【短編】髑髏塚銀河四周郎伝説
たか野む
【短編】髑髏塚銀河四周郎伝説
ケヒャリスト作家である髑髏塚銀河四周郎(どくろづかぎんがよんしゅうろう)先生の朝は早い。
我々、撮影団が朝四時半に起きると髑髏塚先生の姿はない。慌てて、スタジオに向かうと髑髏塚先生はすでに鎖鎌を研いでいた。
「随分とお早いですね。今日は何時起きですか?」
撮影クルーが訊ねるとド黒塚先生は平然と答えた。
「ケヒャー! 今日は三時起きですね」
「三時!? まだ夜じゃないですか!!」
撮影団は驚く。髑髏塚先生はモヒカン頭に額に「死」の文字、首には殺害したライバルライトノベル作家のしゃれこうべをつけている極めて一般的なケヒャリスト作家であり、それと「早起き」という気質が撮影団の中で結び付かなかったからだ。
「そうですねぇ。小説と鎖鎌は息をして呼吸をしてる生物です。私はまだまだ小説の素人です。小説の呼吸を逃し、気を逸するのを恐れる臆病なものですよ」
そう言ってはにかむ髑髏塚先生に我々記者団からも思わず笑みが漏れる。そして、ADが笑った隙を逃さず、髑髏塚先生の鎖鎌が炸裂した。
「ケヒャー! 隙を見せたな!?」
髑髏塚先生の分銅が眉間を射抜き、火山が噴火するようにADの眉間から血が噴出する。
一般的な鎖鎌は鎌の方でなく、分銅の方を振り回す。
プロデューサーの中年男性は興奮を隠しきれず、震えるカメラマンの肩を支え、カメラを安定させると、発情しきった声を隠しきれずにこう言った。
「見ろ。あれが髑髏塚銀河四周郎先生だ」
★☆★
髑髏塚先生は時間をかけて鎖鎌を研ぎ終えると、朝食の準備を始める。
朝食は納豆、卵焼き、めかぶ酢に味噌汁だった。
あまりにイメージからかけ離れた姿に撮影団は驚く。
「意外ですね。髑髏塚先生といえば、生焼けの血も滴る豚足をがぶりついているイメージがありました」
「ケヒャー! あれは読者の皆様がイメージする通りに食べた朝食で、私の普段の食事はこんなもんですよ(笑)意外もしれませんが、一番の好物はじゃこですね(笑)」
髑髏塚先生の意外な人間的な姿に撮影団は感動して、ディレクターが思わず「へー」と感嘆の声と共に目を細めた瞬間、髑髏塚先生の分銅が炸裂した。
「ケヒャー! 俺がじゃこなんかを好きなわけねーだろぉ!? 一番好きなのは鯉を頭から丸呑みすることと鶏の生き血さ!!」
分銅は綺麗にディレクターの眉間を貫き、北斗の拳において秘孔を突かれたモヒカンの如く、全身から血を噴出したディレクターが倒れる。
あまりの惨劇に思わず、カメラを落としたカメラマンのカメラをそっと拾い、茹で蛸よりも赤くなったプロデューサーがカメラマンの手にカメラを渡して、こう言った。
「見ろ。あれが髑髏塚銀河四周郎先生だ」
★☆★
髑髏塚tips 鯉を丸呑みする時は頭から飲み込もう。中津海次兵衛という細川家の家臣は尻尾から飲んで鱗が内臓を痛めて死んだケヒャよ。
★☆★
髑髏塚銀河四周楼先生の小説家としての仕事は昼前の十一時頃に本格的に始まる。
プロ作家である髑髏塚先生の仕事とは何か?
もちろん「なろう作家狩り」である。
髑髏塚先生は「異世界転生」とか「追放勇者」とか「〇〇のスキルで楽して」といった言葉が大嫌いだ。自分の小説家としてのヒエラルキーを少しでも上げるために自分より格上のなろう系作家を殺害する努力を髑髏塚先生は厭わない。
こんなにストイックな小説家がこの世に存在するだろうか?
