概要
目の花が咲くわたしたち忽ちに消えてしまうよ境界にゐて
短歌連作10首です。よろしくお願いします。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!わたくしの患者は会ふたび云ひますよ人魚の声を聞いたのです、と
この歌はユーモアがある。
(セイレーンはそのまま人魚とすべきではないが)セイレーンたちの歌声は人を狂わせる。
そこで論理を改造し、
「セイレーンたちの歌声は人を狂わせる」から
「狂った人(患者達)はみんなセイレーンの歌声を聞いている」に組み替えてしまう。
これが歌の第一の発想だ。そう考えてみると機知に富んでいて実に面白いではないか。
セイレーンという非現実的な存在を現代の医療の場に持ち出してくるという大胆な錯誤がおもしろおかしい。
ただそれだけであれば「狂ってしまったあの人達はみんな人魚の歌声を聞いたに違いない」というだけの歌になっただろう。
ここに第二の発想として医者による「患者」への…続きを読む