唯一無二の世界を、あなたに――



第十話までのレビューとなります。

科学と魔法が共存する【Kreysto】と呼ばれる世界に、主人公は特別な双子として生まれた次男【Panoskal】と三女【Panoretia】。

ふたりは生前から子宮内で獲得した叡智を引き継ぎ、超人的な成長を果たしていくSFファンタジーテイストの冒頭に、隔世の感としての魅力を感じる。

家族構成はエリート階級。公爵家当主の父、自国の皇族出身の正室である母、他国の皇族出身の側室、正室の娘である長女、そして側室の息子と娘がそれぞれ一人。

しかし、利益相反という確執から、ふたりに対する感情は側室側として芳しくなく、むしろ敵対的ともいえる立場が本作のフォーカスポイント。

側室とその子女に対する監視と警戒、そして最終的には排除までも考慮した暗躍が必須だと判断する、その観察力・洞察力・先見性は、慧眼そのもの。

鳴りを潜めるようにして抑え込まれたふたりの潜在能力は、今後余すことなく花ひらくことでしょう。

この作品は男性と女性のW主人公を想定・創作されている。それぞれの視点で独創的なアイデア。そのオリジナリティの源泉が小説としてのオープンエンドの扉を拓く予感を抱かせる。

まだ誰も見たことのない、未知へのエンカウント。
そのイマジネーションが啓示する、唯一無二の独創的ファンタジーの可能性を秘めた一作。

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