闇夜の森に、蒼白き鱗粉を引き手繰るもの

闇夜の森に迷う旅人。
一寸先の暗闇に溶けながら蒼白く光り、
昏い木々の合間をふらふらと彷徨う。
鱗粉の長い尾を引く それ は、果たして
夜の夢、魂の彷徨、鱗翅目の幻か。将又
物の怪の類であろうか。
 銀色に光る美しい糸を手繰って創る繭の
中から、鱗粉に塗れた それら が
舞い出る。羽化に偽せた 魂の解放 が。

捕食者によって、丁寧に為される。

往々にして有り勝ちな それ を、
夢見がちな旅人は  彼辺此辺 と言う。