第10話 友人キャラ、暴走する
「ルカン、お願いがあるんだ!!」
「嫌だ嫌だ聞きたくない聞きたくない」
「大丈夫、大したことじゃないからさ!!」
今日はユリーシアとローリエが仕事で忙しく、基礎訓練が終わったら自由に過ごしていいと言われていたのだ。
しかし、城下の探索に行こうとした矢先に俺はアレンに呼び止められてしまう。
「……大したことだったら逃げるぞ」
「大丈夫だよ!! ちょっとメルジーヌとエッチなことしてほしいだけだからさ!!」
「大したことじゃねーか!! 嫌だ!! 流石にお姫様に手を出したら俺の首が危ない!! 物理的に!!」
「メルジーヌは納得してるって!!」
「そういう問題じゃない!! 平民が王族に手を出すことの意味分かってんのかコラ!!」
俺はしつこいアレンを振り払い、逃げようと試みるが……。
ここしばらくの訓練で筋肉が付いたようで、アレンから中々逃げられない。
すると、アレンの隣で静かにしていたメルジーヌが話しかけてきた。
「ご安心ください、ルカン様。今回はあくまでもアレン様の性的興奮を煽るための行為。王家も了承してのことです。ルカン様との行為には避妊魔法を使わせてもらいますから」
待って、王家が承諾してんの!?
いや、待て待て。一旦落ち着こう。こういうのは気持ちが大事なのだ。
「メ、メルジーヌ王女殿下はいいのですか?」
「はい。それが王女としての私の務めですので。……それに、その、以前ルカン様にご相談した際に教わった方法を実践したら、アレン様からも大変ご好評でして……」
「?」
途端にメルジーヌが頬をポッと赤く染め、まるで恋する乙女の顔を見せる。
「なんというか、その、ふふ。下品なんですが、アレン様の男として惨めなお姿を見ていると、ゾクゾクしてしまって……。この人をもっともっと惨めにして差し上げたい、そう思ってしまったのです」
「……まじですかい」
メルジーヌも目覚めている。
ゲームのメルジーヌはアレンに女をあてがうことでアレンを駄目にしようとしていた。
しかし、今のメルジーヌは逆だ。
アレンから男としての尊厳を奪うことに興奮してしまっている。
誰が原因だよ!! 俺だよチクショウ!!
俺がメルジーヌに嘘の寝取られ報告プレイを教えてしまったせいだ。
待ってほしい。言い訳させてほしい。
俺は断じてメルジーヌを目覚めさせたかったわけではない。
アレンの寝取られ性癖が多少なりともマシになればと思ってのことなのだ。
思ってのこと、だったのに……。
「さあ、ルカン!! メルジーヌとエッチして!!」
「ぐぬぬぬ、他人事だと思いやがって……」
「あの、ルカン様」
俺がアレンへの怨み節を語っていると、メルジーヌが俺の服の裾をちょんと引っ張った。
「ルカン様は、私のちんちくりんな身体ではご満足いただけませんか?」
「い、いや、そういうわけではなくて」
振り向いた先には、瞳を潤ませているメルジーヌがいた。
かわいい。あと妙な色気もある。
メルジーヌは腹黒っぷりも含めて作中でもトップクラスの人気ヒロインだった。
つまり、それだけ絶世の美少女ということ。
しかも数年後にはボンキュッボンの艶かしい身体に成長するのだ。
今の幼い姿を楽しめるのは今だけ、そう思うとこのまま流された方が良いような気すらしてきた。
「ルカンもエッチしたいって言ってたじゃん」
「そ、それはクロエとしたいって意味で……」
「……仕方ありませんね」
と、そこでメルジーヌが呟くように言った。
粘った甲斐もあり、諦めてくれたのかと思ったのだが、どうも違うらしい。
メルジーヌは懐から小瓶を取り出した。
そして、その中身を一思いに呷り、ずいっと俺に顔を近づけてきた。
「んむっ」
「むぐ!?」
そして、メルジーヌは俺にキスをした。
それも子供がするようなお遊びのキスではなく、大人がするようなえっぐいキスだ。
予想外の出来事に面食らっていると、メルジーヌが自身の唾と一緒に何かドロリとした液体を飲ませてきた。
「ちょ、やめ――」
「んちゅ。れろ、逃げないでください、ちゅぱ」
咄嗟にメルジーヌを突き飛ばそうとするが、彼女は俺の首にぐるっと腕を回し、力強く抱きしめてきて逃げられない。
そして、俺はメルジーヌに口移しされた液体を飲み込んでしまった。
な、何を飲まされたんだ!?