いや、絶対にいないだろう。本人が書いているのは甘酸っぱいちょっとエッチな小説であることはこの際置いておく。
今日、髑髏塚先生が標的にしたのは新進気鋭のなろう系作家、真剣友神日本列島割太郎(マブダチガミ ニホンレットウワリタロウ)先生」である。髑髏塚先生といい、真剣友神先生といい、そのペンネームのノリはどちらかというとカクヨムではないのか? ……いや、あの「小説家になろう」と聞いてきたんですか、もしかしてここって「カクヨム」なんですか? ほ、本当に皆さんこんな姿で小説を書いてるんですか!? 殆ど紐じゃないですか!?「みんなやってますよー(カクヨムローションを手のひらで広げながら)」
話を戻すと我々撮影団は息を呑む。
真剣友神の身長はゆうに五メートルを超えていた。その巌のような筋肉は生まれついてのギリシャ彫刻の如きであり、身長百七十cm前後の髑髏塚先生では天地が裂けても勝てないように見えた。
「真剣友神先生はあの体躯でどうやってキータッチをするんだ?」
当然の疑問をアシスタントプロデューサーを務める若い女性が漏らす。真剣友神先生の指は太く、その一本一本が細身であるアシスタントプロデューサーの二の腕くらいのサイズだった。
そして、われわれ撮影団は驚きの光景をカメラに捉える!!
(「えー!?」という客席の驚きの声)
ここでCM。
CM明け。
「あの体躯でどうやってキータッチをするんだ?」
当然の疑問をアシスタントプロデューサーを務める若い女性が漏らす。真剣友神先生の指は太く、その一本一本が細身であるアシスタントプロデューサーの二の腕くらいのサイズだった。
そして、われわれ撮影団は驚きの光景をカメラに捉える!!
(「えー!?」という客席の驚きの声)
なんと、真剣友神先生は何もないテーブルに手を向け「むん!!」と言うと、テーブルから「なろう小説」が生えてきたのである。
真剣友神先生は小説を書いていなかった。「創造」していたのである。「小説創造SSSランクスキルで現代無双! 俺をクビにした出版社が土下座してきたけどもう遅いwww」であった。
我々は口には出さなかったが「これは無理じゃないですか?」という意思を多分に含んだ目で髑髏塚先生を見る。
髑髏塚先生は少しだけ感心した目を真剣友神先生に向けると驚きの言葉を漏らした。
思わず、アシスタントプロデューサーは「い、いま、髑髏塚先生はなんといいました!?」とカメラマンに声をかける。
カメラマンは驚きを隠せない顔で髑髏塚先生の発言を復唱した。
「中の下かな、と言いました」
プロデューサーは歓喜のあまり射精していた。
髑髏塚先生は自身のモヒカンヘアーを倒して「一見すると普通の長髪」に見える髪型にし、サングラスを外し、首にかけたダルシムのようなしゃれこうべもテーブルに置くと、にこやな笑みを浮かべて、真剣友神先生に近づき、手を差し伸ばす。
「あ、あの! 真剣友神先生ですよね!? ケヒャ! 私、昔からファンなんです握手して下さい!」
真剣友神先生は一瞬、怪訝な顔を浮かべたが、すぐに温和な笑みを浮かべると「ああ、良いですよ」といい、手を差し伸ばす。
(手を掴まれては体格差で絶対勝てない! 髑髏塚先生はどうする気だ!?)
プロデューサーが息を呑んで見つめる。
さて、話は変わるが、人が最も油断する瞬間はなんだろうか?
答えは驚いたことに「握手をする瞬間」である。寡兵でありながら、今川の軍勢に勝利したあの「桶狭間の戦い」も織田信長は今川義元に「いやー、今川さんですか!? 昔から大ファンなんです!」と握手を求め、応じようとした今川義元をへし切り長谷部で「ケヒャー! 油断したな!!」と両断したことが最近の研究では判明しているとか(※史実)。
もちろん、髑髏塚先生も人間が最も油断する瞬間をついて攻撃を行なった。
「ケヒャー! 油断したな!」
意外なことに髑髏塚先生は真剣友神先生の腕をしっかりと握っていた。ただし、真剣友神先生の腕は鎖鎌で肘の部分でバッサリと両断され、先生の身体からは離れていたが。
「なにぃ!?」
真剣友神先生が驚愕の声を上げると、髑髏塚先生の鎖がその首に巻きつく。
しかし、真剣友神先生の体躯は五メートルを超える。そんな巨人がクビに鎖を撒かれたくらいで、なんとかできるはずがないと撮影団は考えていたが。
なんと、鎖に繋がれた真剣友神先生の身体が宙に浮き始めた。
「なんだと!?」
撮影団も真剣友神先生も驚愕の声を上げる。
「ケヒャー! テコの原理さ!」
髑髏塚先生は回答を示した。なるほど、テコの原理。なんかとても重い物を持ち上げられる原理らしい。凄い。
フィジカル差で劣勢に見えた髑髏塚先生が戦いが始まってみると圧勝すると見えた次の瞬間。
「ケ、ヒャ」
ところが、優勢のはずの髑髏塚先生の顔がみるみると青くなっていく。一体どうしたことだろうか?
