“罪と罰” あなたを私は決して許すことはないでしょう。

神石水亞宮類

第1話 “罪と罰” あなたを私は決して許すことはないでしょう。




“罪と罰” あなたを私は決して許すことはないでしょう。



・・・今考えると? 5年前に付き合っていた俺の元カノにあの時

こう言われた。

正直! 本当に酷い別れ方をしたから、今でも時々俺は彼女の事を

ふと考えてしまう。

当時の俺は、“彼女以外の女の子と遊ぶのも好きで、彼女を一人家に置いて

よく男友達と女の子をナンパして酒を飲んでいた。”

その事を彼女が、“女の勘で”嗅ぎつけたのか?

俺にこう言ってきたんだ。



『ひょっとしてだけど? “ワタシに隠れて浮気してる?”』

『えぇ!? し、してないよ、』

『でも変ね? 昨日、雄馬が着て行ってたT-シャツに女の子のつける

香水の匂いが付いてたんだけど。』

『・・・な、なんかの間違いじゃない?』

『だといいんだけど、“浮気したら絶対に許さないからね!”』

『あぁ、わ、分かってるって!』

『じゃあ、もう寝るね!』

『・・・あぁ、』



・・・“やたらと勘のいい女!”

俺は彼女に浮気がバレたかとヒヤヒヤしたが、どうやらバレていない!

バレていないならまだまだ浮気が出来ると俺は思い、その後も何事も

なかったように女の子と浮気を繰り返していた。


ただ、そういう事は長く続く訳もなく。

俺はあっけなく彼女に浮気がバレてしまう。



『“だからあの時ワタシが、確認したじゃない! 浮気してないかって?”』

『ごめん! もう絶対に浮気なんてしなから、許してくれ!』

『ダメよ! “あなたを私は決して許すことはないでしょう。”』

『えぇ!?』

『“罪と罰”』

『・・・罪と罰? どういう意味?』

『もう、ワタシ達別れましょう。』

『・・・も、もう一度! 俺達やり直せないのか?』

『無理だわ!』

『・・・わ、分かった、キミの言う通りにするよ。』

『“ありがとう。”』

『・・・・・・』





  *





俺は5年後、やっとあの時彼女が言った言葉を思い出す。

“罪と罰” 今の俺ならよく分かるよ。

俺は深く彼女を傷つけていたのだろう。

彼女は俺と別れて5年間、ずっとこの時を狙っていたんだと思う!

そして俺は彼女の、“あなたを私は決して許すことはないでしょう。”

の意味も分かる事となったんだ。



【ド―――ン】

【ウッ、】


・・・数時間後。


『・・・ココは?』

『目が覚めた?』

『・・・え、瑛梨奈? どうしてココに?』

『ここね! ワタシが買い取った別荘なの! この周りには人は誰一人

住んでないわ! これからはワタシとあなたの二人だけで生活するのよ。』

『な、何を言ってんだよ! 俺を家に帰してくれ!』

『“あら? 今日からココが雄馬の家じゃない!”』

『違う! 俺を家に帰してくれ!』

『・・・あの時のワタシの言葉、今でも憶えている?』

『えぇ!?』

『“罪と罰、あなたを私は決して許すことはないでしょう。”』

『・・・あぁ、憶えているよ。』

『そう! 憶えてくれてたんだ! じゃあ、話は早いわね!

ワタシはあなたを監禁したわ! これからはワタシ達、ずっと一緒よ。

嬉しいでしょ?』

『・・・な、なんでこんな事を?』

『“あなたが全部悪いんじゃない! ワタシを深く傷つけたからじゃない!”』

『・・・だから、罪と罰なのか?』

『そう、嬉しいでしょ!』

『・・・それで、キミは満足なのか?』

『満足よ! ずっとワタシが叶えたかった夢だったんですもの!』

『そ、そっか、分かったよ、好きなようにしろよ!』

『“偉く、聞き訳がいいのね!”』

『俺がキミを傷つけた事は間違いない話だし、俺も反省しないといけない

と心からこれでも想ってたんだ。』

『そう、じゃあ今からワタシ達! 無理心中する?』

『待て! 死ぬのはやめよう! 他の方法がきっとあるよ。』

『“死ぬのが怖いのね! ワタシも怖いわ、でもあなたと一緒なら、”』

『“生きてたらまだいいコトもあるよ。”』

『・・・そうね、一緒に生きて行きましょう。』

『あぁ、』




・・・“ここから俺の地獄のような生活が始まる。”

確かに! 過去に俺が犯した彼女への“罪と罰”を俺は今! 身に染みて

味わっているよ。

食事は一日1食、風呂は1週間に1回、4畳半の狭い部屋に監禁させられている。

その狭い部屋にはトイレと粗末なマットが置かれていて、唯一テレビがある

だけの部屋。

後は? 外から彼女が俺を監視するカメラが取り付けられている。

俺の一生! ココで終わるのかな?

もう彼女に俺は逆らえない!

逆らったら? もう俺一人で生きていけなくなってしまう。

“俺はもう彼女なしでは生きていけない体になってしまった。”

彼女が俺を必要としてくれている間は、せめて生きようと思うんだ。

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“罪と罰” あなたを私は決して許すことはないでしょう。 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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