俺が困惑したのは一瞬、すぐにその効果が身体に出てきた。
「こ、これ、は……」
「王家が確実に子孫を残すために使う、特別製の媚薬です。飲めば三日三晩は絶倫になりますよ」
「はあ、はあ、ぐっ」
思考が下半身に侵されていく。
女、女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女――ッ!!!!
「きゃっ、ふふ。ルカン様ったら、いきなりベッドに押し倒すなんて、はしたないです」
「ふぅ!! ふぅ!!」
「――では、始めましょうか」
それから俺はメルジーヌの身体を貪った。
すぐ隣でアレンが見ていることも忘れてメルジーヌを蹂躙した。
「私も王女として夜の手管は習いましたが、ルカン様はそれ以上ですね」
と、メルジーヌは余裕そうに笑っていた。
その笑みが崩れ始めたのは、行為がスタートして一時間が経った頃だ。
「んっ、あ、あの、ルカン様? アレン様も準備万端なようですし、一度抜いて――」
「ふぅ!! ふぅ!!」
「あ、ちょ、やっ、らめ――」
本来の予定では、ある程度俺と肌を重ねた後でアレンと行為に到るつもりだったのだろう。
しかし、俺はメルジーヌを離さなかった。
彼女がアレンの方を見ることも禁じて、その身体を貪ったのだ。
最初は抵抗したメルジーヌも、終盤は自分から激しく腰を振っていた。
その姿がかわいくて、俺は更にメルジーヌと愛し合った。
そして、全てが終わって正気を取り戻した時。
「ルカン様ぁ♡」
恋する乙女の顔……。
いや、もっと本能的な、女の顔をしたメルジーヌが俺の腕にしなだれかかっていた。
……やっちまった。やっちまったあ!!
「す、すみません、メルジーヌ王女殿下。俺は、その」
「ふふ、謝ることはありません。私がルカン様に媚薬を飲ませたんですから」
「そう、ですか? は、ははは、なら良かっ――」
「お慕いしております、ルカン様♡」
そう言って俺にキスをしてきたメルジーヌ。
俺は鳩が豆鉄砲を食らったように硬直し、冷や汗を流し始める。
「え? ちょ、ま、待ってください。それは、流石に演技ですよね?」
「むぅ、これは私の本心です」
「……まじですかい。いや、え、なんで?」
「……言わせるのですか? 意地悪です、ルカン様は。でも、そんなところが好き。私を王女としてではなく、一人の女として扱ってくださるルカン様を、私はお慕いしているのです」
そんな風に扱ったかな、俺!?
「……自覚がないのですね。ベッドの上でのルカン様は、私に何度も命令していたではありませんか。お尻も叩いたりして。その上で、上手にできたら頭を撫でてくださったり……。その、ちょっぴり嬉しくて、興奮してしまいました」
「そ、それは、まあ……」
「それに比べて――」
メルジーヌが部屋の隅で「ふおおおおお!!」と奇声を上げながらナニをしているアレンを見た。
それは『ブレイブクエスト』において決してアレンに見せなかった、腹黒ヒロインのゴミを見るような目。
「最初はルカン様に抵抗していた私が助けを求めても自慰を優先するなんて。こんな人が勇者なんて世も末ですね」
「ふおおおおおお!! メルジーヌに、蔑まれてるぅ!!」
「はあ、コレじゃなくてルカン様が勇者だったらよかったのに」
……どうしてこうなった。本当にどうしてこうなった!?
―――――――――――――――――――――
あとがき
ちょっとした小話
作者「こういう展開が好き」
ル「お、おう」
作者「時間のある方は新作『S級ギルドを辞めたら俺をクビに追いやった爆乳美女たちが土下座で謝罪してきた件』も是非ご覧ください」
ル「はーい」
作者「あと休載します」
ル「!?」
「アレンほんま草」「メルジーヌかわいい」「作者の好み……」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
次の更新予定
毎日 07:08 予定は変更される可能性があります
エロゲの友人キャラに転生したので推しヒロインを寝取ったら主人公の性癖を拗らせてしまった!? ナガワ ヒイロ @igana0510
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