアの黄

氷中花カオスの街に溶け入りぬ


サンダルやここは地の果最の果

琵琶の実や弱さ露呈し安らげる


ゴールドの蠅と分け合ふミントティ

チープな街チープなわたしソーダ水


違和感につぐ違和感やハンモック

なにもかもどうでもよくて巴旦杏


原色のシティガールや扇風機

耳たぶの大きな男サングラス


祈ること久しくわすれ栗の花

白夜にも路上の皿の崩れざる


さざ波の異教のうたや明易し

枕辺に寄せ来る時差や夏の暁




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