我々が疑問を持ち首を傾げた瞬間、その理由は判明した。
「オケゲゲゲゲ!!」
次の刹那、髑髏塚先生の口から大量の原稿が溢れる! 真剣友神先生だ! 彼の「守kill(スキル)」で口内に大量の「なろう小説」を創造したのだ。口の中に生まれた大量のなろう系小説により窒息した髑髏塚先生はそれでも最後の瞬間まで鎖鎌を離さなかったが、やがて力無く、その手から鎖鎌が離れ、髑髏塚先生は地に倒れる。
真剣友神先生はチアノーゼを起こし、紫色の顔をしながら、ぜぇぜぇと息を整え、紫色になった鎖の跡を指でなぞる。
「お、恐ろしい敵だった。あと五秒遅ければ死んでいたのは私だった」
プロデューサーが髑髏塚先生に駆け寄り、脈を図る。
そして、鎮痛な顔で首を横に振った。
襲われた真剣友神先生は相当な人格者なようで、鎮痛な表情のまま、髑髏塚先生の死体に十字を切る。
次の瞬間、真剣友神先生のその首が落ちた。
表情は驚愕を浮かべる暇すらなく、鎮痛な表情のまま固まっている。
我々撮影団は驚愕し、真剣友神先生を殺害した犯人は誰か視線を向ける。
なんと、そこにいたのは、想像だにしない人物だった!
(「えー!?」という客席の驚きの声)
ここでCM。
CM明け。
「お、恐ろしい敵だった。あと五秒遅ければ死んでいたのは私だった」
プロデューサーが髑髏塚先生に駆け寄り、脈を図る。
そして、鎮痛な顔で首を横に振った。
襲われた真剣友神先生は相当な人格者なようで、鎮痛な表情のまま、髑髏塚先生の死体に十字を切る。
次の瞬間、真剣友神先生のその首が落ちた。
表情は驚愕を浮かべる暇すらなく、鎮痛な表情のまま固まっている。
我々撮影団は驚愕し、真剣友神先生を殺害した犯人は誰か視線を向ける。
なんと、そこにいたのは、想像だにしない人物だった!
(「えー!?」という客席の驚きの声)
なんとそこにいたのは髑髏塚先生である。
死んだはずの髑髏塚銀河四周郎先生が真剣友神日本割太郎先生の首を切り落としていたのだ。
慌てて髑髏塚先生の死体を見るが、なんと死体はそのままであった。これはどういうことだろうか?
「ケヒャー! 俺は双子だったのさ!」
なるほど! 髑髏塚先生は双子だったのか!
そして、髑髏塚先生はあと数人の雑魚なろう系作家を殺害する。
「かなり殺しましたね」と撮影団が訊ねる。
「ケヒャ。今『小説家になろう』のユーザー数は七十億を超えてるケヒャ(人類総小説家になろう時代)。カクヨムなんかは多分ユーザーが五人くらいしかいないから楽ケヒャが、なろうは大変ケヒャ」(※あくまでこの世界の話であり、私はカクヨムが大好きなカクヨムの申し子です。カクヨムはサイバー攻撃にも負けない素晴らしい小説投稿サイトです。子どもの名前も髙野カクヨムにします)
そして髑髏塚先生が帰ろうとした矢先。
事件は起きた。
「あの、髑髏塚銀河四周郎先生ですね?」
やせたおとこがそう声をかけてきたので髑髏塚先生は「ああーん?」と剣呑な声を上げ、次の瞬間その身が固まる。
声をかけてきたのは「太宰治」である。いや、当然の話だが、あの太宰治ではない。正確には「太宰治と自分のことを思い込んでいる赤の他人の狂人なろう作家」だ。
代表作は「走れメロス2 〜サイボーグ帝国の逆襲〜」。(メロスは激怒した。「呆れたサイボーグだ。生かしておけぬ」)
太宰治はいわば、『小説家になろう神4』と呼ばれる存在であり、その序列は四位だ。
さて、ここでスタジオの皆様にクイズです!
