真人間ゼロの世界線で。上澄みの裏で不信が渦巻く、青春暗闘劇へようこそ。

（ネタバレ度が極めて強いです、注意！！）

　作者さんの１８番、アルファ争奪・青春サバイバルのひとつ。
　今回は話数がやや少なめで、物語のテンポも速め。
　でもキャラの外見や観光地の描写は、結構しっかりめ。
「Kanaさんという作家の、得意技を知りたい。比較的短めの長編を読みたい」という方にオススメ。


　・・とはいえ。「定番の安心感」がある反面、どこか消化不良の感もある。
　特に、裏切り女３号への制裁が不十分だし、２号ちゃんにはどこか、もう少し救済が欲しかった気がする（PC美少女ゲーのバッドエンド場面を思い出すような感じだった）。
　日本人の処女ちゃんを取り巻く環境も、明らかに異様だったし。

　「非処女は信用できないが、処女ならよい」という考えにも、この物語は「必ずしも、そうではない」と問題提起している。
　処女ちゃんが経験不足故に、行動選択を誤り続けたことも悲しいが・・・
　やはり主人公の姿勢にも、問題があった気がする。

　登場人物たち皆の「条件闘争への過剰な執着＆私利私欲」が強いのは、作者さんの作風だし、「打算人間多すぎ＆無理ゲー過ぎる現代社会」への風刺でもあると思う。
　日常のコミュニケーションや、観光地で遊ぶ場面も多く、表面上は平穏だけど・・読後感は必ずしも、（手放しでは）称賛できないかもしれない。

　とはいえ、WEB小説としての展開の上手さ・テンポの良さは紛れもない長所。
肌に合いそうな方はご一読を。