夏遊びに夢中の子らにしのびより、いつの間にか、それを引いてゆくもの。それは、川の中からや、夕暮れの闇のなかからだけではありませんでした。「真昼の悪魔」暑さをます夏との巧みな付き合い方を見失った人の世に、それはしのびよっているのかも知れません……。
生者と死者のあいだには厳然たる境界があると当たり前のように思っていますが、実はそれは頼りない帳のようなものなのかもしれません。そこに生じた小さな綻び。それをそっと押し広げ、本来交わることのない存在が、ふいと顔をのぞかせる。彼らは知らん顔をしてあちらとこちらの世界を自由に行き来してるのかもしれません。そんな妄想に憑りつかれそうな作品です。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(172文字)
すごく「夏」そして「子供時代」を感じます。私も子供の時には『肝試し』をしたものです。その時の思い出と共に季節をも感じさせ、怖い想いとのアバンチュール❤小野塚さん節の「風情」がありつつも、しかし正統派なお話です。
本作の作者は、個人的な印象に過ぎないかも知れませんが、言葉遣い、言い回し、そして漢字表現に特にこだわりを持った、独特の作風で様々な作品を描いてこられました。本作では一転、平易な語り口で一貫して物語を綴られています。しかし作品の底流にあるのは、あくまでも正統派ホラー。作者の新境地とも呼べる作風を、楽しんでみてはいかがでしょうか。