『小説家になろう神4』の序列三位から一位をお答えください! どうぞ!
……(シンキングタイム)。
それでは正解の発表です!
序列三位は生身でのインタビューなどには一切応じない、謎の覆面作家、「茶戸慈陽茶(チャト ジーピーティー)」先生! まるでAIが書いたような緻密かつ時に大胆すぎる作風が人気です!
序列二位は『腕は八本、頭は三つ、足はなく、常に燃えている車輪をプロペラのように回して空中浮遊している生物なーんだ?』でお馴染みの「工藤留歩神話(くとうるふ しんわ)」先生(答え:そういう形の生き物が小説を書いているから)! 小説の方は見るものを悶えさせる恋愛小説だけど、インタビューを試みたものは皆、発狂死するぞ!(小説の方にも「微量ながらSAN値が下がる判定が入っているのでは?」疑惑あり)
そして序列一位は人類史の初まりから「小説家になろう」へ投稿を続けていたという「人類は一つの魂になろう(アダム)」先生です! 残念ながらアダム先生は一日に五百本近くの小説を書いているので、代表作はありません!
さて、カメラをお返ししますね!
髑髏塚先生は警戒と緊張をミックスした表情で太宰治を睨みつけている。
「おいおい、髑髏塚先生。作家同士のコミニュケーションだよ? そんなに睨むことないじゃないか」
太宰治先生はそう言ってにこやかに握手を求めた。しかし、その目は全く笑っていない。
「これはチャンスではないか?」
プロデューサーはそう呟く。髑髏塚銀河四周郎先生の得意技「握手する瞬間(人間が最も油断する瞬間)に殺害」に太宰先生自らが行おうとしている。
(しかして)
太宰治はアホではない。
これは誘導だろう。
髑髏塚先生はあえて奇襲をかけず、がっしりと握手をした。そして、互いの力量はそれで理解できてしまった。
髑髏塚先生は冷や汗を流し、太宰治は笑った。
つまりはそういうことである。
「先生。先生の走れメロス2は読んだケヒャ」
どこか覇気にかける声色で髑髏塚先生はいう。
「ああ、ありがとう。髑髏塚君の『マスカットラブ』も読ませてもらったよ」
にこやかに互いの小説を褒め合う。
もはや、戦いの決着はついた。
髑髏塚先生にできることは「今後のために少しでも力量差を減らすこと」である。
なので、貪欲に小説の知識を吸収しようとしていた。
「太宰先生。走れメロス2でサイボーグに捕まったメロスが、『妹の結婚式に参加するためにサイボーグ王にセリヌンティウスを人質にして、一日猶予をもらう』シーンありますよね? いえ、俺は『パクリ』とか騒ぐつもりはなくて、あのシーン、メロスの妹、一作目で結婚してますよね? 離婚したケヒャか?」
「行間を読むのだ。メロスの一作目の行間を読めば、メロスには十二人の妹がいたことがわかる」
太宰治の一言に髑髏塚先生は感動していた。
「なるほど。行間」
今まで意識して書いたことはなかった。今後の糧にしよう。
「そして、今も行間にあるメッセージを隠した」
太宰治は言葉を続けた。
「ケヒャ?」
ド黒塚先生は首をかしげる。
「君の死だ」
なんと、そこにはすでに惨殺された髑髏塚先生の死体があった。四肢はバラバラになり、首はあらぬ方向に曲がっている。
髑髏塚先生はすでに行間で殺されていたのだ。辞世の短歌は下記の通りである。
しゃれこうべ
逆から読んでも
しゃれこうべ
隙を見せたな!
これでも喰らえ!
(自制の短歌でアシスタントプロデューサーが死亡する)
太宰治(なろう作家)は行間を操る「守kill(スキル):断崖の錯覚(トカトントン)」を持っていた。当然、太宰治先生(オリジンの方)は別に行間に何かを込めるタイプではなく、むしろ行間を読まずとも、非常に読みやすいタイプだ。
自身の能力と理想の間で、苦しみ抜く太宰治先生はまぁまぁ我々がイメージする太宰治感はある。
太宰治先生は悠々と去っていき、残されたのはプロデューサーとカメラマンのみである。
「そんな。髑髏塚先生が殺されるなんて……」
絶望的な表情を浮かべるプロデューサーの横で髑髏塚銀河四周郎先生が神妙にうなづく。
「恐ろしいやつだったケヒャ。今は勝てない。今はな」
「え!?」
我々、撮影団は驚いた。髑髏塚先生の死体は消え、いつのまに生きた先生がプロデューサーの横に立っていたのだ。
「ど、髑髏塚先生!? なぜ!?」
「ケヒャー! 秘密さ!」
髑髏塚先生はチャーミングに笑った。カメラマンは叙述トリックの類や三つ子の可能性も疑ったがプロデューサーは答えに気づく。
「あれは髑髏塚先生の守kill(スキル)『恋に落ちる115の魔法(すきをみせたな)』だ」
プロデューサーがしたり顔でいい、カメラマンが驚く。
「そ、その能力は!?」
「『隙を見せた者の隙を拡大か消失』だ。髑髏塚先生は我々が先生の死でショックを受けた隙を消失させ、自らの死を無かったことにした。まさに切り札的な守killの使いか……ハウア!」
そう語るプロデューサーの眉間に鎌が刺さる。唯一残ったカメラマンは驚く。
一般的に鎖鎌は分銅の方を振り回すとかしたり顔で言っている哀れなライトノベル作家がこの世にいるらしいが、別に鎌を振り回してはいけないというルールはない。自由だー!!!
「な!?そんな!プロデューサーは隙を見せてません! なぜ殺されねばならないのですか!?」
「おいおいおいおい」
そう言った髑髏塚先生の顔は慈愛に満ちたアルカイックスマイルであり「今からカメラマンを殺す作家」の顔には見えなかった。
「俺の守killをお茶の間に電波に乗せられるなんて、なろう作家としておまんまの食い上げだぜぇ? そりゃ、殺すに決まってるだろう?」
そう言いながらも、髑髏塚先生は「ほれ、隙だ」と言いながら分銅を投げた。
しかし、意外にもカメラマンはその分銅を人差し指と中指で受け止める。
「!?」
髑髏塚先生が驚く。先程まで弱気だったカメラマンはまるで冷酷な殺し屋のような風格を出しており、紫色のオーラすら発していた。
「貴様! なろう作家だな!?」
『え、全人類総なろう作家時代になろう作家じゃない人がいるのはおかしくねぇ?』と思う人はするどいですね。探偵ではなく、なろう作家になってみたらどうです?
カメラマンはカメラを構えながら名乗る。
「小説家になろうランキング754位、『仮面羅男(カメラ・マン)』」
そのペンネームのノリはどちらかというと「闘将!!拉麺男」や「男塾」のノリである。苦手なタイプだと内心で髑髏塚先生は冷や汗をかく。
「小説家になろうランキング693位、『髑髏塚銀河四周郎』」
ランキングが近い。つまり髑髏塚先生のような「雑魚散らし目的」ではなく、「自身のランク上げ目的である。
仮面羅男はこれまでオドオドした態度が一変して、ケタケタと笑う。
「カーメカメカメカメ! 髑髏塚銀河四周郎! てめぇは守killもバレてる上に今日一日俺のカメラに何時間映っていたと思う? 俺の『守kill』の発動条件はあまりにも満たしているカメ! お前はここで死ぬカメよ!」
死ぬやつのノリである。
「ふん。どうかな?」
髑髏塚先生が不敵に笑う。
今宵、二人の獣が交差し、死闘が始まった。
終
●とても幸運なことに私は「たか野む」として講談社様よりデビューしておりますが「ペンネームを『たか野む』か『髑髏塚銀河四周郎』かで迷ってます」と担当編集に告げたら、一蹴されたのでその時に書きました。春海水亭先生にドはまりしてた時期ですね。「カクヨムコン必勝法」の影響が強いですね。衝撃でした。カクヨム投稿用に少し直してます(たか野む)●
【短編】髑髏塚銀河四周郎伝説 たか野む @takaNOmu
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